面談会、準備(ユニット:FFXX本隊)

 その後、ドミニアは一度ヴァーチアと針路や速度を合わせ、それぞれに通じる連絡通路を延伸・接続する。

 ヴェルセア王国所属戦艦であれば基本的に艦種を問わず接続可能だが、ドミニアとヴァーチアは作戦行動や艦長たる王族同士の仲が良好であるゆえに頻繁に行っていた。


「引き受けたけどよぉ……正直、めんどくせぇや」


 ドミニアに指揮官ないし部隊長クラスを招いている間、ゼルシオスはエヴレナからの通信を思い出す。


     ***


『もしもし?』

「おう、エヴレナじゃん。どした?」

『実は――急なんだけど、預かってほしい人たちがいて』

「急だな。んで、人数と実情は分かってんのか?」

『うん。人数は200人、名前は「黒抗兵軍こっこうひょうぐん」っていうの』

「こっこうひょうぐん? 聞いたことねぇなぁ」

『それもそうだよね。冒険者たちの集まり……その通称だから』

「冒険者ねぇ。言っちゃわりぃが、寄せ集めとかじゃないよな?」

『まさに、その寄せ集めなの。だから、指揮する人がいてくれたらなって』

「まぁ、俺らなら指揮官はワラワラいるし、俺も俺でちょっとなら指揮できっけどよ。んで? 200人の冒険者を預かる、ってことでいいんだよなぁ?」

『うん、お願いできる? 寄せ集めだけど、戦力としてはそれなりだろうから』

「物量としちゃ悪かねぇな。わーった、アドレーアに話通しとくわ」

『やった! ありがとね』


     ***


「まぁ戦力としちゃあ200人はそれなりだな。中隊クラスか? あと、場合によっちゃ俺らより詳しい情報やそのルート持ってるやつもいそうだから、そっちの意味でも役立ちそうだけどよ。それにしても、まさか戦力増強たぁね。これ、罠とまでは行かなくても、ていよく押し付けられたんじゃねぇか?」


 ぼやくゼルシオス。

 実際、「扱いきれない戦力の余りを引き取ってほしい」という状況であるため、そこまで間違えてはいないのが、彼が直感を用いていることの証左である。


 そんなゼルシオスだが、実際に始まるまでは準備を下位の指揮官や兵士に押し付けて部屋で仮眠というかダラダラしていた。

 ドミニア内ではいつものことである上、戦力としての貴重さやその他もろもろの理由によって、ゼルシオスにはある程度の自由行動が認められているのである。


「つーて、いっぺん言ったことをひるがえすのもカッコ付かねぇしなぁ。……おっと」

『ゼルシオス様。そろそろ準備が整ったようです』

「しゃーねぇなぁ。そんじゃ、行きますか」




 ゼルシオスはもう少しダラダラしたいと思いつつも、仮眠でシャッキリした意識と体を動かして向かったのであった。

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