巨鯨の威容(ユニット:神錘の代行者)

「ところで、あなたたちは知っているかしら? この噂」


 存分にカティンカを堪能した抱きしめたフォルテシアが、代行者たちに向けて話す。


「噂とは?」

「“極北に真理眠る”……このフロストマキアの酷寒には、裏があるというのを」

「噂そのものは初耳だが、“北に何やらある”というのは掴んでいるな。同じ内容を、占いでも読み取っている」

「なるほど……なら、ご一緒できそうね。その噂、私も興味あったから」


 フォルテシアが笑みを浮かべて、代行者に体を近づける。

 軍服越しであっても魅力的な肉体を密着させられ、しかし代行者は平然としていた。


「私としては、拒む理由は無い。それに、現地の竜種ともなれば……


 代行者の瞳の奥には、真実を見通す光が宿っていた。

 ……そして、もう一つのものが映る。


「あれが巨鯨きょげいか。相当な威容だ……。ところで、見たところ何やら戦っているようだが」

「しかし、全力を出している様子は無いな。代行者よ、巻き込まれぬように向かおう」

「ああ。方角も北、一致している」

「ああいう船もあるのねー」


 巨鯨――“超級戦艦ゲルゼリア改”は、全長1,902mの純白の艦体から無数に突出させた30mmミリガトリング砲によって、迫る氷塊を次々と撃墜していた。


 この氷塊は単なる氷ではなく、“氷壁の守護者”と呼称される機械である。自立行動する防衛用ドローンであり、侵入者を発見次第排除するプログラムを組まれているが、そのような敵が多数存在することを想定して建造されたゲルゼリア改にとってはまと以外の何物でもなかった。そもそも前提として、30mmの砲弾の連射に耐えられるだけの耐久力を、氷壁の守護者は有していない。


「一方的だな。あれであれば、我らは何もせずして北へ向かえる」

「大丈夫なのは分かっているが、ああまで派手だと巻き添えを恐れてしまうな」

「大丈夫です。いざとなれば、私が盾となりましょう」

「みー……しばらく終わらなさそう。まだまだ出てる」

「もぉ、今の言葉はエロいわよ?」

「っていうか、いつまで私を抱きしめてるの!? はーなーせー!」


 そんな雰囲気とは対極的に、代行者たちは和気あいあいとしている。

 ピクニック気分であるが、実際のところ脅威がほぼ無いのであるから仕方ない。


 と、ヴィグバルトが、ゲルゼリア改が氷壁の守護者を引き付けている間に高度を上昇させて通過する。


「さて、いよいよか。む、どうやら先客がいるようだが……」

「かまうな、ヴィグバルトよ。彼らに敵意無し。我らは我らで、向かうとしよう」




 かくして、代行者一行はエリア5-3:クオルト氷壁を突破したのであった。


---


★通達

 少し遅れましたが、ビト様に続き二番手として氷壁突破!

「飛んでいるからノーカンだ!」とは言わないお約束。


 スミトとの対話をしているので知人程度の間柄にはなったでしょうが、さて、この先に眠る情報を引き出すことは叶うのか?

 まぁ最悪、桜付き介入案件です。有益な情報を強引に引き出すために。そういえばしれっと描写したけど、あれ衛星ビーム砲の中を軽く見ているからね。ハッキング(クラッキング)能力もそこそこなので。


 この後はゲルゼリア改も同行するので、代行者一行はそこでゲルゼリア改と合流ですかね。

 分割運用するか単一化するか、まだ固まっていませんが……。


 あと、ぶっちゃけいったんゲルハルトサイド行きたいけど、エリア6-3行くまでは少し我慢です。

 南木様よりご貸与いただいたサン=スィルを回収せねばならないので。

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