幕末付録

第三幕 登場人物名鑑 その一



☆ここでは【第三幕】の登場人物を紹介します。

 幕間まくあいの登場人物紹介から更新されている場合もありますので、作品世界をより深く理解したい時などに利用してくださると幸いです。

 

※本項は登場人物の紹介です。

 若干のネタバレを含む場合がありますのでご了承ください。


 本項の情報は、作中の一九二〇年八月時点のものです。



◆ 登場人物 ◆



◇ 宮森みやもり 遼一りょういち ◇


 伝承でんしょう学者を目指していたが、恩師の罠にまり魔術結社九頭竜会くずりゅうかいへ入会してしまう青年。

 瑠璃家宮るりやのみやの命を救った功績を認められ幹部に昇進した。


 宗教儀式や古代文明に造詣ぞうけいが深く、好きな煙草の銘柄はゴールデンハット。


 御霊分みたまわけの術法で人格を切り替える事ができ、人格を切り替えた時は『うら 宮森』などと呼称される。


 邪神崇拝者達の計画を頓挫とんざさせるべく九頭竜会を探っていたが、外吮山そとすやまの闘いで死亡してしまう。

 その際、比星ひぼし 播衛門ばんえもんを名乗る〈白髪の食屍鬼グール〉から禁断の魔導書〈死霊秘法ネクロノミコン〉を肉体に据え付けらインストールされ蘇生を果たす。


〈イ婦人〉との闘いの折り、その身に取り込んでいた〈ショゴス〉が作用し眼窩がんかの無い顔へと変貌した。

 その姿を観た瑠璃家宮が大層喜んだ事から、何某なにがしかの秘密が隠されているのかも知れない。



◇ 瑠璃家宮るりやのみや 玖須人くすひと 親王しんのう ◇


 神日本帝国皇太子で後の神日本帝国太帝たいてい

 全世界に破壊と殺戮をもたらす事で邪神の復活を画策し、綾との間に邪神復活の鍵となる子を儲けた。


 自身にも凶大な邪神の一柱ひとはしらを定着させ、九頭竜会では瑠璃家宮 派(海軍派)を率いる。


〈ショゴス〉との融合に成功しており、短時間であれば肉体を異形化させる事が可能。

 だが同時に、肉体の急速な石化を招いてしまう。


 強大な念動術サイコキネシスや催眠術などを幅広く使いこなす為、神力しんりきを開放すれば全魔術師中最強の実力と目されている。

 異形化した際は、霊力生成物質を無効化する触手が最大の武器。


 自身が所有する祭器、『足玉たるたま』を宮森に下賜かしした。

 又、宮森を何者かの生まれ変わりだと確信している。



◇ 多野たの 剛造ごうぞう ◇


 神日本帝国の歴史学、伝承学の権威であり、真道院しんとういん大学の学長。

 宮森の師であり、彼を九頭竜会くずりゅうかいに引き込んだ張本人。


 邪神の一柱ひとはしらを定着させており、瑠璃家宮の最も信頼する側近でもある。


 電撃を得意とし、条件が揃えば石化術式も発動出来る。

 電気を操る能力を応用しての居合術いあいじゅつも使いこなす。


 石化解除の術式をあつかえる為、余程の事がないと瑠璃家宮のそばを離れない。



◇ 蔵主ぞうす 重郡しげさと ◇


 蔵主 財閥の三代目当主。

 全世界での人類大量虐殺に必要な兵器製造をになう。

 アメリカ合衆国と手を結び、数多あまたの次世代兵器を開発中。


 邪神の一柱を定着させており、瑠璃家宮の最も信頼する側近でもある。


 自陣営の魔術師に能力を与えたり、逆に能力を借り受ける共有シェアが固有術式。


〈ショゴス〉との融合に成功しており、ある程度肉体を異形化させる事が可能。


 外法衆襲撃事件の際、気狐きこに両手足を斬断された。

 武藤むとうによる接合手術で両手足は繋がったものの、細胞が焼灼しょうしゃくされていたため以前より短くなってしまう。



◇ 相田あいだ あや ◇


 邪霊定着儀式の末、邪霊〈イダ゠ヤー〉を定着させられた少女。


 比星 兄弟ブラザーズの策略により、遺伝的には宮森の子となるていを出産した。


異魚にんぎょ〉形態に変容すると毒鰭どくひれや音波での攻撃が可能。

 又、〈異魚にんぎょ〉形態で〈イダ゠ヤー〉の歌を歌うと、〈ショゴス〉と〈肉人にくじん〉の粉末を服用した人間のほとんどを強制的に〈深き者共ディープワンズ〉へと変容させる事が出来る。



◇ てい ◇


 異形化した綾が出産した女児で、邪神の肉体を物質界に再現すると云う目的のため誕生させられた。


 綾の胎内でまだ授精卵であった時に邪霊〈クティーラ〉を定着させられる。

 邪神復活阻止を目指す比星 兄弟の策により、遺伝学的な父親は宮森となった。


 綾と同じく、邪念の浸透した水中では身体の異形化が可能。


 危機におちいった際は障壁バリアを発動するなど、自分の身を守ろうとする本能が有るようだ。

 遺伝学上の父親だからなのか、宮森の事をことほか気に入っている様子。



◇ 権田ごんだ 益男ますお ◇


 瑠璃家宮 派に属する魔術師で頼子とは夫婦。


 要人警護や監視任務に就く事が多い。

 表向きには電気技師の職に就いている。


〈ショゴス〉との融合に成功しており、ある程度肉体を異形化させる事が可能。

 戦闘の際にはそれが遺憾いかんなく発揮される。


〈父なるダゴン〉の邪霊を定着させており、〈深き者共ディープワンズ〉を統率する。



◇ 権田ごんだ 頼子よりこ ◇


 瑠璃家宮 派に属する魔術師で益男とは夫婦。


 夫の益男 同様、要人警護や監視任務に就く事が多い。


 現在は一応専業主婦。

 益男と結婚する以前は看護婦をしており、今でもその手並みは衰えていない。

 旧姓は【本田ほんだ】。


〈ショゴス〉との融合に成功しており、ある程度肉体を異形化させる事が可能。

 戦闘の際にはそれが遺憾なく発揮される。


〈母なるハイドラ〉の邪霊を定着させており、〈深き者共ディープワンズ〉を統率する。



◇ 宗像むなかた 藤白とうはく ◇


 九頭竜会所属の魔術師で、本邦では在野ざいやの博物学者として名が知られている。

 粘菌ねんきん(変形菌)に関しては世界的な研究者。

 歩く百科事典の異名を持ち、花言葉などの文化にも詳しい。


 宮森 達と行動を共にするうち、所属する大昇帝 派を裏切る破目になる。

 その後は瑠璃家宮に忠誠を誓い、妻子と共に瑠璃家宮 派の庇護下ひごかに入る事となった。


 戦闘魔術師としての能力は高くないが、持ち前の知識と発想力を駆使して宮森 達をサポートする。


 かなりの大酒呑みで屡々しばしば宮森 達を困らせるが、確かな知識とおバカなノリで場を切り抜けるムードメーカー。



◇ 武藤むとう 大志だいし ◇


 瑠璃家宮 派に所属する医師であり魔術師。

 専門は整形外科。


 透視術イントロスコピーを使用しての外科手術で、帝室ていしつ御用達ごようたしの魔術医とう地位を築く。


 常識外れではないが、医療従事者としての倫理観は皆無。

 外科医としての腕だけでなく、カネ儲けの手腕にも長けているようだ。


 著名人や犯罪者達の整形手術も担当しており、護謨覆面ゴムマスク作りには定評がある。



◇ 比星ひぼし 今日一郎きょういちろう ◇


 太古から邪神を崇拝しその復活を画策して来た比星 一族の末裔で、魔術結社の者達からは宮司ぐうじと呼ばれている。


 メトヘモグロビン血症に苦しむ上鳥居かみとりい 維婁馬いるまの命を永らえさせる為に生み出された別人格がその正体。

 

 主人格の維婁馬とは、顔色を始め雰囲気ふんいきも異なる。


 服用しているメチレンブルー(薬剤)の効果が切れると維婁馬が出現するようだ。


 明日二郎が幻魔である事や〈イサナ〉の宿命を知ってもなお、彼らを実の弟として接する。



◇ 比星ひぼし 明日二郎あすじろう ◇


 宮司(今日一郎)が異界から呼び込んだ異形。

 今日一郎の主人格である維婁馬に憑り付く幻魔げんまがその正体。


 今日一郎を兄として尊敬する面や食に関して並々ならぬこだわりを見せる性格は、全て維婁馬が植え付けたもの。

 維婁馬の祖父でもあり父でもある上鳥居 なお(播衛門)や、上鳥居 本家当主の瀬戸せと 宗磨そうまにはいいように操られてしまう。


 長らく宮森の頭の中に居候いそうろうしていたが、伊藤の頭の中に御引っ越しした。


 何とかの奇妙な冒険第一部に登場するスピードなワゴン的名脇役や極太眉毛・角刈り・揉み上げコンボの凄腕スナイパーの顔真似をするなど、度を越した御茶目さは未だ健在。



◇ 比星ひぼし すみ ◇


 本名 上鳥居かみとりい りん

 維婁馬の母。


 実父である比星 播衛門に犯され双子の男児を出産した。

 その子らが、維婁馬と囲瑳那いさなである。


 身体の障碍しょうがい白皮症はくひしょうを持つ上に病弱な体質。

 囲瑳那を亡くした直後は憔悴しょうすいしていたが、現在の精神状態は健全。


 魔術師としての素質は群を抜いており、精神世界での行動にも熟達している。

 又、生体装甲バイオアーマーを纏っての戦闘もこなす。


 自身の悪願により産まれ出た〈イサナ〉が怪物にならないよう、涙ながらに始末した。



◇ 上鳥居かみとりい 維婁馬いるま ◇


 猶が実の娘である琳を犯し産ませた子。


 生まれて直ぐに双子の兄弟である囲瑳那の血肉を口にした事や、猶(播衛門)からの度重なる虐待により邪霊が定着してしまう。

 その所為もあってか、乳幼児の時分から恐るべき魔術の才能を発揮。

 結果、猶を殺害している。


 邪霊が定着した事で『旧神きゅうしんの呪い』が発動。

 重度のメトヘモグロビン血症をわずらう事となった。


 くだんの病で余命いくばくも無い状態だったが、瑠璃家宮の施した御霊分けの術法により命を長らえる。

 その時生まれた人格が今日一郎。


〈幻魔アスジロウ〉に憑りつかれているものの、ある程度までは操作が出来るらしい。

 よって、普段は今日一郎に『弟の明日二郎』としてかせている。

 明日二郎の記憶や性格は維婁馬が植え付けたものだが、播衛門や瀬戸 宗磨の介入を受けた場合は〈幻魔アスジロウ〉の操作権を失う。



◇ 〈白髪の食屍鬼グール〉 ◇


 比星 播衛門を名乗る〈食屍鬼グール〉。


 他の〈食屍鬼グール〉とは一線をかくす存在で、〈食屍鬼グール〉言語の外に人語も喋る。

 又、本来は〈食屍鬼グール〉が使えない筈の魔術も自由自在に操る。


〈白髪の食屍鬼グール〉としての身体は播衛門本人では無く、猶に憑いていた邪霊を瀬戸 宗磨が〈白髪の食屍鬼グール〉本体に移し入れたモノ。

 詰まり幻魔。


 恐らくは、宗磨の施した幻夢結界により行動していたと思われる。

 その所為か、鳴戸寺から散々罵倒ばとうを受けるまで食屍鬼グール〉の本能から脱却できなかった。



◇ 瀬戸せと 宗磨そうま ◇


 比星 家と懇意こんいにしている薬売り、と云うのは仮の姿。

 正体は上鳥居 本家当主。

 本名は不明。


 外法衆正隊員の痩男やせおとことしても活動しており、使を管理している。

 基本的に、大昇帝 派と瑠璃家宮 派の争いには介入しない姿勢を貫く。


 着けている面と同じく痩せぎすで、まゆくちびるも薄い面相が特徴的。

 目的以外に付いての関心も薄く、外法衆若手ホープ達からの信頼も薄い。


 上鳥居 家当主の実力は伊達だてではなく、空間や次元に関わる固有術式を自在に使いこなす。


 邪霊〈イドラ〉に幻夢結界を施し、寅井とらい ふじ に罪を重ねさせた。



◇ 〈イサナ〉 ◇


 寅井 ふじ が身籠みごもっていた胎児を苗床なえどことして生み出された人造生命体。

 製作には、囲瑳那の遺骨と波邇夜須壺はにやすのつぼと呼ばれる祭器の出来損ないが使われた。


 外見は明日二郎と全く同じで知性も備えている。

 霊感の鈍い人間は視認できないが、〈イブン・ガジの粉〉を使えばその限りではない。


 余りに成長速度が速い為、肉体を維持するにはそれ相応の食糧が必要。

 万媚が連れて来る者達を捕食していたようだ。


 澄の手に掛かり命を散らしたが、最後の最後で人間らしい心を持つに至る。



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