ひゃっほう! 水着美女がたくさんいるじゃねぇか!1(ユニット:FFXX本隊)

 針路を決定してからそこまでの時間をかけずして、ヴェルセア王国艦隊はエリア1“アクエリアス”へ到着した。

 先行してアドシア部隊やフレイア、ヒルデが、そして同行者たるハルカナッソスの一味が着陸地点――ヴェルセア王国戦艦は陸・海・空、そして宙を問わず活動可能――を確保し、護衛や警備にあたる。


 突如として巨大戦艦が来訪したことにより、地域住民には大きな衝撃が走る。同時に、艦隊旗艦であるドミニアに描かれた"FFXX"のエンブレムもまた、大きな衝撃を走らせる要因となった。

 既にしてFFXXの勇名は、この世界にとどろきつつあるのである。


 さて、そんなヴェルセア王国艦隊が強行着陸を行っている理由。


「水着だぜ!」

「水着だな。土地柄、あまり着た事は無いが」


 ゼルシオスとゲルハルトが、海パンとビーチサンダル姿で並び立って言い放つ。


 強行着陸の理由、それは――海水浴のためである!


     ***


 事の始まりは、ゼルシオスがドミニア全体への一斉連絡をかけたことだ。


「ヒマな奴らは、海水浴に行くぞ!」


 彼の持つ腕輪型端末は権限を強化されており、ドミニアの全員と連絡を取れる。また、艦長として留守番を決め、参加意思を持たないアドレーアがアドライアたちヴァーチアにも連絡を取ったために、ヴァーチア側からも何名か参加者が出る事態となったのだ。……主に、アドライアとシルフィア大尉である。


 突拍子もないゼルシオスの思い付き――そう切って捨てるのは簡単だ。だが、ゼルシオスのこういった性格はヴェルセア王国艦隊どころか王国中に広く知られているし、彼が水泳や海水浴を好むこともまた知られている――泳ぎの上手さとは別問題だが――。

 海と聞いてこのような反応をするのは、とっくの昔に「いつものことか」と思われていたのだ。


「あ、あとハルカは強制参加な」

「うえぇ……あんま翼濡らしたくないよぉ。翼や羽濡れっと、飛びづれぇんだ……」

「心配すんな、泳げっつってるワケじゃねぇ。いりゃあいいんだ、いりゃあ」

「それは助かるけど……何で参加させんのさ、ご主人様?」


 不思議がるハルカに向けて、ゼルシオスはさらりと告げる。


「何でって、お前美人だから。美人の水着姿は眼福なんだよ、男にとっちゃ」

「……ッ」


 自分で冗談めかしてたまに言うことはあっても、異性、ましてやゼルシオスほどのイケメンから何の下心も無しにこう言われては、動揺しないわけがない。


「ア、アタシが美人って……マジで言ってんの?」

「マジもマジ。鏡見ろ、お前性格さえ何とかすりゃあまず間違いなくモテるから。つーてメイドにしたのも、俺のハーレムに加えるためでもあるし? あー、あと俺らが来る前になんか悪いことしてそうだから、そのお仕置きも込みだろうな」


 もちろん、ハルカがFFXXと合流する以前に何をやらかしたかも、バッチリしっかりお見通しである。


     ***


「それにしても、美人ぞろいだな。世界中から選りすぐりの美女を集めて水着を着せた、って感じだ」

「フッ、まったくだ。おれも男、想い人こそいるが……眼前の光景を見ていると本能が充足する感覚がするぜ、ゼル」

「だろうな。ところでゲルハルト、お前泳げんのか?」

「ああ。水練すいれんは受けているからな」


 ゲルハルトが泳げるということを聞いて、ニカリと白い歯を見せるゼルシオス。


「そんじゃ、泳ぐかぁ!」

「ああ!」




「楽しめるぜ」と言わんばかりに喜色を見せたゼルシオスは、そのままゲルハルトと一緒に海に飛び込んだのであった。


---


★解説

 水着回。つーてと言っても、美女の水着は次のエピソードのお楽しみ。


 最初は書くか迷っていたが、「よくよく考えてみると、逆に書かねえと説明できないイベントあるなこれ」と判断したため書くことに決めた。

 どんなイベントかは言わないが、そういえばエリア5からエリア1まで遠路はるばる、FFXXに会いに行くユニットがいたような?


 しれっとゼル君がハルカちゃんを口説いているように見えますが、メイドにした時点で何を今さらである。

 あと、ハルカちゃんはそれなりに胸のサイズがあると思います。E~Fくらい?


 まぁ、「たまには日常回もいいよね」ということで。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る