第12話 再会と出発
ロッドとジュリアンはギルドで再会した。
護衛依頼が決まった事もあり、精霊の扉とも挨拶を交わす。
「こちらはロードスター辺境伯長女でジュリアン様の妹君であるジョアンナ様です」
リーンステアがまずジョアンナを紹介した。
「ジョアンナと申します。
護衛依頼を受けていただきまして、ありがとうございます」
ジョアンナが礼儀正しくお礼を含めて名乗る。
精霊の扉も貴族に失礼にならないよう会釈を返す。
「それから今回もう一組の護衛をしていただいている、ロッド殿とアイリス殿です」
「同時に護衛依頼を受けているロッドです。こちらはアイリス。よろしく」
リーンステアの紹介に、ロッドも最低限の挨拶をしながらアイリスの分も名乗った。
「え、護衛?お前らが?」
バーンが挨拶もせずビックリして聞き返す。
「女の子みたいだな」
「二人とも子供じゃないか?」
「え〜と何歳でしょう?」
クライン、ザイアス、マックスもロッドとアイリスを見た感想を話す。
「失礼よ、皆!ごめんなさい二人とも。
私はフラン、弓使いよ。よろしくね」
「……エスティアよ」
フランは皆の無礼を謝罪し、エスティアは少し驚いた様子でロッドを見つめ名前だけ名乗った。
「皆様、ロッド様を馬鹿にしないで下さいね」
少し憤慨したジョアンナがロッドの腕に軽く抱きつきやんわりと抗議する。
「あ〜はいはい。そういう事ね。悪かった、こっちもよろしくな!」
するとバーンが突然閃いたように納得し笑顔で謝罪と挨拶をする。
何か勘違いでもしている様子である。
その後荷物もあるので皆で〈龍の翼亭〉に戻る。
〈龍の翼亭〉ではすでに戦闘の後片付けがある程度済まされていた。
破壊された椅子やテーブルは下げられ、その分のスペースは空いているが充分利用可能となっている。
但し食堂は本日はもう営業できないとの事。
精霊の扉には宿屋のオーナーから他の客や従業員を守った事に対してお礼が言われ、パーティーの宿賃も無料にするとの申し出があった。
リーンステアは今日の事を簡単に宿屋のオーナーに話し、後日ロードスター辺境伯から被害の補償が受けられる旨を説明した。
人的な被害が警備員以外は無い事と2階の客室は無事であるため、既に部屋を取っている人はそのまま宿を利用できる事となった。
リーンステアとフランはその場で少し残って雑談し、
ーーーーー
暗殺者ギルドの支部長は逃げ帰ってきたディックの報告を聞き激昂した。
「馬鹿な!失敗しただと!金貨100枚したんだぞあの悪魔は!部下もまた4人も失っただと!」
支部長の剣幕に、失敗したディックが言い訳を並べる。
「だから嫌だったんだよ!俺だって!化け物みたいな奴がいると言っただろう。
今回は仮面を被った奴が邪魔してきたが、そもそも俺が最初に言った奴がいたら絶対に無理だったんだ。
奴がもういないと言ったから実行したのに……」
支部長は孤児院から一人外出しようとしていた孤児を誘拐させ、不足していた悪魔を呼び出すための生け贄にし、脱獄させたディックに宿屋の襲撃計画を話し協力するように命令した。
だがディックは辺境伯嫡男には化け物のような男が付いているから無理だと言いはった。
その男の風貌を聞いてみたところ、宿屋に様子を見に行かせた部下からは該当する人物はいない旨の報告があった為、ディックを説得して実行させたという経緯があった。
ギルド支部長は困った。
とはいえ自分が何か不正をした訳では無い、とにかくギルド本部へ追加の報告と闇の女神教団へ失敗の連絡を送った。
特に教団へは召喚した悪魔がたった1発の魔法で倒された事を強調した。
暗殺者ギルドの各支部は独立採算制ではあるが、同組織間での相互扶助として暗殺対象が移動した場合は、その支部に協力を仰げるという慣例があった。
協力度合により成功報酬から支援費を支払わなければならないが、暗殺者ギルドと支部の評判を落とすよりはと考えたオルスト支部長は、朝を待って連絡鳥を使い、辺境伯領の暗殺者ギルド支部に辺境伯嫡男の殺害の協力を依頼する事を決めるのであった。
闇の女神教団への報告から2時間ほど経った頃、教団員が暗殺者ギルド支部にまた訪れた。本当に悪魔が魔法一つで倒されたのかを確認されたため、既に寝ていたディックを呼び出し説明させる。
教団員は最初信じられないといい、次第に何か考え込むようになった。
そして教団員から提供した悪魔が簡単に倒されたというのでは教団の信用にも関わる。
教団側でも手を打つから詳細を教えて欲しいとの事であった。
ギルド支部長は資料も交えて依頼人から今までの経緯まで全てを説明した。
その結果、教団側でも独自に動くという事になった。
ーーーーー
暗殺ギルドの支部長に悪魔の身を提供した闇の女神教団員は、教団内での地位は低いが、ここオルストの信者の管理を任されていた。
信者として女神を信仰する毎日であるが、教団で販売している〈悪魔の身〉を需要があれば販売する役目も負っていた。
実は悪魔の身は〈出来の悪い枯れ草で作った人形〉に教団本部で作れる〈魔法陣が印された護符〉を埋め込んだだけの物であり、本部曰く時間さえあればいくらでも作れるとの事で、教団からしたらただ同然であった。
だがこれは教団の貴重な資金源でもあった。時折起きている惨殺事件などはこの悪魔の身で起こされているケースも多かった。
悪魔の身には3段階のグレードがあり、提供金額はそれぞれ金貨20枚、金貨60枚、金貨200枚となっている。
必要な生け贄も1人、3人、10人とグレードが上がるたびに増える為、必要なケースに合わせ教団としては柔軟に対応していたが、最高グレードの悪魔の身が弱いという噂が立つと教団の売上にも響いてしまう可能性もある。
※提供金額は教団の関連組織の場合は半額となる
闇の女神教団は闇の巫女をトップに本部付きの4人を含めた12人の大司教が世界に散らばって各地の信仰を取りまとめている。
その教団本部から1週間ほど前に各地にあて、闇の女神様が神託を降されたというおふれがあった。
「光の神の化身が現れ、闇が脅かされる」と。
教団本部としては事態を重く見て、各地の信者に向けより一層信仰に励む事、何かおかしな情報があれば本部に速やかに報告を上げるよう指示があった。
暗殺ギルドの支部長に悪魔の身を提供した闇の女神教団員は、今回のケースはこれに該当すると判断し、まず闇の女神様に祈りを捧げ、急いで予め決められているルートで夜の内に所轄の教団支部への使いを走らせた。
ーーーーー
ロッドは日課である精神統一を今日も行い、皆揃っての朝食後は部屋に籠もってハム美とピーちゃんに餌と水とおやつを与えた後、消費して少なくなってきた物資の補充や、今後食べたい物の取り寄せ等で時間を使い、昼前頃に〈龍の翼亭〉の馬車置き場の空いているスペースにジュリアン達が乗る馬車と荷馬車をストレージから取り出して配置した。
朝食時にリーンステアが馬の購入と御者の手配、侍女達は物資の補充や洗濯を行なうとの予定を立て、ロッドは事前に馬車を戻しておく事になっていたからだ。
侍女達の調達する補充物資に食料は追加しない事を予定していた。後払いではあるがジュリアンが提示した護衛の特別報酬が思ったよりも高額になった為、ロッドからの提案で旅路での野営の宿泊、食事、飲料、トイレ、風呂などはロッドが提供する事になったからだ。
これに反対する者はジュリアンを含め誰もいなかった。但しこれには精霊の扉は含まれていない。あくまで特別報酬の対価としての提供である。
少し待つとリーンステアが事前の話し通り馬と御者を連れてやって来る。
御者達は軽く挨拶した後に慣れた手付きで馬車に馬を繋ぎ、リーンステアは自分が騎乗する馬の世話をする。
その後、侍女2名も現れ荷馬車に補充物資や洗濯後衣類などを積み整理した。
時間はまだ午前中であるが精霊の扉とは昼食後、準備が整い次第辺境伯領に向け出発する事で合意していた。
精霊の扉は移動の為の自前の馬車を持っており御者も全員持ち回りで行けるとの事。
こちらも追加の物資を午前中に補充しておく事となっていた。
ロッドとアイリスは馬に乗った事が無く、かといって余分な馬車も追加出来ない為、アイリスは護衛も兼ねてジュリアン達の馬車に、ロッドは荷馬車に同乗して移動する事になっていた。
もし次の襲撃があるとすれば後方からの可能性が高いという精霊の扉の分析から、リーンステアの騎馬を先頭に、ジュリアン達の馬車(アイリス同乗)、荷馬車(ロッド同乗)、精霊の扉の馬車という隊列で進む事に決めていた。
それぞれ準備を終えた者達は〈龍の翼亭〉で昼食に集い、少し賑やかな昼食を取った後、出発となった。
ーーーーー
騎乗したリーンステアが先導する馬車で街道を進む一行。
ロッドは訓練も兼ねて馬車の中で〔
半径数km以内に動物やモンスターは散在しているが、街道まで出てきそうな者は無く、途中商隊の一団とすれ違う際に護衛の一部から少し敵対的な気配を感じたが、特に何かが起こる事はなかった。
夕方になり精霊の扉の指示で街道近くの広い岩場で野営をする事になった。岩場の方が何かあった時に守り易いとの事。
ジュリアン一行と護衛の精霊の扉はそれぞれ野営の準備をする事になった。精霊の扉は後方の街道を睨む位置で野営準備を始め、ロッドは少し離れた岩場に近い位置で馬車を停めて準備を始めた。
まずは簡易水洗トイレを出し、侍女達に御者にも使用方法を説明するように頼んだ。次に前回の野営で使用した大き目のファミリー用テントを3つ展開し、それぞれ、ロッド一行用、ジュリアン一行用、侍女用に寝袋も配置する。
事前に御者達は御者席で横になると言っていたが、1枚ずつ毛布は配布した。
今回は以前買っておいたLEDランタンも各テントに1つ配布し、アイリスに皆への使い方の説明をお願いした。
アイリスが説明してくれている間にロッドは夕食の準備をする。
事前に全てロッドのお任せで良いとの事だったので、鉄板で焼きそばを作る事にした。
買っておいた大型の鉄板プレートの左右にカセットガスコンロをセットし、熱した後、まず2kgの豚バラ肉を少量の油で炒めて一旦ストレージに格納する。
次にもやし、キャベツ、人参を合計2kgほど用意し、それぞれ適当な大きさでカットし、油を引き直した鉄板プレートで一気に炒め、これもまたストレージに格納する。
今度は業務用の焼きそば麺を水でほぐしながら炒め、焼きそばソースで味付けを行ない、2kg分位を作ったら先程の豚バラ1/3と野菜炒め1/3分を混ぜ合わせ、多少焼きそばソースを加えながら味を整え、完成品としてストレージに格納する。
焼きそば麺以降の調理をあと2回ほど繰り返し、ストレージに大体9kgぐらいの肉野菜入り焼きそばを用意した。
次にカセットガスコンロで鍋いっぱいの湯を張り、中華調味料と醤油と少量の胡椒で中華スープを作成し、長ネギの白い部分を大量に刻んで器に入れた。
最後に人数分の目玉焼きを作成し、ストレージに保存する。
そして侍女と御者用にもう一つ折り畳みテーブルセットと、夕食のデザートとしてシュークリームを指輪で取り寄せた。
・キャンプ用のイス付き折り畳みテーブル(30,000P)
・カスタードシュークリーム20個(4,000P)
ジュリアン達のテーブルと椅子も荷馬車から出して展開し、ロッド、アイリス、ハム美、ピーちゃんの卓、ジュリアン、ジョアンナ、リーンステアの卓、侍女2名と御者2名の卓に分け、それぞれに焼きそばと中華スープ、飲み物を夕食として配膳した。
ハム美とピーちゃんには例によって水と餌を与える。
〈夕食メニュー〉
・中華スープ(刻みネギ入り)
・目玉焼き乗せ肉野菜入りソース焼きそば
・オレンジジュース
中華スープ、焼きそば、ジュースもお代わり自由とし、焼きそばは鉄板に盛って自由にお代わり可能としたが、鉄板に乗せきれないので無くなり次第ロッドが補充する事にした。
シュークリームは温度管理が必要な為まだ出さない。
恐らく箸は使えないだろうと焼きそばの食器はフォークにし、スープにはレンゲを付け、これは麺という物を使った焼きそばという料理だと皆に説明する。
「麺という物は初めてですが(もぐもぐ)こんなに美味しいなんて(もぐもぐ)」
「お野菜も多くて美味しいです〜。このスープもお味が凄く良いです!」
「(もぐもぐ)肉もいっぱい入っていて味もこの上無く良いです(もぐもぐ)、これはいくらでも食べられます(もぐもぐ)」
ジュリアンとジョアンナ、リーンステアが焼きそばを絶賛する。
侍女達は適宜給仕をしながらの食事となるが美味しさにビックリしてから微笑み満足そうであった。
御者達は最初は主達と同じ物を食べるのを遠慮していたが、恐る恐る食べてみるとその美味しさに驚愕し、バクバクと食い付いていた。
食べ始めて少しすると精霊の扉のザイアスが匂いに釣られやって来る。
「ん〜美味そうな物食ってるなあ。その料理って何だ?」
ロッドが代表して答える。
「これは焼きそばという異国の料理だ」
匂いをクンクン嗅いでいるザイアスが涎を垂らす勢いで聞いて来る。
「ちょっとだけ、ほんの少しだけ味見できないか?」
ロッドが小皿に少しだけ温かい肉野菜入りソース焼きそばを盛り付け、使い捨てフォークと共に渡すとザイアスがたった一口で食べ、目を丸くする。
「う、美味い!美味すぎる!もっとくれないか?」
ロッドがザイアスに答える。
「味見くらいなら良いが、食事はジュリアン達と侍女と御者にだけ提供する事になっているから無理だ。
提供分が足りなくなったら困るからな」
そんな~と声を上げしょんぼりするザイアス。
いい匂いがするのとザイアスが騒いでいるのを聞いて精霊の扉の他のメンバーも食事準備中のエスティア以外がやってくる。
「ザイアス、全くお前は。ここで何を騒いでんだ?」
「しかしそっちの、いい匂いだな」
「見た事が無い料理ね」
「ザイアス、追加の薪集めは終わったんですか?」
バーンがザイアスを咎め、クラインとフランがロッド達の食べている料理の匂いと見た目に興味を持ち、マックスは薪集めの事でザイアスに尋ねる。
「それが、こっちの料理がやたら美味しそうでさ、少し味見をさせて貰ったら、本当にすっげえ美味しくて!」
ザイアスが焼きそばの美味しさを力説する。
バーンがそれを聞き温かい湯気が出ていい匂いがする焼きそばを見て喉をゴクリと鳴らす。
「ザイアスの言う通り確かに美味そうな食事だな…ロッド、悪いが俺達も少し味見させて貰っても良いか?」
「ああ。味見くらいなら構わない」
ロッドは了承し、ザイアスと同じように少量の取り分けを5人分用意してバーン達に提供した。
それぞれ直ぐに味見分を食べ終わると味を絶賛する。
「なんて美味い料理だ…」
「凄く美味しいわよこれ!」
「美味しすぎる。これは何ていう料理でしょう?」
「これは美味いな、銀貨払ってでも食べたいぞ」
バーン、フラン、マックス、クラインも絶賛する。
1つ残った分にザイアスが手を伸ばそうとし、フランに激しく手を叩かれる。
「それはエスティアにくれた分でしょ!」
ロッドがそれを見てヤレヤレと少し大き目の皿に焼きそばを山盛りに盛り付けバーンに渡す。
「これは焼きそばという料理だ。
全員に提供は出来ないが、この皿の分くらいなら余りそうだから持って行って皆で食べてくれ。
かなり気に入った様だからな」
バーン達がロッドに礼を言い、ザイアスは狂喜して精霊の扉の野営場所に引き上げて行った。
ロッドは少し減ってしまった焼きそばをストレージから鉄板に補充して、皆にまだまだあるからお代わりして欲しいと告げ、それを聞いたジュリアン達は嬉しそうに微笑んで食事を続けたのだった。
〈それぞれが食べた物、目玉焼きは各1個なので省略〉
ロッド 中華スープ2杯、焼きそば3杯、ジュース2杯
アイリス 中華スープ1杯、焼きそば1杯、ジュース2杯
ジュリアン 中華スープ3杯、焼きそば3杯、ジュース3杯
ジョアンナ 中華スープ2杯、焼きそば1.5杯、ジュース3杯
リーンステア 中華スープ4杯、焼きそば6杯個、ジュース3杯
侍女2名 中華スープ4杯、焼きそば4杯、ジュース4杯
御者2名 中華スープ4杯、焼きそば6杯、ジュース4杯
食事の最後にシュークリームをデザートとして配布し、皆に食べてもらう。
一口食べるとジョアンナとリーンステアが目を丸くして興奮する。
「ロッド様!何ですかこれ?冷たくて甘くて、美味しすぎます!」
「おおお、美味しい!美味しすぎる!」
ジュリアンと侍女達、御者達も目を丸くしながら食べる。
ロッドはこのデザートは食べ過ぎると身体に悪いので一人1つまでと説明したが、食い下がってきたリーンステアと遠慮がちに私もと申し出たジョアンナだけは追加でもう1つずつ食べたのであった。
ロッドは食事の後片付けを終え、夜間の見張りの打ち合わせのため精霊の扉の野営地に向った。
そこにいたメンバーに見張りの順番を尋ねたところ、ロッドとアイリスは見張りに参加しなくて良いとの事であった。
精霊の扉の中で2人ずつの3チームでやってしまうとの事。
下手に外部の人員を混ぜる方が自分達のリズムが崩れてしまう為、ロッド達はやらなく良いという事を説明される。
ロッドはそれを了承し、後ろから小さいカゴに入れた6つのシュークリームをこちらで食べたデザートである事を説明し、一番近くにいたフランに渡した。
早速、ザイアスが飛び付き袋を1つ取って、ビリッと破いた後にかぶり付く。
「うんめえーっ!何だこれ?(もぐもぐ)甘くて美味い!」
ザイアスが絶賛するので他のメンバーも寄ってきてどれどれと一口食べる。
「えっ!何これ?美味しすぎるわ!」
少し警戒していたエスティアだったが甘い物には目がなく、一口食べて見ると冷たくてトロッとして凄く甘いシュークリームは今まで食べた事が無い至福の味だった。
口元に少しクリー厶を付けたまかぶり付くエスティア。
「ん〜〜!(もぐもぐ)美味しい!」
フランも同様に気に入った様だ。
他のメンバーも口々に美味しさを讃えた。
ロッドが食べ終わったメンバーのビニール袋を回収していると、皆お礼を口にするが、ザイアスだけは持っと食べたい!と言い出す。
ロッド達が9人で一個ずつとリーンステアとジョアンナのお代わりで11個、パーティーにおすそ分けした分6個を合わせると17個なのでまだ3個ある。
「あと3つだけある、そちらで分配してくれ」
ロッドが残った3つをリーダーであるバーンに渡すと、最終的には女性二人とザイアスの物になったようだった。
ロッドは自分のテントに戻り、アイリス達にも見張りが必要ない旨を説明して今日は何事も無く眠りにつくのであった。
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