見えてきた謎の島(ユニット:FFXX本隊)

「……んあ?」


 昼寝を取っていたゼルシオスは、異様な気配で起床した。


「何だこの……チリチリした気配はよ。それに、見える色も変だ。どうなってやがる!」


 自室の窓から、風景を見るゼルシオス。


「……なんだ、ここ?」


 感じている気配も相まって、今までとは違う雰囲気を感じ取っていた。

 火山を中心とした列島を、しきりに見つめている。


が……いる!」


 ゼルシオスは一目散に、格納庫へと向かう。

 と、ゲルハルトとすれ違った。


「どうした、ゼル!?」

「ゲルハルトか! ヤベェ気配がプンプンしてんだ、ヴェルリート・グレーセアで偵察してくるぜ!」

「おい、待て! 一人……いや、1機では!」

「るせぇ! なんかよく分かんねぇけど、俺が行かなきゃいけねぇ気がすんだよ!」


 ゼルシオスの直感が、危機への警告と闘争の必然をしつこく示し続ける。


「くっ! 親友を一人で行かせられるか!」

「わー、カッコいいー! ボクも行くー!」

『その意気です、ゲルハルト!』


 かくして、ゲルハルトとパトリツィアも続けて向かうことになったのであった。


     ***


「いいか、艦隊から離れるなよ!」

「ああ!」


 ゼルシオスは直感で、ゲルハルトとパトリツィアはゼルシオスに追随して、警戒にあたる。

 哨戒しょうかいではないために艦隊からは離れていないが、万が一艦隊で対処不能な存在に対し、即対応するためだ。主に挙げられるのは、機動力が高く艦隊の対空防御をかいくぐるような敵である。


 ゼルシオスの直感は誰も制御出来ず、雇用主であるアドレーアすらも“ゼルシオスにはある程度の独立行動権を付与する”という対処法を取っているのだ。いかに本人以外に扱えない代物か、推して知れるといったものだった。


「それで、ゼル。お前の言う“ヤベェ気配”は、どこからするんだ?」

「艦隊右側面からだな。いるのはカラドリウスだから、防御はある程度問題ねぇが……」


 カラドリウスは主力戦艦だ。王族専用戦艦であるドミニア・ヴァーチアに次ぐ防御力を誇る。

 動力源である重素グラヴィタを転用した障壁の耐久力も、同様だった。


「だが、安心出来ねぇんだよな……ッ、来るぞ! ゲルハルト!」

「どこだ!?」

「お前の今いる位置だ!」

「ッ!」


 ゲルハルトは、アズリオンに盾をかざさせる。

 本体となる、ひし形をした小型の金の盾から、漆黒の結晶が伸長した。……その、直後。


「ぐっ……!?」


 凄まじい衝撃が、アズリオンを揺らがせる。

 堅牢さに長けた盾は流石と言える防御力を誇り、アズリオンも衝撃に耐えたが、ゲルハルトとパトリツィアはいささかの振動を受けた。


「無事か!?」

「ああ……しかし、どこからだ?」

「あの島っぽいぜ。……って、普通に撃った元凶見えてんじゃねぇか!」


 ゼルシオスが、モニターの映像を最大望遠させる。


「女? 昔ばなしに出てくる鬼みてぇだな? なんかドミニアの主砲クラスのデケェ砲持ってるし、喋ってるし。口の動きを見ると……『おい! そんなとこ飛んでんじゃねぇ!』って感じか」


 直感と口の動きの観察により、ゼルシオスは読唇術に近い技能を発揮していた。


「ふぅん……さて、ちょっと行くか!」

おれも行くぞ」

「ボクもー!」




 かくして2機と3人は、砲撃を行ってきた鬼の女性と対面することにしたのであった。

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