第28話 二人は互いを見て何を思うのか


 憲一side



 放課後のとあるカフェ


 俺は学校が終わるなり、いそいそと学校を出た。戸惑う璃乃の手を振り解き、俺は早足で家に行って私服に着替えてから約束の場所へと向かった。


 結構オシャレなカフェ。


 そこに座っているのは、黒髪の美女と金髪の美女。


「見て!めっちゃ綺麗だけど」

「大学生かな?」

「芸能人?」


 客や店員のほぼ全てが彼女らの外観を褒め称えるが、彼女らが微動だにしない。


 俺の存在を確かめる前までは。


「憲一くん〜」

「おっそい!」

「す、すんません」


 彩音さんは手を振っているせいで、その黒いニットが包んでいる大玉スイカ代の胸がデーンと揺れ動く。そして、オシャレなシャツを着た奈津子さんが腕を組んで俺を睨んできた(胸が強調されている)。


 なので、頭を下げつつ彼女らがいる席に座った。


 すると、奈津子さんが口を開く。


「女たらし」

「え?」

「まあ、優奈を救ってくれたわけだし、別に悪くは思わないけど」

「そ、それはどうも……うう!」

 

 奈津子さんが俺にヘッドロックをしてきた。

 

 苦しい……


 柔らかすぎるのが当たりすぎて色々苦しい……


「一体どれくらいの女を助ければ気が済むの?」

「ん……んん」


 奈津子さん、そろそろ解放してください。


 俺がギブアップと言わんばかりに、奈津子さんの太ももを叩くと、彼女は体をひくつかせて、離してくてた。


「んで、憲一はどうするつもり?」

 

 奈津子さんが頬を桜色に染めて問うてくる。無論彩音さんもガン見しているわけで……


「今まで通りってことで」


「「ほお……」」


「なんですか?その反応は……」

 

 二人とも俺にジト目を向けてきた。


「憲一くんは、私たちの娘には興味ない?」

「は、はい。別に仲良かったわけでもありませんし」


 俺の返事に二人は一瞬口を半開きにした。


 なんで驚くんだよ。


「そっか……憲一くんがそう思うなら、

「まあ、そう思われるように振る舞った二人にも


 やがて、二人はほくそ笑んで俺を見つめる。


「な、なんですか……」


「憲一」

「憲一くん」


「は、はい」


「「娘にはこれからも手出すつもりないわよね?」」


「もちろんですよ!俺はそんなこと一度も考えたことないです!むしろ、あいつらは俺のこと嫌ってますから」


 と、俺に言われた二人は急にクスッと笑だす。


 全然流れが掴めずにいると、彩音さんが言う。


「憲一くん」

「ん?」

「私は別に構わないわ。奈津子さんさえ良ければ」

「私もいいに決まってんだろ!でも、一つ条件がある」


「じょ、条件?」


 奈津子さんが持ち出した条件とはなんぞ?と、俺が疑いの眼差しを向けると、



「もし、優奈とエッチすれば、優奈と結婚しろ」

「え?」


 俺が戸惑うと、彩音さんが追随する。


「そうね。璃乃の処女を奪ったら、憲一くんには璃乃と結婚してもらうからね」


「……もし、璃乃と優奈、両方とやれば」





「「殺す」」



「はい……」




 

 まじ怖っ。虫の一匹や二匹なんか軽く殺せるレベルの視線だ。



「でも、なんで結婚を?」


 俺がはてなと小首を若干傾げて問うと、二人は恥ずかしそうに口ごもりつつ言う。


「優奈は私の一人しかいない娘だ。だから、幸せになってほしいわけ。そんな私の優奈を傷つけるような真似をする男が現れたら、あそこを切り落とすから」

「私も、奈津子さんと同じ気持ちよ!」


 と、二人は急に俺の股間を見つめてくる。


 あそこ切るって……冗談でもやめてくれ。


 いや、表情がまじだ。


「わかりましたよ。でも、俺、本当にあの二人に興味ないから……」



「「ふふ」」



 二人は俺に妖艶な視線を向けてただただ笑うだけだった。


 それから、俺たちは




 ラブホへと向かい、激しすぎる運動を3時間にも渡ってした。




X X X


璃乃、優奈side



優奈の家

 

 今日友達になった二人は、実に仲良さそうに柊家にやってきた。そして、優奈の部屋で作戦会議中である。


「璃乃」

「?」

「私のママと璃乃のお母さんと憲一って、いわゆるセフレ関係だよね?」

「……多分ね」

「女の味を知ってしまった憲一に正攻法で攻めても多分絶対勝てないわ」

「デートとか、私たちの気持ちを包み隠さず伝えてもダメかな……」

「あっちは毎日やりたい放題でしょ?次元が違うの!次元が!」

「……」

「じゃ、どうすればいいの?」







「私たちが憲一くんのセフレになればいいのよ」


「セセセセセセセセセ、セフレ!?!?」



 


 セフレという言葉を聞いた途端に璃乃は目を丸くして、後ずさる。


 対して、優奈はどこかもどかしそうな様子を見せながら切羽詰まった顔をする。


 このままだと、憲一を永遠にとられる。それは絶対いや。憲一は私のものという意味を孕んでいそうな視線を優奈から受けた璃乃は、




 驚きつつも、お腹がだんだんあつくなり、頬が少し赤く染め上がる。


 二人は全く違う反応を見せているが、


 そのマゼンタ色の瞳と青色の瞳は互いの姿を綺麗に写して


 二人は


 微かに口角を





 吊り上げた。





追記



 

 修羅場は続く

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