ネメシスの直感(ユニット:深棲竜ネメシス)

「……?」


 黄金きん色の輝く粒子を見たネメシスは、歌を中断する。


「どうしたんだい?」


 妙な様子に、ネメシスの歌の師匠となったパルティスが声をかける。


「何だか……が、いる気がします」

「友達になりそうな人?」

「分かんない、です……。けど、行かなくちゃならない気がします!」

「ま、待つんだ!」


 パルティスの制止も振り切って、ネメシスは外に飛び出した。

 自身の周囲に水の球体を形成して、保湿しながら驀進ばくしんする。


「……ここかな? よいしょっと!」


 粒子の導きによって甲板に出たネメシスは、ナ号ことナーちゃんに出会う。


「乗せて!」


 ナーちゃん――日向日和の式神、そのうちの一体――はネメシスに敵意を認めず、彼女を背中に乗せてやる。

 ネメシスが必死だったことも通じたようだ。もっとも、ナーちゃんにとっては「FFXXの同行者だったのでとりあえず協力した」だけなのだが。


 何はともあれ、ネメシスは粒子が導くままに、ナーちゃんに自身を運んでもらうのであった。


     ***


 その頃、ドミニアより高高度の空では――


「全然、意味が無い……。けど、足止めはしなきゃ……。あの戦艦は、命令されたなんだから……」




 陰気そうな性格の竜が、ふわりふわりと雲の上を漂っていた。

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