地球に魔力がやってきた～魔法もダンジョンも夢で予習済みです～

閑話：ゴールデンウィーク中の一幕、加奈との一日

『今日はゴールデンウィークに家族で楽しみたい、お手軽DIYの紹介です！』

　俺と加奈は今、和室で二人寄り添って寝転びながらMyTubeを見ている。なんとなく見始めたDIY作家のMyTubeチャンネルが面白かったので、それを眺めていたら、加奈が隣にやって来たのだ。

『本日紹介するのは、手作りアクセサリー！　UVレジンを使ってアクセサリーを作ってみましょう！』

　完成形の見本として、様々なアクセサリーが紹介された。キーホルダー、ネックレス、指輪などが紹介される。

『まずはUVレジンの扱い方から説明します！　UVレジンとは……』

　UVレジンとは特殊な樹脂であり、紫外線を当てる事で硬化する特徴を持つ。型に流し込んでからUVライトを当てるだけで、簡単にアクセサリーを作る事が出来、初心者でも扱いやすいアクセサリーとのことだ。百均でも取り扱っているらしい。

　その後、百均で買うことのできる型（シリコンモールドという名前らしい）を使って、簡単なアクセサリーを作る様子が流れた。へえ～。本当にお手軽にアクセサリーを作れるんだな。

『さて、応用編として、こんなものを作ってみましょう！』

　最後に映し出されたのは花が埋め込まれた指輪。男の俺でも「可愛いな」と分かるアクセサリーである。

『これはドライフラワーを埋め込んでいるのですが、なんとこれも百均で買う事が出来ますよ』

　すごいな。こんな可愛い指輪が、元手数百円で何個も作る事が出来るのか。

　ちらっと加奈の方を見る。じぃ～っと画面を見つめている。

「作ってみたいのか？」

「ん。これは可愛い。一緒に作ってみよ？」

「いいぞ。俺も気になってたんだ。一緒に材料を買いに行こうか」

◆

「むう。なかなか難しい……」

　動画では簡単そうに作っていたけれど、いざやってみると奥が深い。どうしても気泡が入ってしまったり、ドライフラワーが変な方向を向いてしまったりする。

　何度もトライし、少しずつ慣れてきたとはいえ、「可愛い！」と思える作品はなかなかできず……

「なんやかんや、10個以上完成したな」

「うん。でも、可愛く出来たのはアユ君の作ったこの二つだけ……」

「加奈が作ったやつも可愛いと思うよ。これとか」

「むー。悪くはないと自負してるけど、良くも無い」

「そっか。じゃあ、この二つは加奈と姉さんにプレゼントするね」

「いいの、貰っても？」

「流石に男子が付けるには可愛すぎるからなあ……姉さんも呼んでくるよ」

　という事で、受験勉強に勤しんでいる姉さんを呼ぶ。

「あら！　かわいいじゃない！　自分達で作ったの」

「ああ。で、俺が作った中で特によく出来たと思う二つを二人にプレゼントしようと思って」

「いいの？！　ありがと！　アユ、つけてくれる？」

　姉さんが左手を前に出してきた。

「私にも」

　加奈も左手を前に出す。

「え?!　お、おう、分かった」

　これって薬指に付けてくれって事か？　左手の薬指。かつてそこが心臓に繋がっていると言われており、そこから転じて結婚指輪をはめる習わしが出来たとされる指。

　二人の指に、作った指輪をはめる。

　二人は左手を顔の前に持っていき、指輪をまじまじと見つめている。

「「ありがと」」

　そう言って笑う二人の笑顔は凄く幸せそうで、そして凄く美しくて……

「ずっと一緒にいてくれますか？」

　そう俺は言った。

「ええ、もちろん！」

「うん、嬉しい」

　俺達兄妹（きょうだい）姉弟（しまい）はずっと一緒だ。