第3話『種族が重要らしい』
PKを退けたイチカは、ファストの町へとやってきていた。ほぼ全てのプレイヤーが、最初に来る町であるからか、かなりの賑わいを見せている。初心者らしい装備の者、明らかにベテランのような装備の者、客商売をしている奴ら……。などなど。
「とりあえず装備を買おうかなぁ」
そんな中、イチカは装備を購入する事に決める。と言うのも先のPKとの戦いで、明らかにステータスも装備も何もかも負けていると理解したからであり、多少なりとも装備を着ればマシになるだろうと考えていた。
「あぁ。そういえばステータス確認してなかったな」
と、ここでようやく自分のステータスを確認するイチカ。手のひらに表示されたメニュー画面にはこう書かれていた。
『イチカ:レベル1
種族:不明
HP:15
MP:8
AT:10
DF:10
SP:11
所持スキル:なし』
「……種族不明ってどういうこと?」
「やぁ初心者だね!説明して上げよう、私は『説明おじさん』!本名は『ウルカス』だがね」
「誰!?」
種族のところに不明と書かれていたことを疑問に思い、それを口に出したところ、全裸に顎髭と言うものすごい癖の強い男がやってきてしまった。男の名前はウルカス、いわゆる『町のなんでも知ってるおっさん』である。
「まず種族はこの町に来て、教会に行くことで決めることが出来る!それぞれ得意不得意があるからね、その辺は行ってから確認するといい!」
「そ、そうですか……」
「ちなみにだがね。種族によって装着できる装備も異なるからね。気を付けるといいからね」
「なる程ですね」
「礼などいらぬよ!私はこれが好きでやっているのだからね!」
凄い奴がいるんだなぁ……。と思いつつ、まずは教会へ行ってみる事に。中にはかなり幼いながらも、どこか悟ったような表情をした神父がいた。
「あなたの本当の姿は?」
前に立つだけでこのセリフが出てくるようだ。早速メニューから様々な種族を確認していく。一通り見た後で、とりあえず三つの内のどれかにすることを決める。
(まずは人間だよなぁ。大体の装備が着れるし、ステータスへのデメリットが無い。……いやまぁ、メリットも無いけど)
種族人間。ステータスに対しての強みと言うのが一切無いが、それ故に大体何でも出来るという種族である。更に言えば装備も大体着ることが出来るので、初心者から上級者まで幅広く使われている印象である。
(で次。獣人はなぁ……。どの獣人になるかでステータス凄い変わるんだなぁこれ。狼とかよさげだけど……、装備がね)
種族獣人。人間と違い、この種族で一括りにされているが、地球上にいるほぼ全ての動物の獣人を選ぶことが出来る。ただし選んだ種族によってステータスが大幅に変わる他、スキルなども大きく変化する。そして厄介なことに、装備が獣人が作った装備以外着れないと言うデメリットがある。
(そして魔物……。これはメリットとデメリットがどっちもデカいって感じだな。ステータスも特殊技能も強いけど、シンプルにNPCからの恩恵が減るのは……どうなんだ?どのくらいヤバいんだ?)
種族魔物。魔物と言うだけあり、色々な魔物になることが出来る。例えば鳥なんかの飛べる魔物になればそのまま飛べるし、ミノタウロスなんかの強い魔物になればステータスもバカみたいに上がる。だがしかし、NPCからメチャクチャ嫌われるというデメリットがある。
「よし!決めたぞ!」
そして考えた後、イチカは自分の種族を宣言するのであった。
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