招かれる者たち(ユニット:ゲルハルト&ゼルシオス)

 その頃。

 セントラルに到着したFFXX本隊は、ある程度の自由行動に移っていた。いくらかのグループに分散し、思い思いの行動を取っている。

 買い物をする者、艦内で待機する者、そして……とりあえずセントラルを散歩する者。


「悪くねぇな。ヴェルハイムとは違ったおもむきがあるぜ」

「どこかベルグレイアと似た雰囲気だな。この地でもっとも栄えている都市か」


 観光というか散策というか、歩く以外に特段目的を持たないグループ――ゼルシオス、ゲルハルトとパトリツィア、フレイアとヒルデの5人だ。

 連戦の疲れを癒すべく、また息抜きをするべく、一時的に艦から降りているのである。


「ごはんどうするー?」

「さっき食べませんでしたっけ?」

「いやー、もっと食べたくて」

「見た目以上の大ぐらいだな……ん?」


 と、フレイアの目に黄金きんの粒子が見える。


「またか。なあ、何か見えなかったか?」

「ん? ああ、チラッと……」

「何かあるようだな」


 すっかり慣れたゼルシオスたちは、見えた方向へと歩みを進める。

 と、正面から、会話しながら歩く二人組が見えた。


「お前、あの噂知ってっか?」

「ああ。『地下の奥地に遺跡がある』っつーアレだろ? アレ」

「それな! にしても、さっきの5人……」

「つーか3人だろ? おっぱいデケーな、おい」


 フレイアとヒルデがそれぞれHカップ、パトリツィアに至ってはKカップである。でかいに決まっている。

 ……閑話休題、二人組の会話を耳にした5人は、早速反応を示した。主にゼルシオスとパトリツィアが。


「地下の奥地にある遺跡ねぇ……宝でもあんじゃねぇのか?」

「ちょっと気になるよねー」


 集まっている5人の中では、特に直感的な二人だ。似た気質を持っている。


「とはいえ、そうは見つからないだろう。普通なら、な」

「ゲルハルトの言う通り。何かにまた導かれている気がするな」

「あの粒子、なんなんでしょう? 事あるごとに見てますよね?」

「お、誰か来るぞ」


 と、明らかにゲルハルトたちの元に来る青年が、一人。


「探し物なら、俺が案内しよう」

「探し物だぁ? 遺跡のことか?」

「ああ、そうだ」


 シューヤである。


「君、誰? ……いや、何者?」

「大した者ではない」

「嘘つけぇ! 誰だか分かんねぇけど、俺の目はごまかせねぇぞ?」


 全身からあふれ出るタダ者ではない気配を見て、ゼルシオスたちは一気に警戒態勢を取る。


「フッ、その直感……今まで見てきた通りの鋭さだな。まあいい。俺のことは『シューヤ』と呼んでくれ」

「シューヤ、か……。それで、遺跡はどこにある?」

「君も俺の仲間か。まあいい。俺が先導しよう」

「危険なニオイがするぜ。ま、俺は行くけどよ」

「俺も行くか。興味が無いわけではないからな」

「ボクもー!」

「決まりだな」

「ちょ、ちょっとみんな? ま、待って~!」




 半ばなし崩しではあるものの、かくしてシューヤはゲルハルトたち5人を連れて行くことに成功したのであった。

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