ひゃっほう! 水着美女がたくさんいるじゃねぇか!5(ユニット:FFXX本隊)

「どけ!」


 ゼルシオスがリラをどかせてから、飛び起きて拠点の外に出る。


「やっぱりだ! フレイア! ヒルデ! どこいやがる!?」

「ここだ!」

「何ですか、ご主人様!?」


 二人の返答を確認したゼルシオスは、素早く指示を飛ばす。


「あの竜、助けろ! 落ちてんぞ!」


 ゼルシオスがゆびさした先には、乳白色の体表をした竜がいた。


「承知!」

「ご主人様が望むなら!」


 フレイアとヒルデは素早く、自身を本来の姿に戻す。

 姿の変形が一瞬で終わると、フレイアが素早く自身と竜とを密着し――そして、重素グラヴィタを調節した。


 フレイアとヒルデの種族である赫竜エクスフランメ・ドラッヒェは、概念としては空獣ルフトティーアに属する。重力たる重素グラヴィタを調節することなど、容易い芸当だ。

 そして赫竜エクスフランメ・ドラッヒェほどに格の高い空獣ルフトティーアともなると、密着状態であれば他者の重素グラヴィタを操ることも可能なのである。


 そうして重量を軽くしたところで、ヒルデが自身の背に乗せるようにして軟着陸をさせる。

 念を入れてフレイアが上から軽く押さえつけた。


「総員、浜辺から退避ッ! 急げ!」

「野次馬どもを遠ざけろ! 巻き込まれるぞ!」


 ゲルハルトとゼルシオスが指示を飛ばし、着陸地点を確保する。

 それから少しの間をおいて――フレイアとヒルデ、そして謎の竜が無事に着陸した。


「医療班を手配しろ! 足らなきゃドミニアから呼べ!」

「その必要は無い! ……見たところ、傷が無い。寝ているだけだ。疲れたんだろうな」

「疲れた? 長旅でもしてきたってのか……いや、してきてるっぽいな、こいつ」

「それより、いったん日陰に――」


 ヒルデが竜を日陰に連れて行こうとした、次の瞬間。


「わっ!? 女の子!?」

「この浜辺でこんな格好は似合わねぇぜ! 砂が付いちまう!」


 ゼルシオスが少女の姿になった竜を抱き上げると、拠点まで退避したのであった。


     ***


「ん……うん?」


 少女が目を見開く。

 そこには、見慣れない人の顔がひとつ、ふたつ……みっつ。言うまでもなく、ゼルシオス、フレイアとヒルデの母娘おやこの3人だ。


「起きたか。大丈夫だ、怪我はしてねぇから」

「お兄さん……」


 起きて早々に、少女が口を開く。


「お兄さん、これ……知ってる?」


 少女が手で示したのは、アルファベットの"F"と"X"だ。


FFXXツヴァイエフ・イクスクロイツのことか? それなら俺らがまさにそうなんだが……」

「ッ!」

「飛び起きるな。怪我無いっつっても、急に動くと体に悪いぞ」


 慌てた少女をなだめすかすゼルシオス。


「それより、名前を教えてほしいもんだな。俺はゼルシオス・アルヴァリア。君の名は?」

「わたしは……メルテ。睡夢竜すいむりゅうメルテ。夢であなたたちを見て、会わなければと思ったの」




 パジャマ姿をしたメルテは、眠そうな表情とは裏腹に、真剣な光を宿した瞳でゼルシオスを見つめ返して答えたのであった。


---


★通達

 睡夢竜メルテが、FFXX本隊と合流しました。


 あと、南木様へ個人的な描写の通達です。

 艦隊は「空中を遊弋ゆうよくしている」状態にあります。停泊・係留すると、その隙を突かれて余計な襲撃を受けかねないので……。

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