彼は、我らが友なり1(神錘の代行者& vs ロイヤ・ホープフルロード)
「
ヴィグバルトの背に乗った代行者が、ぽつりと呟く。
「みー……はやーい」
ミミミも同様に、ヴィグバルトの速さを実感していた。
「代行者よ、我が背の乗り心地は良いとは言えんが、貴殿の足となろう」
「
ヴィグバルトに課せられた
もっとも今の彼は、代行者の供をすることを望んでいるため、役割としては必然的に“代行者の移動手段の一つ”となるのだが。
そんな代行者一行は、エリア7:不滅のメガロポリスの空を飛んでいた。
もう少し細かく区分すると、エリア7-1:マッドシティの端である。エリア6の外端部ギリギリの、砂漠あるいは荒野じみた場所が代行者の足元にある状況だ。
とはいえ、代行者は
「──人外を発見。対象を、優先
――あるアンドロイドを除いては、だが。
「む? 対象の接近を感知」
しかし、戦闘態勢に移行したアンドロイドは、敵対存在と認識した対象の接近を意外なものと判断した。
「待つが良い、魂持ちし人の似姿なる機械よ。汝が敵意は、我らに伝われり」
声を張るは、隠形を解除した代行者であった。急降下するヴィグバルトから跳躍したように見せると、転移によってアンドロイドの眼前に立つ。
そんな彼を見たアンドロイドが、中性的かつやや無機質な声を発する。
「貴方は、守るべき“人間”――ですが、神性を感じます」
「然り。私は神錘の代行者。我が身は人なり、しかし我が魂は神の域に至れり。して、そこな機械よ、どうして我らに敵意を向ける?」
代行者が、問いを向ける。
「みー……重い、これ」
「私が尻尾で持つとしよう。どれ、失礼」
背後で、カティンカを持つミミミを乗せたヴィグバルトが着陸するのも気にせずに。
「敵意を向けるのは、貴方に対してではありません」
アンドロイドは意外にも、穏やかな
「私の名前はロイヤ・ホープフルロード。私の最重要タスクは、人間を守り、人外を処すことです」
アンドロイド――ロイヤが指す人間とは、代行者とミミミである。人の身である代行者は元より、見習いであるが死神たるミミミも神性を有するため、ロイヤの基準では人間とみなされていた。
だが――竜族たるヴィグバルトに関しては、ロイヤからすれば“人外”であった。そしてロイヤは、人外を排除するまで止まらない。止まれないよう、自らに
「そして、貴方の背後にいる見えざる竜は、人外です。竜種であれば、この判定に例外は存在しません。また、人外は人間を害する存在。ゆえに――人外は、排除するのみです」
話しながらも、代行者を無視してヴィグバルトへ切りかかるロイヤ。
一瞬で両腕部を処刑用の刀身へと変じており、数歩歩いてから一気に加速を付ける……が。
「待つが良い」
代行者がそれを許すはずもなく。
彼の両の前腕から、やはり一瞬で飛び出した特殊金属のブレードでもって、ロイヤの斬撃からヴィグバルトをかばう。
予想しえなかったロイヤは、疑問を代行者へとぶつけた。
「貴方は、何故人外を庇うのですか? 行動の意図を理解できません」
「
「……意味が、理解できません」
人外を、特に竜種を屠ることを存在意義とするロイヤにとって、代行者の言葉はとうてい理解が及ぶものではなかった。
「我は汝と相反するなり。ゆえに、お相手つかまつる」
「やむを得ません。障害である貴方を無力化してから、人外を排除します」
両腕の刃を伸ばした代行者とロイヤが、正面から激突する。
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