ネメシスの帰還(ユニット:FFXX本隊)

 その頃、ドミニア艦内では。


「何!? ネメシスが逃げた!?」

「逃げたというか、飛び出したというか……まあ、今は外にいると思うよ。間違いなく」

「あいよ!」


 パルティスからの報告を受けたゼルシオスは、急いで格納庫に向かう。パルティスも、同行していた。


「どうした?」

「まだ実感はわかないが、彼女は私の弟子だ。弟子を見捨てて、寝覚めが良いわけがないだろう。それに、美しくも完璧でもない!」

「やっぱお前、おもしれーやつだよ。そうこなくっちゃな!」

「ああ!」


 こうして、ヴェルリート・グレーセアと竜形態と化したパルティスが、ドミニアから発艦したのであった。


     ***


「ネメシス! ……ナーちゃん! 無事みてぇだな」

「いきなり飛び出すとは、完璧な私でも驚いてしまったよ」


 無事に戻ってきたネメシスとナーちゃんを見て、安堵するゼルシオスとパルティス。


「ところで、そこの竜は誰だ?」

「彼女はシエル。あたしの新しいお友達です!」

「よろしく……ふふ……」

「それで早速申し訳ないんですけど……ゼルシオスさん、彼女を戦わせないであげてくれませんか?」

「ほう?」


 いきなりのネメシスの言葉に、面食らうゼルシオス。


(嘘は言ってねぇな……。そんでもって、シエルに敵意もぇ。……ついでに、あらゆる戦意もぇ。つーか、戦いってもんに疲れ切っちまってんな。ネメシスがそう言うのも無理ねぇか)


 詳細な過去までは拾えないものの、ネメシスの懇願の理由は掴んだゼルシオス。


「わーった。とりあえず、パルティスと同じとこいたらいいだろ。歌、もっと聞かせてやるんだろ?」

「は、はい!」

「……練習して」


 しれっと毒舌を混ぜてくるシエルだが、敵意は無い。


「……そういうわけだから、よろしく……お願いします」

「ああ! 俺が、話を付けといてやるよ!」

「では、戻るとしようか! お互いまだまだ歌い合いたいだろう!?」

「はい!」

「……歌ジャンキーが、二人……」

「…………」




 こうして、全員は無事に本隊まで帰還するのであった。

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