新たなる導かれし者たち2(ユニット:有原陣営増援第1陣・ヴェルセア王国組)

「ドミニアが消失したですって!?」


 ヴェルセア王国が領空、その某所にて。

 美しく長い銀髪をゆったりと伸ばした少女が、見た目相応の若さを込めた声で叫ぶ。


「落ち着いてください。アドライア姫殿下」

「これが落ち着いていられますか、シルフィア大尉たいい! ああもう、となるとあの男も……!」


 アドライアと呼ばれた少女が叫ぶのを、シルフィアと呼ばれた女性がなだめる。


「ゼル君なら大丈夫でしょう。それであれば、アドレーア姫殿下もまた」


 アドライアは一瞬だけ不満そうな顔をした。あのイケメン男ゼルシオスのニヤケた顔が、脳裏に浮かんだからだ。

 しかし、冷静に彼の実力を評価すると、不満はやはり一瞬だけ沈静化する。


「……ええ、そうですわ。あの男もいる、それはむしろ幸いですわね。素行は気に食わないものの、戦力としては絶対的な重要さを秘める。……だからこそ、歯がゆいのです。この前も縞パンを見られましたわ」

「殿下、スパッツを履かれては?」

「それでは負けたような気がするのです!」


 思い切り叫んだアドライアは、冷静さを少しばかり取り戻した。


「……可能であれば、直接向かいたいのです。しかし、向かうにしても、報告にあったのは『謎の巨大な光の渦に、ドミニアは呑み込まれた』と。その謎の光というものは、以前に見た空獣ルフトティーアを呼ぶ“門”とは別のようです」


 “門”とは通称であり、「空獣ルフトティーアを大量に、ヴェルセア王国へと招き入れる謎の歪曲した空間」を指すものである。

 アドライアたちは、フレイア・ヒルデ両名の赫竜エクスフランメ・ドラッヒェと初遭遇時、この現象の報告を受けたのだ。また、何度か実際にその目で見ており――しかし今現在無事なのは、アドライアが艦長として、そして王女として座乗ざじょうしている戦艦“ヴァーチア”の非常識な火力と装甲によるものである。


 余談ではあるが、既に女神リアの世界に転移した戦艦“ドミニア”は同型艦の7番艦であり、この“ヴァーチア”は9番艦である。王族は同型の艦を、設備・人員含めて個人で保有するが、何番目の艦が国王から与えられるのかはそれぞれの王位継承権の順位と直接関連していた。

 つまりアドレーアは王位継承権第7位、アドライアは王位継承権第9位である。なお、アドレーアはヴェルセア王国第4王女、アドライアは第5王女だ。女子の中で見れば、すぐ隣の姉妹なのである。


「現在の状態であれば、北部方面軍第3艦隊の旗艦『カラドリウス』、そして護衛戦艦『アトラス』に『ギガース』も連れて行けますのに……」


 ヴェルセア王国北部方面軍第3艦隊。空獣ルフトティーアにまつわる問題で、何度か共闘した艦隊だ。

 第3艦隊旗艦にして、十分な戦闘能力――異次元の域たるドミニアやヴァーチアにはさすがに劣るが――を持つ戦艦カラドリウスと、護衛戦艦――異世界ちきゅうにおける“駆逐艦”に相当する――たるアトラスにギガース。

 既にして臨時編成の艦隊を組んだ経験を持つ3隻は、そのまま加入してもらえれば心強いものだ。


「同行もあと僅かの期間です。もしかしたら、このヴァーチア単艦での突入となるでしょう」

「それはそれでもかまわないのですが、戦力は少しでも…………あら?」


 と、アドライアの目に黄金きんの粒子が閃いた。


「今、何かなされましたか? 大尉」

「いえ、私は。おそらく、同じものが見えたでしょうが…………ッ!」


 シルフィアが息を呑む。

 何故ならば、報告にあった光の渦が、すぐ目の前に展開しているからだ。今からの回避は間に合わない。


「……これは僥倖ぎょうこうと言ったものですわね」


 しかしアドライアは、むしろこれを嬉しがる。ヴァーチア艦長である彼女の心には、憎きあの男ゼルシオス譲りの“直感”が芽生えていたからだ。


「行く先の保証はされませんが」

「そうなったら、そこまでの話です。つい昨日、補給艦隊からヴァーチアや第3艦隊のお腹いっぱいに補給物資が届けられましたから、何かあった際はそれらで耐えしのぎますわ」

「随分と楽天的に、そして大胆になられましたね。もしかして、ゼル君の影響でしょうか?」


 シルフィアからの質問に、アドライアは――笑みを浮かべて答えた。


「そうだとしか思えませんわ。いつか、あの男……いえ、彼のお眼鏡に叶いたいものですから。大尉が羨ましいですわね」

「あははは、私もゼル君のハーレムに入りたかったので。殿下はかつての私に、似ていらっしゃいますね」

「ふふふっ」




 小さな胸を張るアドライアは、恐れを抱かずに座乗艦ヴァーチア……そして、その警護たる戦艦カラドリウス2隻の護衛戦艦アトラスにギガースと共に、光の渦に呑み込まれたのであった。


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★解説

 続きましてはコチラ!

 ゼル君ことゼルシオス・アルヴァリアの故郷であるヴェルセア王国から、アドライア姫殿下とシルフィア中尉……いえ大尉や、その他アドシアパイロットたちが乗る戦艦“ヴァーチア”が、そして北部方面軍第3艦隊旗艦であるカラドリウスとその艦長のユリウス大佐(白髪はくはつ白髭しろひげのダンディなおじ様!)、さらに随行する護衛戦艦のアトラス、ギガースの4隻(とアドシア多数機)が揃い踏みでございます!


 ただでさえフロインデ・ファータ・イクスクロイツ連合……もといFFXXツヴァイエフ・イクスクロイツは数や規模が馬鹿でかくなっているのに、さらにガチンコの艦隊までぶち込む有原はいったい何と戦わせようとしているのか!w


 あ、出現場所はアドライア姫の願いが叶う場所です。

 つまり……。ミナレットスカイのお空が、賑やかになるね……w


 さっ、気を取り直して、以下はユニット解説!


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☆ユニット解説その1


原作:双剣使いの英雄譚 ~ロボやモンスターが飛び交う世界に転生したので、自由気ままに生きるために前世の経験を駆使して楽しみます~

https://kakuyomu.jp/works/16816700428569814289


アドライア・ルフテ・ヴェルセア


身長:165cm 3size: 71(B)/54/85

体重:49kg

年齢:43歳(現実世界における日本人換算で17.2歳)



〈概要〉


 ヴェルセア王国第5王女。戦艦「ヴァーチア」に座乗する。銀髪碧眼を持つ。

 パンツは縞パン。やや背丈があるが、胸はまな板。蹴り技が得意で、足癖がとても悪め。特にゼルシオスに対して、遺憾なく発揮される(ただしことごとく直感で外れる)。


 年齢上はゼルシオスより年上だが、どういうわけかゼルシオスより年下に見える。

 ちなみに、第4王女のアドレーアは51歳(現実世界における日本人換算で20.4歳)。


 姉のアドレーアが大好きで、事あるごとにイチャつきたがっている。百合の波動、ここにあり。



〈特殊能力〉


ヴェルセア王国第5王女:

 全ての「ヴェルセア王国国民」に対する鼓舞や命令権を有する。気力低下に対抗することが可能。

※姉のアドレーアもまた、名称以外完全に同様な能力「ヴェルセア王国第4王女」を持つ


艦長:

 自身の座乗艦に対する全面的な指揮権を有する。

 また、相応の指揮能力を有するため、ある程度の大軍勢であっても問題なく指揮可能。

※アドレーアも同様の能力を持つ



〈座乗艦〉

ヴァーチア



〈座乗艦概要〉

 全長1,268mを誇る巨大艦。白を基調に、金に水色(ドミニアの場合、ここが赤色となる)で装飾している。


 “セラフィア級”戦艦の9番艦(ドミニアは7番艦)。艦体自体はセラフィア級艦で同一(内装は一部、艦長たる王族によって変わる場合がある。また、一部の王族は装備に改造を施す場合がある)。


 艦体に、内蔵式の多数の砲を格納・搭載している(外観においては無装備にすら見える)。出現頻度「稀少(手配書において★4に相当)」以上の敵を想定しており、火力や装甲は同型艦と渡り合えるほど。機動力も、アドシアには劣るが戦艦としては次元違いな速さを有する。

 また、艦自体のみならず、搭載する40機以上のアドシア「リヒティア」は最新鋭機であり、艦と同色の塗装を施されている。性能はアドシアの中でも破格であり、単機で宇宙にすら迎えるほど。


 なお、ドミニアの場合はヴェルリート・グレーセアだったが、このヴァーチアも特殊な専用アドシアを保有している。搭乗者はシルフィア大尉。


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☆ユニット解説その2


(原作同一のため省略)


シルフィア・マイシュベルガー


身長:156cm 3size:91(H)/53/88

体重:52kg

年齢:40歳(現実世界における日本人換算で16歳。ゼルシオスと同い年)



〈概要〉


 栗色の髪を、桜色の髪留めで留めているのが特徴。ポニーテール。

 前世、地球にある国家“日本”でも、ゼルシオス(正確には、のちのゼルシオスとなる男性)と幼馴染だった。ただしゼルシオス(前世は日本人)に助けてもらったので、老衰してから転生した。

 その分だけ剣技の経験が高いが、前世の記憶は封印されているので自覚が無い(自覚が無いだけで、肉体や魂が記憶しているので適性は抜群。しかし、なぜかゼルシオスに一度も勝てない)。

 当然ゼルシオスと同い年。実は狙撃の適正もある。



〈特殊能力〉


狙撃適正:

 優れた視力に、僅かな動きを察知する力、そして驚異的な集中力を有している。

 射撃武器の射程内にあれば、どんな小型の獲物であってもたやすく狙撃するだろう。


剣術適正:

 前世と合わせて100年以上も続けた剣術の鍛錬。

 肉体的な記憶は封印されているが、魂に刻まれた記憶はしっかりあるため、達人級の腕前を持つ。

 ただしゼルシオスに対しては絶対に勝てない。



〈搭乗機体〉


桜玖良さくら弐式にしき



〈搭乗機体概要〉

 シルフィア専用機。全高は18m程度。

 白や桜色で塗装している。精密狙撃ができるように、頭部センサーを強化している。

 戦闘時、任意で白い塗装部分を黒色に変更できる(エネルギーを送って黒くする。陽動や殲滅目的)。花弁の内側にヴェルセア王国国章が刻まれた、桜花のパーソナルマークが特徴。

 最初は(通っていた騎士学校を次席で卒業した特典として。なお、主席卒業者はゼルシオス)シュタルヴィント改(ヴェルセア王国の旧型機)ベースだったが、仕官と同時にリヒティアベースに強化してもらった。そのために“弐式にしき”と名が追加で付けられている。

 銃身が縦に3つ並んでいる専用銃を持つ。学生時代に発案した(カスタマイズは他の生徒に協力してもらった)のを、改めて仕立て直してもらった格好になる。



〈搭乗機体武装・装備〉


●専用複銃身銃


 銃身は3つあるが、同時に用いる銃身は2つ。支点を中心に、チェーンガンやバルカン砲よろしく回転して銃身を換装するシステム。

 銃自体が発射できるのは、上部のマシンガン(ゼルシオスが使っていたものと同一規格)と下部のロケットグレネード。


 銃身は、

○中精度ライフルバレル(100mmマシンガン、連射用。耐久度が高い)

○高精度ライフルバレル(100mmマシンガン、精密狙撃用。いちおう連射も可能)

○滑腔砲(300mmロケットグレネード)

 の3種類。


※他にブースターや、各種追加装備を装着する場合がある


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☆その他ユニット解説


●カラドリウス


 “北部方面軍第3艦隊”の旗艦たる戦艦であり、“フェアリー級戦艦”が一つ。艦長はユリウス大佐。

 セラフィア級には劣るが、正規軍の戦艦であるため多数の空獣ルフトティーアに単艦で対処しうる能力を有する。

 また、艦体内部にアドシア「アークィス」を多数格納する。こちらは現行機であり、リヒティアと比較すると出力は67%程度。しかし、リヒティアが革命的な機体であるだけであり(そして高価でもあるため、王族座乗艦やトップエースに優先して配備される)、アークィスも性能自体は良好なものである。


 なお、ヴェルセア王国では、ある程度船体のサイズがあれば全部ひっくるめて「戦艦」と呼称する。「戦艦」同士においては、サイズとは無縁である。


●アトラス


 “北部方面軍第3艦隊”所属の護衛戦艦。

「戦艦」と名の付く艦種の中でも小型で、機動力に特化した艦である(さすがにアドシアには劣るが)。火力はやや劣るが、それでも空獣ルフトティーア相手にはそうそう遅れを取らない。


 艦体内部に、アドシア「アークィス」を数機格納している。数は多くないが、索敵や直掩ちょくえん――護衛に用いられる。


 ギガースと同型の、タイタン級護衛戦艦である。

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