美しく麗しき竜・パルティス1(FFXX本隊 vs 響楽竜パルティス)

「誰だテメェ!?」


 左手にネメシスを乗せ、右腕部ビーム砲をヴェルリート・グレーセアに構えさせながら、美男子に向かって叫ぶゼルシオス。

 後方ではフレイアとヒルデが先んじて上昇し、戦闘態勢を整えていた。


 そんな警戒態勢すらも意に介さず、美男子が名乗る。


「はーっはっはっは!! たける者たちよ、我が名は響楽竜きょうらくりゅうパルティス! 美しく麗しき竜だ!!」

「いけ好かねぇ気配まとわせてんなテメェ!! 何しに来やがった!?」


 ゼルシオスは漠然と、パルティスの所属を見抜いていた。


「なに、美しく麗しき私の名前を呼ぶ声が聞こえたのでな! 挨拶に来てみれば……なんと美しき竜が、3体もいるではないか! もっとも、真に同胞と言えるのは1体だけのようだがね!」


 パルティスもまた、赫竜エクスフランメ・ドラッヒェが異世界の竜種であることを見抜いていた。


「おい……コラ」

「ひっ、ご主人様!」

「あ、あたしは名前を呼んだだけ!」


 ゼルシオスがヒルデとネメシスに圧をかけると、二人は見事に委縮する。


「さて、美しくはやき私に追いつくには少し時間をかけるようだが……実はご客人を、連れて来てね」

「ご客人だぁ……? って、ありゃあ!」


 ゼルシオスが見た先にあるのは、三首竜サーベロイ・ドラッヒェ。それも1体2体という数ではなく、30体はいた。


「なんて数だよ! アドシアが1,000機は要るぜ!」


 そんなに大げさな数ではなく、三首竜サーベロイ・ドラッヒェ1体を仕留めるにあたって必要な機体数は32機である。

 しかも複数体を相手取る際は要素がさらに積み重なるため、むしろ1,000機でもまだ足りないほどだ。


「一斉攻撃! まず三首竜サーベロイ・ドラッヒェから沈めるぞ!」


 ヴェルセア王国艦隊が全砲門を開き、三首竜サーベロイ・ドラッヒェの集団に砲撃を見舞う。


「フレイア! ヒルデ! お前らもだ!」

「ぐっ、これは……!」

「分かって、いるのに……!」

「ちょっと、あたしも彼を見ちゃうのよ……! 友達じゃ、ないのにぃ……!」

「どうした!?」


 ゼルシオスがフレイアたちを気に掛けると同時に、パルティスの笑い声が響く。


「はーっはっはっは!! どうやら彼女たちは私に見とれているようだねぇ!!」

「てめぇ、何をした!」

「なぁに、我が“華麗なる竜の登壇”を見ているだけだよ!」

「ざけんなぁ! フレイア! ヒルデ! ついでにネメシス! 動けるか!?」


 ゼルシオスの呼びかけに、何とか答える三人……もとい三竜さんりゅう


「ああ! どういうわけか、こやつを燃やし尽くしてしまいたい気分だ!」

「母さん、同感! 消し炭にしちゃうよ!」

「平和がいちばんって言いたいですけど、なんか今だけは変な気分です! いいですよね!」


 三竜は気づいていないが、これはパルティスが常時発動させる“勇壮なる竜の軍歌”の影響だ。

 竜種であれば敵味方問わず強さと気力殺る気を底上げするため、思わぬ恩恵を受けている――もっとも、それは敵であるパルティスと三首竜サーベロイ・ドラッヒェたちも同様だが。普段温厚で、争いを嫌うネメシスですら「殺る気モード」に入っているため、効果のほどがうかがい知れようものだ。


「じゃあ先手必勝だ! 俺が先に消し炭にしても、文句言うなよ!?」


「じゃあ」を言ったタイミングで、ヴェルリート・グレーセアの右腕部ビーム砲からビームを放ったゼルシオス。

 完全な不意打ちである。


「よっし、後は三首竜サーベロイ・ドラッヒェを――」

「まったくもう、ひどいじゃないか! 私の服をボロボロにするなんて……だがそんな私もいい! 興が乗った、君たちには私の全力をもってお相手しよう、FFXXツヴァイエフ・イクスクロイツ!!」




 ビーム砲が去った直後、そこには服以外無傷のパルティスがおり――次の瞬間、本来の姿である竜形態を取ったのであった。


---


★解説

 人間態では脳内イメージ的に動かしづらいので、有原の都合で速攻で竜形態にさせられるパルティス君です。

 というかFFXX相手ではそうならざるを得ないのが、我ながら恐ろしい戦力である証拠……w

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