ブッ飛んだ“挨拶”(ユニット:FFXX本隊)
「ああは言ったものの……」
ゼルシオスが頭を抱える。
手伝うとは言ったが、予想以上の分量であった。
「……俺が担当する聞き取りの人数。多いな?」
始める前からうんざりしだしたゼルシオス――そんな彼を見たアドレーアは、助け舟を出した。
「部隊長・副隊長クラスも動員しましょう。あとは、ヴァーチアに協力を仰ぐのも。一人当たりの負担が増えすぎるのも問題です」
「そうしてくれ。焦る必要は
「かしこまりました」
アドレーアとライラが艦内放送の準備をする間に、ゼルシオスは紅茶を飲み干したのであった。
***
艦内のホール。
そこに、冒険者200名と護衛の兵士たちが入ってきた。兵士たちはともかく、冒険者たちは特に指示を受けていないため、整然とではなく雑然と立っている。
「何かな?」
「さあ……」
「説明でもされるんじゃない?」
「そういや、俺たちのチーム名、名乗ってなかったな」
そのため、当然のようにあちこちで雑談が行われている。中には雑談を行わず、ただひたすらに沈黙して立ち尽くしている――しかし隙の無い立ち振る舞いだ――者たちもいるが。
と、誰かが壇上に立つ。
その姿を見て、どよめきは一層大きくなる。
次の瞬間――壇上の人物が、“挨拶”をかました。
「よく来たな、このドミニアに! 知り合いから“戦力”として来るっつー話聞いたから、存分に活用させてもらうぜ!」
壇上の人物――ゼルシオスは、ざわめきが起こるのを承知で爆弾発言をした。
「戦力?」
「確かに俺らは冒険者だけど……」
「戦力っつっても、あのFFXXだろ? 前線部隊の数は足りてるんじゃ……」
少しばかりざわつかせてから、ゼルシオスが止めにかかる。
「はいはい、そこまで! 騒ぐのは後にしろ。……うん、落ち着いたな」
静まり返るホールを見て、ゼルシオスが話を続ける。
「戦力っつっても、正面切って戦うだけが能じゃねぇ。正面切って戦うやつらを支援する後衛部隊、そして前衛後衛をまとめて支える後方部隊……つまり、基礎だ」
「「基礎?」」
何人かは、ゼルシオスの話についていけず口を挟む。
無論、ゼルシオスが止めるが。
「だーかーらー、そこまでっつってんだろ! ……続けるぜ。ぶっちゃけた話、俺ら
ゼルシオスは一度言葉を止め、呼吸を挟んでから続ける。
「悪かねぇが、それはてめぇらの適正を知ってからだ。適正に合わねぇとこに適当に配置しても、盤石どころかガッタガタになるからな。あと、連携の訓練も必要だ。どんだけ時間取れるかは分かんねぇが、限られた時間で最大限、鍛え上げなくちゃなんねぇ。この世界を知ってるやつぁ分かってんだろうが、何が起こるか知れたもんじゃねぇからな。そこでだ」
さらにひと呼吸いれ、本題に移る。
「あんたら! 今から俺含めた艦長・副艦長・部隊長・副隊長クラスと面談だ! 俺らが効率的に戦ったり指揮出来るように、自分の名前と適正を紹介しやがれ!」
かくしてゼルシオスの一言により、有無を言わせぬ面談会が開催される運びとなったのである。
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