第11話 ギャルと美人バーテンダー
数日後
俺は一つ気付かされた。
新しい快楽をしってしまった高校生の性欲はマジでやばいこと。
そして、彩音さんの愛がとても重いこと。
俺たちはここ数日、結構な頻度で関係を持ち、お互いを求め合った。
嘘から始まった関係。
おそらく、大人たちはこんな感じで生きていくのだろうと、勘繰ってみる。
つまり、俺も大人になったということか。
母さんと裕翔にはバレないようにしているが、いつバレるかはわからない。
そんなスリルは決して嫌じゃなくて、むしろ俺を興奮させてあまりある快感だった。
内田とはあれからクラスである程度話すようになり、昔のようなギクシャクした雰囲気はなくなった。
「また明日な!」
「おう!裕翔、気をつけて帰れ」
久しぶりに裕翔と一緒に学校を出た俺は家へと向かう。
今日は彩音さんとの約束はないから、そのまま家に行って筋トレでもしようではないか。
体を鍛えるのはとても大事だ。
彩音さんと関わってから身をもって知ることができた。
と思いながら歩いていると、
いかにもチャラそうな金髪男がいかにもギャルっぽい制服姿の女の子の袖を引っ張っている。
「離して!マジで迷惑なんだけど!」
「おっほほ!JKちゃん!俺と遊ばない〜?良いこと教えてあげるからよ〜」
「チャラ男のくせに、私に触るなよ!」
「なんだと!?」
「ブッサイクの癖に分を弁えろっつーの!」
「このクッソあまが!」
いや、何もそこまで相手を怒らせることないじゃんか。
まあ、あの子なら無理もないか。
俺と同じ学校の制服を着ている彼女の名前は柊優奈。年は俺と同じで、入学したての頃は、先輩たちからものすごい告白を受けてきたけど、
だが、ご覧のように火のような性格しているから、もはや毒舌を吐かれまくった男子諸君はメンタルがすり減って、彼女にあまり近づこうとしない。
内田とは真逆の人だ。
パパ活をしているだの、大学生やサラリーマン、既婚者と良からぬ関係をもっているとの噂で、正直、俺が苦手とする人だ。
噂の真偽はともかく、あの性格だからな。
正直、外見は内田に負けず劣らずだけど、あの毒舌を吐かれるのはごめんだ。
なので、俺は知らないふりをして、通ろうとしたが、
「なめんじゃねーぞ!すっげかわいいからと言って、調子に乗るんじゃねー!」
「きゃ!」
怒り狂ったチャラ男は、急に柊を壁に押し付けて、壁ドンした。
ここは住宅街。
人があまり通らないところなので、周りの人たちはなるべくわざと遠回りして、二人と関わらないようにしている。
「おい、口癖の悪い子には、悪戯しちゃうぞ……うっひっひ」
「警察に通報するわよ……どうせそんな顔なら女の子にもてないんでしょ?モテない上に犯罪者になるなんて、本当に人生棒に振ったね!あはは」
「そうね。俺がお前をメチャクチャにしてお前の人生も終わりなんだけどな!」
「っ!なに……あんた、気狂い?自分がなに言ってるのか、わかってんの?」
「あはは……全部お前のせいだからな」
と、チャラ男は目力を込めて、右手で柊の肩を抑えて左手で彼女の豊満な胸を鷲掴みにしようとする。
そして、
これまで隠れて二人を見つめていた俺を見つけた柊はその鮮やかな青い目を潤ませた。
ったく……あんな表情されたらな、
それに、柊が挑発したとはいえ、あの男がやろうとするのは明白な犯罪行為だ。もし、あの場にお巡りさんがいれば早速現行犯逮捕され、牢屋ゆきだろう。
それに、父さんとの約束もあるし、彩音さんとのこともあって、今の俺は至って冷静である。
「なにやってるんだ!この野郎!」
「はあ?」
そう大声で叫んだ俺を見たチャラ男が驚いたように、後ろを振り向いた。
なので、俺はポケットから携帯を持ち出して、それを振り翳し、高らかに言う。
「今の、全部録画しましたからな!今すぐ柊から離れないと、マジで訴えるよ」
「な、なんだと!?」
「早く柊から離れて、去れ。じゃないと、分かるよな?」
「クッソ……クッソクッソクッソ!!!あああああ!!!!!」
チャラ男はそう叫んで、全力で走り去った。
もちろん、録画はしてない。
俺にそんな甲斐性なんかない。
だけど、
彩音さんに俺が21歳だと騙したように、
別に嘘をつくことに対して、抵抗を覚えることはない。
まあ、タチの悪い嘘であれば話は別だが、性犯罪者予備軍に嘘を言ったって痛くも痒くもない。
チャラ男が去ったことで、腰が抜けた柊はそのまま地面に座り込む。おかげでパンツ丸見えだけど、これは指摘しない方が良かろう。
「大丈夫か?」
と、俺が彼女に訊ねると、柊は急に目を逸らして、ぶつくさ言ってくる。
「別に、あんたの助けなんかなくても、私全然平気だったの。余計なお世話よ」
お、おい……
それが助けた人に対する態度かよ。
顔はすごく綺麗だから余計腹立つんだけど。
まあ、
なんだ
昔の俺なら、きっと、悲しんだと思う。
自分が助けた人から悪いことを言われるなんて。
消防士だった父さんも、救出した人にボロクソ言われて一時期悩んでいたな。
でも、
俺は大丈夫。
なぜなら、
彩音さんがいるから。
「あっそ。悪かったな。んじゃ」
素気なく言った俺は、そのまま見向きもせず、彼女を後にした。
「え、え?ちょ、ちょっと……」
後ろから何か聞こえた気がするが、俺は無視して我が道を歩む。
X X X
彩音side
夜
とあるバー
高そうなお酒が所狭しと陳列されているバーに一人の美女が入ってくる。すると、周りにいる男性客が目を丸くし、彼女・彩音の体を舐め回すように見てくる。
すると、
「えっへん!」
金髪の美女バーテンダーがわざとらしく大きく咳払いして、顔を顰めた。すると、男性客は、おじけついて、いそいそと彩音から目を離し、酒をちびちび飲み始める。
そんな男性客を一瞥したのち、彩音はカウンター席に座って、その美女バーテンダーに向かってにっこり微笑む。
「久しぶりね」
と、彩音が言うと、その金髪の美女バーテンダさんも頬を緩めて、口を開く。
「良いことでもあったの?」
「ふふ、ちょっとね」
と、色っぽく笑う黒髪の彩音。
すると、青色の瞳を持つ金髪の美人バーテンダーは口角を吊り上げて、早速カクテルを作り始める。
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