ゲーム『幻想水滸伝Ⅱ』
キャッチコピーは「その強さがあれば、全てを守れると思った」。
1998年に発売されたPlayStationのRPGです。25年前だね。……え、25年……? 嘘だろ!?
25年前のゲームを今から新たにプレイするという方がどれだけ存在するかわかりませんが、ネタバレ全開でいきますのでよろしくね。
うっかり新都市同盟軍のリーダーになってしまった主人公の少年が、敵対するハイランド王国打倒を掲げ、バラバラだった都市同盟をまとめ上げて戦うという内容です。
新都市同盟(味方)VSハイランド王国(敵)。
シリーズの二作目である今作では、後世で「デュナン統一戦争」と呼ばれる戦乱が描かれます。
で、敵対するハイランド王国は王族に婿入りし、なんやかんやで王族を一掃し、上り詰めた親友、ジョウイ・アトレイドくん(17)が率いているっていう……うそだろジョウイ、ずっとぼくらは親友だって約束したじゃんか!!!!!
袂を分かち戦場でぶつかり合う親友がちょいちょいこちらを気にかけてくる。なんか本当はこんな事態望んでないんだろ、ってのを匂わせてくる。
じゃあなんで戦うんだよ……!
それはね「その強さがあれば、全てを守れると思った」からだよ。
主人公もその姉も含めて大切な全部を守りたかった。だから王国を利用する。そして守りたかった主人公と敵対してしまうんだ……なんてこった、ジョウイ……ジョウイ……やだよ、帰ってきてよ……一緒に戦おうよ、ジョウイとは戦いたくないよ……。
そんな感じでハイランド王国をぶっ潰すゲームです。
なんかもう、とにかくストーリーが良い。いちいちゲームやるのにそのゲームの評価とか考えてないけど、ストーリーが百点満点中百億点です。ありがとうコナミ。
最後にプレイして何年経とうとも、これだけの熱量で語ることができる、心に深く残る作品です。
東洋風と西洋風、その他色々な文化風習民族が存在し描かれている世界観も好きです。
世界の中のある地域を描く作品であり、その土地に暮らす文化風習人種の違いなどなどがわりとシビアに描かれます。
基本的にはとある地域で起こった武力抗争。戦争が描かれるシリーズです。
魔王がいたりする勧善懲悪な世界観ではなく、人の国と国が衝突するもの。
権謀術数はもちろんのこと、犠牲となる市民や、重圧に苦しむ領主さま、虐げられる種族や、それまでに重ねられてきた歴史がある。それぞれの言い分がぶつかり合う世界です。
そんな世界で主人公は多くの人との出会いと別れを繰り返し、その思いを託され背負い、進み続けるのです。
とても丁寧に作られたRPGだと思います。
ストーリーにほぼ全振りみたいなところがあるので、戦闘やダンジョンもあるにはあるのですがその辺は結構あっさりしています。
ゲームとしての難易度は低く、普通にプレイしていれば全滅でゲームオーバーとかできないし、レベル上げの必要もありません。遊びの要素は多いけれどもね。
なんせ仲間を108人集めるからね。水滸伝モチーフなので。
この108人は必ずしも全員戦闘に参加、とかではなく非戦闘員も結構いる。本拠地システムがあるのでその本拠地要員(武器屋さんとか道具屋さんとか)だったり、シナリオには絡むけど戦闘には不参加、みたいなキャラも多いです。
軍師のシュウ兄さんとか。
キャラとしてはシュウ兄さんが好きです。
このシュウ兄さんというひと、前作の幻想水滸伝Ⅰで登場した名軍師マッシュ・シルバーバーグ氏の(思想の違いで破門された)直弟子なのですが、ある日交易商としてぶいぶい言わせていたら妹弟子のアップルちゃんが唐突にやって来て負け色濃厚のぽっと出の軍の軍師やって欲しいとか言われます。
しかも甘ちゃんの妹弟子と一緒に誘いに来たのはなんもわかってなさそうな子ども(主人公)。普通に冗談じゃねえよ早くお家にお帰りよ、ってなもんなんですけど、でもシュウ兄さんはなんだかんだ言って助けてくれるのです。
アップルちゃんの粘り勝ちとリッチモンド探偵のアシストのおかげで。
そして脳筋軍団を背負って普通に生きてたらしなくていい苦労を背負い込み血も涙もない鬼軍師などと言われる羽目になります。
まあ、血も涙もないかもしれない。超現実主義者で、理想主義者のマッシュとは相容れないんだろうね。でも私はいざとなったら手段を選ばない人間が好きです。味方からどう思われようとも勝利のためならなんでもするんだ。
でもね、必要なことはきっちりやって、余力さえあればちゃんと優しいこともしてくれるんですよ。
そんなシュウ兄さんの真骨頂と言えば、やはり中盤のルカ様戦でしょうか。
天才的な武人かつ、狂皇子などというどう考えてもまともではない渾名がついているルカ様を殺すやり口は、なかなかに興奮するものでした。
攻め滅ぼした村で命乞いする村人の女性に豚の真似をさせた挙句「ブタは死ね!!!」などと言い斬り殺すっていう……今改めて思い返してもドン引き案件を多発させるルカ様もまあ大概なんですが。
そのルカ様を追い詰め、連戦してタコ殴りにして主人公と一騎打ちをさせ、最後は一斉に矢を放つっていう……いや、まああのルカ様だから、別に同情の余地も無いし絶対殺らなきゃな場面でしたが、「絶対殺す」感がね、殺意がすごい。
勧善懲悪の世界ではないにしろ、この殺し方を味方がすんのかい、っていう衝撃は少なからずありました。
まあその瞬間はルカ様の「俺は!!!俺が想うまま、俺が望むまま!!!!邪悪であったぞ!!!!!!!!」って叫んで絶命する方に意識持ってかれるけどね。ルカ様アンタすごいよ……。
その他、主人公と姉のナナミ、親友ジョウイは既に殿堂入りするぐらい好きなんですが、風来坊ビクトールと青雷(笑)フリック、吸血鬼の始祖シエラさまとツンな少年魔導師ルックが大体お気に入りのパーティメンバーでした。
あとは毎回山越えして迎えに行かないといけない前作、幻想水滸伝Ⅰの主人公、坊ちゃん。庶民の義務として、毎回坊ちゃんをお迎えに馳せ参じておりました。
ルックはね、そうね。
ルックね、うん。ずっと一緒に戦ってきたよね。一作目の幻想水滸伝Ⅰからね。
だから幻想水滸伝Ⅲでラスボスになってしまったことが、私はどうしても受け入れられませんでした。
まあこの辺は作品内での圧倒的な説明不足もあったかな、と思わなくもないんですけど。今プレイしたらまた違った感想を抱くのかもしれません。
幻想水滸伝Ⅲ発売が2002年。まあ二十年前だね。二十年前のゲームについて未だにあーだーこーだ言ってる私すげえ粘着でキモいなと思います。笑
幻想水滸伝Ⅱは既に五周以上プレイしています。
よくもまあ同じゲームそんなにプレイしますね、と自分でも思いますが、できれば今Switchでプレイできるようになってほしい作品です。何周でもします。
もしかしたら思い出補正はあるのかもしれませんが、それも含めて楽しむとも。
2024年4月23日に発売予定で幻想水滸伝シリーズの精神的続編と謳っている『百英雄伝』を今から楽しみにしています。
そんなわけで、その後の私の創作に多大なる影響を及ぼした『幻想水滸伝Ⅱ』でした!
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