美しく麗しき竜・パルティス4(FFXX本隊& vs 響楽竜パルティス)

「良い度胸だ! その意気を汲んで、君は私の全力を以て仕留める!」

「ヴェルリート・グレーセアをなめんなよテメェ! くたばんのはテメェだけだ!」

『ゼルシオス様!?』


 アドレーアからの悲鳴が聞こえる。

 当然だ、砲撃の真っ最中に、弾道予測危険域に突入したのだから。


「砲弾は気合で避けてやらぁ、構わず撃ち続けろ!」

『無茶を言うんじゃありませんわよ! いくら貴方の直感が優れているからって、何十発もの砲撃を……ただかいくぐるだけでなく、足止めしながらだなんて!』


 ヴァーチア艦長であるアドライアからの通信もまた繋がる。

 案の定、ゼルシオスの無茶に振り回されていた。


「なめんなよ! この間に三首竜サーベロイ・ドラッヒェを、急いで始末しやがれ!」


 だが、ゼルシオスにとって、飛来する砲撃の軌道と危険域を見抜き、そしてを見抜くことも朝飯前であった。

 そのため主な戦法として、“パルティスの丈夫な体を盾にしつつ、攻撃を適度に浴びせて注意を引き付ける”となる。


「くっ、チョコマカと……!」

「それが俺の仕事なんでな!」

「私を倒しても、戦いはまだ終わらないぞ!?」

「ったりめーだ! だからこそ、テメェを最優先で倒す! これ以上ドラゴンが来ねぇようにな!」


 飛来する砲弾を回避しながら、ゼルシオスが叫ぶ。


「短期決戦だ! とっととくたばれ!」

「そう簡単には倒れないさ! それに、私の技はまだ終わっていないッ!! FFXXの戦力の大多数は逃したが、それでも君だけは逃がさないよ!!」

「だったら耐えきってやらぁッ!! 来やがれ!!」

「そこまで言うなら、お望み通り……!」


 オトリとして突っ込んできたゼルシオスを仕留めようと、パルティスは球体状の気流のかごを完全に形成する。

 囚われるヴェルリート・グレーセアとゼルシオスだが、この程度で動揺はしない。


「まだ終わりじゃねぇんだろ!?」

「落ち着きたまえ、ここからだ!」


 ヴェルリート・グレーセアのビーム砲を浴びながらも、パルティスは口上を長々と述べる。


「さあ、ここからが私のショーのクライマックスだ! 刮目かつもくせよ、我が奥義を! 思い出せ、竜種の威を!! よそ見厳禁、疾風怒涛の大舞台、そのトリを飾るに相応しい美しき一撃を、今、お見せしようではないかッ!!」


 編み籠の気流が乱れ狂い、100tを上回る大重量を誇るヴェルリート・グレーセアでさえも、その位置を保つことが出来ない。


「おぉっと! こいつはキツいな……!」


 無理な姿勢制御は却って体制を崩す――そう判断したゼルシオスは、敢えて推力を最小限にとどめ、機体が流れるに任せる。

 と、その時。


(ふぅん……これなら、何とかなりそうだぜ)


 ゼルシオスの直感が、勝機を捉えた。

 それと同時に、パルティスの準備も万端となる。


「さぁ、受けよ“美しき竜の大演武”!!」




 パルティスが乱し、凶器と変じせしめた暴風を前に――ゼルシオスは、笑みを浮かべていた。

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