ひゃっほう! 水着美女がたくさんいるじゃねぇか!3(ユニット:FFXX本隊)

「ふー! 泳いだな」


 浜辺の拠点となる、兵士数十名を動員して作った簡易的な小屋のひとつにて。

 ゼルシオスは疲労を感じ、水泳を中断して戻っていた。


「さーて、少し寝るか!」


 無遠慮に水着のまま横になる――と、そこに丸い双丘が見えた。


「……あん? 白い水着? 誰だ、アンタ」

「お休みのところ失礼します。ゼルシオス・アルヴァリアさんですね」

「ああ」


 女性の裸は見慣れているためこの程度では動揺しないが、それでもゼルシオスにとってはいくばくか眠気を吹き飛ばすほどには十分美貌であった。


「私はリラ・ヴィスト・シュヴァルベ。ゲルハルトの師匠です」

「あんたが? 見た感じ、あいつとは同い年タメに見えんだが」

「うふふ。彼とのとしは、1つだけ違います」

「ほぼタメじゃねぇか……」


 あきれながらも、どこか笑顔が見えるゼルシオス。


「そんで? 俺に逆ナンでもかましにきたってか? あんたにゃ想い人がいそうなんだが……」

「あら、よくご存じですね。その通り、私には大切に想っている……弟子にして、いとびとがいます。ああ、ゲルハルトではありませんよ?」

「だよなぁ」


 相も変わらず、ゼルシオスの直感は正確無比であった。

 しかし、肝心の想い人が“10以上も年が離れた少年”だとは、さすがの彼でも――予想と直感が、至らない。


「うふふ。女性から男性を誘う……のとは、少し違います」

「けっこう上品だねぇ。ただ、王族に比べて一段劣って見えるのは……わざとか?」

「いえ。これがしっくりくる本来の話し方なだけです」


 思わぬ邂逅を果たした、ゼルシオスとリラ。

 ウマが合うのか、あるいはゲルハルトという共通の知人がいるがゆえか、話はなかなかに弾む。


「……それで、理由でしたね」

「ああ」

「弟子のゲルハルトがお世話になったようです。そのお礼を」

「あー……」


 謙遜か、あるいは素直に受け取るか。

 それを思考するために、ゼルシオスは少し語尾を伸ばしていた。


「あいつはいい男ですよ。それは間違いない。こんな粗野な俺が言うのも、何だけど」

「うふふ。あなたの粗野は、本当に、心からのものなのでしょうか? 私には、あなたの本心が違って見えますけどね」

「かぁ~っ、恥ずかしいねぇ。見え見えのスケスケってワケだ。けどそいつが正しいかは、あんたの判断に任せっけど」

「神のみぞ知る、ということですね。ふふっ」


 ほほ笑むリラを見て、ゼルシオスは内心で「さすがゲルハルトの師匠だ。勝てそうにねぇや」と思い、目を閉じかけ――


「ッ!」

「どうされましたか?」

「どけ!」




 リラが下がるのもそこそこに、ゼルシオスは拠点の外へと飛び出したのであった。


---


★解説

 異作品交流エピソードその1。

 その2は次話です。


 本来はこの3話目で動きを起こすつもりだったのですが、予定変更につき少しだけ話数が伸びます。最低でも、5話くらい。


 なんでゼルシオス君が飛び出したかって?

 それが分かるのは、もう少しだけ後の話……。

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