ラトソールダンジョン
ラトソールダンジョン4
一日地球で過ごした後、再びラトソールに来た。ちなみに、ラトソールで泊まった宿は良くも悪くも普通だった。セントロマイナで利用している宿ほどは高級でないが、そこらのビジネスホテルよりは快適……といった具合だ。
さて、今日はラトソールダンジョン30層以降の探索だ。どんな敵がいるのかな? 楽しみである。
「魔力回復薬の準備よし!」
「武器の手入れも済んだわよ!」
「生命力回復薬もばっちり」
「じゃあ、早速行くか!」
「「「おー!」」」
さて、これまでラトソールダンジョンで出現した魔物をリストアップしよう
・1~9層
サンドスフィア
ロックトータス※
ストーンドール
・10層ボス
ロックトータス
・11~19層
ロックスフィア
アイアンドール
・20層ボス
アイアンアーミー×10
・21~29層ボス
マグマスライム
新品のアイアンドール
水晶兵士※
・30層ボス
水晶騎士※
この内、※印がついた敵がスタンピードの影響で、本来よりも下層で出現していると聞いた。
例えば1~9層にいたロックトータスは本来10層のボス。21~29層にいた水晶兵士は本来30層のボスらしい。そして、水晶騎士は40層のボスとのことだ。確かに、炎で高温にした後、水をぶっかけるという戦略を思いついていなかったら、相当苦労していたと思う。そっか、あいつは本来、40層のボスなのか……。
「徐々に上層の魔物が下に降りてきているみたいだな」
「だったら、最上層はどうなってるのかしら?」
「未知の強力な魔物、ボスが複数体……。どっちも嫌だね」
スタンピードによっては、完全に未知の魔物が見つかるらしく、その素材は高価で取引されているらしい。で、ボスが複数体ってパターンは良い事なしとしか言えないな。
「さて、ここが31層の訳だけど……」
「火山ね!」「火山だね」
遠くに、綺麗な円錐型の山が煙をモクモクと放っているのが見える。また、フィールド内も所々から煙が上がっており、活火山の傍であることが察せられる。
「毒ガスダメージとかあるかもしれないわね」
「あと、熱気が噴き出てる所で火傷とか」
「うわあ、どっちも嫌だな。気を付けて進もう」
魔物に関してだが、マグマスライムと新品のアイアンドールが一緒になって現れたり、水晶兵士と出くわす確率が上がっていたりと、21~29層を少し難易度を上げた感じになっていた。
また、新しい魔物も姿を見せた。マグマスパローはその名の通り、マグマで出来た雀。空中からマグマを落としてくるいやらしい敵である。
「アユ君、向こう。マグマスパローが一匹いるよ」
「お、ホントだ。フリーズバレット!」
水魔法の応用で、過冷却水(0度以下だが凍っていない水)を発射する。過冷却水は少しの衝撃で氷になる性質があるので……。
『ピジュ?!』
マグマスパローに着弾すると同時に氷漬けにする事が出来る。
「お、ドロップが出たな。これは鶏肉か? えーと『激辛鳥肉』だって」
ツーンというにおいを放つ真っ赤な肉がドロップした。うーむ、俺達三人は辛党という訳じゃないからなあ。取りあえずマジックバッグに放り込んでおこう。
とまあこんな感じで、マグマスパローは氷魔法で牽制・狙撃すると、簡単に退ける事が出来る。
あと、魔物ではないが、パン皮状バクダンという見た目がパンそっくりな物を見かける事があった。近づくとマグマを吹き飛ばしながら爆発する、一種のトラップのようだ。魔物じゃないので、壊すことは出来ても、倒すことは出来ない。つまり、ドロップアイテムが無いので、邪魔としか言いようがない存在である。
35層辺りからは、ソイルダイルという全長2メートルもあるワニが現れた。
ドロップアイテムはワニ革だった。財布とかバッグにすればかっこいい……かも?
「向こうにソイルダイルの気配がするぞ。どうしよう?」
「向こうには水晶兵士が目視できるよ。合流されたらいやだね」
「うーむ。離れた場所に誘導してから倒すか」
という具合に、敵の数が増えていることも厄介だった。特に怖かったのは、マグマスパローの大群を相手取っていた時に、ソイルダイルが現れて、尻尾攻撃に当たってしまった時だ。生命力が三割以上吹き飛んだのを見て、冷や汗が出たよ。
さて、昨日は一気に30層まで進んだけれど、今日は丸一日かけてゆっくり40層まで向かう予定だ。だから、今日のお昼ご飯はダンジョンの中で食べる事になる。
日本と違って、こちらの世界には「お弁当」という文化が無い。サンドイッチのような食べ物を持ち歩く事はあっても、わざわざ箱詰めの料理を作ったりはしないのだ。欧米に近い感じだな。
で、今日のお昼ご飯はディスクケーキだ。この世界で初めて買った物と言っても過言ではない品物。あの時はデザートとして食べたが、今日のは総菜が入ったタイプだ。生地が分厚いクレープって印象を受ける。
「ん! 美味しい! 『猪突モー牛』のお肉は美味しい」
「こっちのも美味しい! これって『トレントマト』の実よね?」
猪突モー牛は牛肉と豚肉の中間のような味で、普通に美味しい。トレントマトはとてつもなくフルーティーな味のするトマトだ。
そういえば、日本でもダンジョン攻略が始まったら、こうやってダンジョンでご飯を食べる習慣が出来るのかな? だとしたら、ダンジョンの入り口でお弁当屋とか開いたら儲かりそうだな。
なんてことを考えながら、昼飯を堪能した。ごちそうさまでした。
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