第19話 回復と激怒
ロッドは見張りを精霊の扉に任せて眠っていたが、
少しすると爆発音があり〔自在の瞳〕を発動し確認してみると5人のドレスを着た襲撃者を確認できた。
ロッドはその者達の見た目を前世のファンタジー知識と照らし合わせ、おそらく
爆発音でアイリスも起きたようなのでロッドが見た状況を説明し、テントから出てジュリアン達のテントと侍女達のテントを起こして回り、御者達も一応起こして集合させる。
「恐らくだが襲撃者が来たようだ。こちらはまだ襲われていないが、危ないからここから離れないようにしてほしい。そのうち精霊の扉も異変を察知してこちらに来ると思う」
ロッドはそう説明すると、一旦バーン達を待つ事にした。
ーー
少しするとやはりバーン達が現れ、襲撃されている可能性を話してきた。
バーン達はそのまま様子を見に向かうとの事だったのでロッドは待機となったが、その間にこの世界の
地球の
あと十字架とニンニクが嫌いであると。
「私の持つ知識では
アイリスが分かる限りの事を説明してくれる。
「ありがとう。後で
バーン達が少し心配になり〔自在の瞳〕で様子を見ようと思うロッドであったが、その時〔
ーー
ジュリアン達を背にして
既にテントで〈仮面の守護者〉の装束に着替え済みである。
少しして
ジョアンナと侍女達があまりにも大きなコウモリを見て震えていた。
女性特有の勘か何かで特別に危険な存在だと感じているようであった。
ロッドはストレージから毛布を3枚取り出してそれぞれに渡した。
「怖い思いをさせてすまない。これでも被っておいてくれ」
ブルブル震えながら毛布を被る侍女達。御者達も侍女達の背中を擦ったりして気遣っている。
ジョアンナはジュリアンとリーンステアに付き添われていた。
ロッドの3mぐらい手前で着地し、
「アイリス、コイツを鑑定してくれ」
ロッドはアイリスに鑑定を依頼する。
「承知しました。私の手をお取りください」
アイリスが差し出した手を握り〔
〈鑑定結果
種族:
力属性ランクB(一流)
敏捷属性ランクC(上位)
耐久属性ランクA(超一流)
知能属性ランクB(一流)
魔力属性ランクB(一流)
特殊体質:
特殊能力:
装備:高品質な男性用パーティードレス
ロッドはアイリスを経由した鑑定結果を見て強烈な危機感を覚えた。
この属性値ランクと特殊体質、能力では例え1体でも精霊の扉のパーティーでは勝てないだろう。
既に4体と対峙しているかもしれない、それにあの子供と家族も無事なのだろうか?
ロッドは神ではない。
周囲にいる全ての人間を救うなどという事は出来ないが、自分が関わった人は極力救おうとある種地球の現代人的な感覚で思っていた。
知っている人にはなるべく無事でいてほしいのだ。
「ははっ。お前達はこれから俺に皆殺しにされ…ふっ……がっぐあああああっ……」
ロッドは
〔サイコジャベリン〕が突き刺さった時、一瞬ニヤリとした
「アイリス、これから精霊の扉の様子を見てくるからここを頼む。ハム美、ピーちゃんも頼むぞ!何かあったら変身を許可する」
ロッドはそう言うと〔
ーーーーー
ロッドはバーン達の上空30mの位置で〔
〔
盆地奥の商隊に生命反応は無く、おそらく既に全員死亡していると考えられる。
乗合馬車の付近には子供と思われる小さい反応が1つだけある。
そしてここ商隊の護衛冒険者の野営場所には、死にかけの護衛冒険者3人とバーン達精霊の扉6名の反応があった。
ロッドは精霊の扉が無事だった事に一旦は安心したが、フランだけは感知した感じ、様子がおかしいようであった。
〔
そして、バーンを襲おうとしていたフランの近くまで応用技である〔念動力の翼〕で空中を高速で移動し、浮遊した状態で片手を伸ばしてフランの身体全体の動きを〔
=============== 〔念動力の翼〕
ロッドが〔念動力の翼〕と名付けているこの技は〔
〔
通常〔
自分以外の者に適用する事も可能である。
==============================
いきなり空から現れて空中に浮いているロッド=仮面の守護者を見て精霊の扉のメンバーは全員驚愕する。
ロッド=仮面の守護者がバーンに尋ねる。
「確かバーンと言ったな。状況はどうなっている?」
「あ、あんたは仮面の守護者!た、頼む助けてくれ!フランが!」
「お願い助けて!フランが
バーンは必死に、エスティアは泣きながら仮面の守護者に助けを求めた。
「フランは死んだ訳じゃ無いんだな?」
ロッドが確認すると頷く2人。
ロッドはフランを〔
動く事は出来ないが唸り声を上げて仮面の守護者を睨み付けるフラン。
「奇妙な仮面を被った者よ。君が誰なのか知らないが、その娘は私の下僕となったのだよ。助ける術はないから諦めるんだね。しかし空中に浮けるとは魔法使いなのかな?」
「やってみないと分からないだろう?」
ロッドは
ロッドの瞳が仮面の奥で金色に煌めく。
〔
ロッドの超能力を受け苦しむ
ロッドの手から出る光がフランの全身を包みやがて光が収まるとフランが力を失って倒れ込む。
ロッドはそれを支えてやり横抱きにしてバーンの前まで歩く。
「俺の治癒能力は死んでさえいなければ、全ての状態異常を回復出来る。口から出ていた牙も無いようだから恐らくもう大丈夫だと思う」
ロッドはそう言ってフランをバーンに手渡した。
バーンは回復したフランを見て涙し、大切な宝物を扱うように受け取った。
「あ、ありがとう!本当にありがとう!」
精霊の扉のメンバーも周囲に集まり、絶望の淵から一転して嬉し涙を流した。
「馬鹿な!私の下僕をどうやって!貴様、人間の分際で許さん!!」
〚
突然の攻撃魔法に密集していたパーティーメンバーは直撃を予想し硬直したが、ロッド=仮面の守護者が片手を上げて対抗魔法を発動する。
〚
ロッドは〔思考加速〕を用いて着弾のタイミングで魔法を発動し、
呆気に取られる精霊の扉と
通常、
放出型の攻撃魔法を消去したくても呪文の詠唱が必要であり、発動が遅すぎるかタイミングが合わないからである。
ロッドの場合は模倣により魔法を再現しているだけなので呪文の詠唱が必要ない為、タイミングさえ合えば全ての魔法が消去可能であった。
そのタイミングでさえ〔思考加速〕で完全に捉える事が出来る。
「ぬうう!何だ?なぜ私の完璧で美しい魔法が発動しない!なぜ消えてしまったのだ!!」
「その程度であれば、何発打とうがお前の魔法など俺には通じないぞ」
ロッドは
その時、
バーンがフランを抱えたまま叫ぶ。
「まずいぞ!
「ふう。少し冷静さを欠いてしまったな。皆、この者達は私の分だ。手出しはしないでもらいたいな」
仲間が来たことで冷静になった
ロッドは
「一つ聞こう。お前達はなぜここで殺戮をしている。誰に依頼されたんだ?」
ロッドは内心の怒りを抑え、穏やかに問いただした。
ロッドは、どうやら
乗合馬車付近の反応を改めて探るとあの少年よりももっと幼い反応であった。
恐らくだがあの少年の妹ではないだろうか?
少年は妹を何処かに隠しそれがバレないように
自分もお腹が空いているだろうに妹の為に懸命に食べ物を探していた少年。
妹に食べさせられるとパンを手に笑顔で走り去った少年を想い、悲しむと同時にこれまでに無い激しい怒りを感じるロッド。
ロッド=仮面の守護者の身体全体が青白く輝く。
それは超能力を宿した光であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます