アルバム
例のごとく厳重なセキュリティーを抜けて、以前と同じ部屋に入ると既に
「……どうだった?」
心配する奈緒に対して
「とりあえず成功だよ」
有村は受け取ったアルバムを見せた。
早速受け取ったアルバムをテーブルの上にのせて開く。外は少し
親の年代のアルバムだ。似たような髪型の生徒がちらほらいた。きっと当時流行った髪型なのだろう。
その中で見覚えのある名前の生徒が一人。
「これって――」
その男子生徒名前を見て、有村含めその場にいた全員がかたまった。
「偶然……じゃないよね?」
あずさは頭を抱えた。
「そういえば俺、下の名前、気にしたことなかったっす」
「蓬莱先輩、顔認証って今使えますか……?」
「……すぐに準備するね」
蓬莱は室内に設置してある電話機の受話器を取った。
二分もしない内にアタッシュケースを下げたスーツ姿の女性がやって来た。
「ありがと」
蓬莱は礼をいうとすかさずケースを開けた。中に入っていたのはUSB一つ。アタッシュケースの大きさからすると不釣り合いだが、それくらい厳重に管理しないといけないものであることが分かる。
「山辺君、タブレット貸して」
蓬莱は山辺からタブレットを受け取るとすぐさまUSBを差し込み、中に入っているソフトを立ち上げた。
そしてタブレットのカメラを起動させてアルバムの顔写真の上にかざした。
顔写真を読み取ると、ほんの十数秒ほどでAIが予測した十年後の姿が映し出された。
そこに映し出された例の男子生徒は、校内で見たことのある人物だった。
「他のページも読み取っちゃいましょ!」
そうして読み取りを続けていくと、よく知る人物がもう一人現れた。
「――ねぇ、一つだけ確認していい?」
その人物の顔写真を見てあずさは有村に聞いた。
「何?」
「薬品の片付けって、先生に直接言われて頼まれたの?」
「え、いや、あれは確か、クラスの
「――決まりね」
蓬莱は言った。
「教室の鍵も手に入りますし、協力者がいればなおさらっすね」
「部室の盗聴器もこの人ならできるはず……」
奈緒も納得した。
「でも、どうやって吐かせればいいんでしょう……?」
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