ワガママ乙女の元に3(ユニット:代行者一行)

「誰かしら!?」


 いきなり扉が開いたことで、中にいる少女が驚愕の様子を見せる。

 侵入者など珍しくもないが、しかしいきなり自室の扉が開くまで侵入を許したことなど、過去には一度として無かったからだ。


「うろたえるな。我は神錘の代行者。汝に助力をしたく、こうして参った次第だ」

「助力!? 敵じゃないのよね!?」


 驚愕が引かず、通り越してもはや恐慌というか錯乱に近い状態になっている少女。

 だが代行者は、全くもって冷静であった。


「我、汝の想い人と汝とを引き合わせたく。この言葉、受け止めるが良い」

「なっ、なんで、それを……!?」


 少女――サン=スィルが驚くのも、無理はない。

 ――いかにスィルが死神であっても、予想など出来ようはずもなかった。


 代行者は、淡々とスィルに告げる。


が主と、この神錘が汝の元まで我を導いた。汝が肯定すれば、我が主は汝の想い人の元まで汝を導くであろう」

「そ、そんなの、信じられるわけ……」


 震える声で否定を示すスィルだが、代行者の神性が、そして表情と言葉に宿る意思が、“偽り”という可能性を否定する。


「どうした? 信じぬと言うのならば、好きにするが良い。もっとも、我以外は巻き添えとなるゆえ、要塞の外に放逐するがな」

「死んでもいいってことなのね?」

「当然だ。我の言葉は神の言葉。違えた代償は、我であっても軽くはない」

「……」


 スィルは数秒――しかし何十倍にも引き伸ばされたような感覚――ほど熟考し、決断を下す。


「決めたわ。孤立無援のこの状況で、私の前に姿を現した度胸……そして、貴方の言葉。一度は信じてみようじゃないの」

「ならば、話は早いな。我と共に来るが良い。従者を連れても良いぞ」

「そうね……だったら。…………来なさい!」


 スィルは集まってきたアンデッドメイドから、5体を選出する。


「あまり数が多いと困るでしょ? 連れて来た人数、そんなに多くなさそうだから」

「気を遣ってくれるとはな。いざとなれば、大勢であっても一斉に送り届けてもらうのだが」

「代行者よ、私たちだけであればともかく、今は戦艦と同道の身。世話になっている彼らに迷惑をかけるわけにはいかぬ」

「おっと、そうだったな。さて、支度は整ったかな? 乙女よ」


 代行者がスィルに確認を取ると、スィルは力強く肯定した。


「当然よ! アイツを……リルヤを助けるんだからっ!」

「燃えてるねー、お姉ちゃん」

「スィルよ。サン=スィル。よろしくね」

「私はカティンカ! よろしくね、お姉ちゃん!」

「みー……私はミミミ。見たところ、貴女も私と同じ、死神。よろしくね」

「ヴィグバルトだ」

「私はロイヤ。ロイヤ・ホープフルロードです。どうぞ、お見知りおきを」

「フォルテシアよ。想い人がいるならから、安心してネ♪」


 代行者一行が、待ってましたとばかりに自己紹介をする。

 談笑がひとしきり終わるのを見届けてから、代行者が切り出した。


「では……。主よ、我らを導き給え」




 その言葉と同時に、スィルと一行は要塞の外へと転移したのであった。


★感想

 ようやくスィルと合流させられました。


 キャラ設定をうまく拾えていませんが、ポンコツに関してはおいおい。

 話し方は……最悪時を巻き戻し書き直します。


 リアル事情で更新が遅くなってきてしまいましたが、投げ出しはしませんので! とはいえ、場合によってはさらに巻く(一部、予想しうる展開をカットする)かも?

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