第三幕 登場人物名鑑 その二

☆ここでは【第三幕】の登場人物を紹介します。

 幕間まくあいの登場人物紹介から更新されている場合もありますので、作品世界をより深く理解したい時などに利用してくださると幸いです。

 

※本項は登場人物の紹介です。

 若干のネタバレを含む場合がありますのでご了承ください。


 本項の情報は、一九二〇年八月時点のものです。



◆ 登場人物 ◆



◇ 伊藤いとう 開智かいち ◇


 九頭竜会に借金を返済するため土木作業員をしていた若い男性で、一九一九年七月に起きた〈食屍鬼グール〉による帝居襲撃事件での生存者。


 自堕落じだらくだが面倒見のいい性格。

 非道な義理の父に育てられた境遇の為か、反骨精神も旺盛おうせい


 帝居地下で行なわれた〈深き者共ディープワンズ競艇きょうていに選手として参加した際、死亡したと思われていた弟分の三好みよし 基裕もとひろと再会する。

 だが、三好は九頭竜会生物研究班の実験により〈深き者共ディープワンズ〉へと成り果てていた。


 自身をめた九頭竜会を恨んでいた事と三好を失った事が重なり、宮森のスカウトに応じる。


 残飯屋にふんしての捜査の他、生体装甲バイオアーマーを纏い戦闘もこなすなど幅広く活躍する。



◇ 戸根川とねがわ 邦夫くにお ◇


 九頭竜会に所属する低級魔術師で白髪混じりの中年男性。

 債務者達の管理、運用権限を持つ管理官の任に就いている。


 実務能力は高いが、魔術師としては落ちこぼれ。


 弁舌べんぜつ巧みに債務者達をあおり、致死率の高い治験や裏賭博の競走馬として参加させている。


 債務者達をさげすみ人とも思っていないが、実力を示す者にはチャンスを与えるタイプ。



◇ 三好みよし 基裕もとひろ ◇


 伊藤と同じく九頭竜会に囲われていた土木作業員。

 伊藤からは弟分として可愛がられていた。


食屍鬼グール〉襲撃事件の際に重傷を負うが、九頭竜会生物研究班の治験に参加し葦登よしのぼり型〈深き者共ディープワンズ〉となる。


 地下競艇場襲撃事件の際に死亡。

 伊藤に九頭竜会への復讐を決意させた。



◇ 大槻おおつき 太三たいぞう ◇


 伊藤と同じく九頭竜会に囲われていた土木作業員の中年男性。

 通称はハンチョー。

 部下思いなので伊藤 達からも慕われていた。


食屍鬼グール〉襲撃事件の際に重傷を負ったが、三好と同じく治験に参加し鬼鮟鱇おにあんこう型〈深き者共ディープワンズ〉として復活。


 九頭竜会のやり方をこころよく思っていない〈深き者共ディープワンズ〉のひとり。

 自身の思想に共鳴する者達を救い出すため地下競艇場襲撃をくわだて実行した。


 治験の際、同じ施設で知り合った雌性しせい深き者共ディープワンズ〉と意気投合し夫婦となる。

 夫婦共に鬼鮟鱇型の〈深き者共ディープワンズ〉なので、いちじるしい体格差がある。



◇ 〈ラニクア・ルアフアン〉 ◇


深き者共ディープワンズ〉でありながら、〈ダゴンとハイドラ〉の精神支配を受けない稀有けうな存在。


 九頭竜会のやり方に反発し、同胞の救出に尽力じんりょくする。


 旧文明の事をある程度知悉ちしつしており、およそ二百年前に起こった『小終末しょうしゅうまつ』の顛末てんまつを宮森に伝えた。


 宮森とは利害が一致した事もあり、同盟関係を結ぶ。



◇ 玉藻たまも ◇


 十八人いるといわれる外法衆正隊員のひとり。

 玉藻前面たまものまえめんを被っている。


 身長は日本人女性平均だが、ボンキュッボンのナイスバディ。

 それにより、外法衆の男性準隊員のみならず女性準隊員からも女神の如く崇められている。


 隊長であるテンバ・シローの信頼も厚く、本部の指揮を任される事も多い。

 準隊員達の纏め役で若手の育成にも熱心だが、橋姫や気狐には手を焼いている。



◇ おきな ◇


 外法衆正隊員のひとり。

 肉色尉にくしきじょう翁面おきなめんを被っている。


 中肉中背の男性で金髪碧眼へきがん

 片言かたことながら日本語を喋る。


 パッと見はフレンドリーな性格の常識人だが、〈ショゴス〉との融合に成功した者を実験材料として欲しがるなど生粋きっすいのマッドサイエンティスト気質がうかがえる。

 又、実際に被害をこうむるブラックジョークが大好き。


 直接戦闘を得意とする魔術師ではなく、生体改造や屍体したいの活用が専門。

 ファンタジー作品でいう所の屍術士ネクロマンサー


 元々は外科医で、日本人を先祖に持つらしい。



◇ 嘯吹うそふき ◇


 十八人いると云われる外法衆正隊員のひとり。

 嘯吹面うそふきめんを被っている。


 常に膝を折り曲げており極度の猫背。

 胴の長さと比べて手足が異常に長く、背筋を伸ばせば六しゃく(一八一センチメートル強)を超える長身。


 高い身体能力を誇り、鉤爪や氷結系術法を使ったトリッキーな動きで相手を翻弄ほんろうする。

 ファンタジー作品で云う所の? 軽業戦士アクロバティックファイター


『ぷ~ん、ぷんぷ~ん』などとつぶやく妙な口癖の持ち主で、アイスクリーム作りが趣味。



◇ 気狐きこ ◇


 十八人いると云われる外法衆正隊員のひとり。

 赤狐面しゃっこめんを被っている。


 五分刈ごぶがりの頭をした十七、八歳の少年。

 背丈は日本人男性平均。

 引き締まった身体付きで、身体中に多くの傷痕きずあとがある。


 短気だが向上心あふれる性格で、準隊員から正隊員に実力のみで成り上がった叩き上げ。

 仲間想いな所もあり、橋姫が窮地におちいった際は自身の死をかえりみず救出しようと試みた。


 戦闘流儀バトルスタイルは主に長剣を使ったもの。

 ファンタジー作品でいう所の剣士ソードマン


 中将ちゅうじょうの弟子だが、同時に『BなL』でもある。



◇ 蝉丸せみまる ◇


 十八人いるといわれる外法衆正隊員のひとり。

 蝉丸面せみまるめんを被っている。


 細身細面ほそおもての少年で、十四、五歳だと思われる。


 冷静沈着で合理的な性格からか、外法衆若手ホープの纏め役を任されている。

 博識がたたったのか、一旦解説し出すと止まらない。


 陽神ようしんと呼ばれる特殊な分身を使い戦況を有利に導く。

『少年跳躍』的に云えばスタ◯ド使い。


 実は大昇帝の落胤らくいんで、彼に酷く幻滅しているようだ。



◇ 橋姫はしひめ ◇


 十八人いるといわれる外法衆正隊員のひとり。

 橋姫面はしひめめんを被っている。


 銀髪翠眼すいがん白色人種コーカソイド

 巨人族の血を引いている為、五、六歳ながら身長が五しゃくすん(約一六〇センチメートル)程にも達する。


 子供らしく天真爛漫てんしんらんまん

 自称『れでぃー・ぷりんせす』。

 気狐を気に入っているようで、何かに付け困らせている。


 子供ゆえに複雑な事は出来ず持ち前の怪力で闘うが、手足が短いので打撃はまだ苦手。

 格闘ゲームで云う所の投げキャラ。


 巨人族の末裔である上、旧文明の王家の血も引いているらしい。

 また帝居を襲撃した際には、〘シャーリー〙と云う名を口走った。



◇ 増女ぞうおんな ◇


 増女面ぞうおんなめんを着けた外法衆正隊員。

 外見は熟年女性。


 夢幻座では中東風の民族衣装を着て占い師を演じていた。


 柔らかい雰囲気と言動で相談員カウンセラーとしても一流。

 警戒されにくい事を利用し、一般人を吊り上げるのが主な役割。


 彼女の占い自体はインチキだが、能力は今のところ未知数。


 白文鳥の文吉ぶんきち(おそらくオス)を飼っている。


『あらあらまあまあ』が口癖。



◇ 大悪尉おおあくじょう ◇


 外法衆の二代目隊長。

 ロマノフ王朝を打倒するためロシアに渡っていたが、現隊長のテンバ・シローが深手を負ったため来日。

 その正体は、ロマノフ王朝に取り入り内部崩壊を引き起こしたグリゴリー・エフィモヴィチ・ラスプーチンその人。


 夢幻座ではひげ団長として自ら舞台ステージに上がり手品を披露している事からも、意外とノリのいい性格をしているようだ。


 多野たの 教授を恐れさせる程の使い手らしいが、その片鱗は未だ見えない。



◇ チンドン屋の三人組 ◇


 正体は外法衆正隊員の気狐、蝉丸、橋姫。


 チンドン屋としての姿は、帝都に突如とつじょ現れた曲馬サーカス団である夢幻座むげんざのビラ配り活動時のもの。


 講演会場では蝉丸が入場係、気狐が赤鼻道化レッドクラウン、橋姫が紫鼻道化パープルクラウンを演じている。



◇ 夢幻座の道化クラウン達 ◇


 緑鼻道化グリーンクラウン中将ちゅうじょう黄鼻道化イエロークラウン嘯吹うそふき


 青鼻道化ブルークラウンの正体は不明ながら、外法衆正隊員と思われる。



◇ 万媚まんび ◇


 外法衆正隊員を名乗る、万媚面まんびめんを着けた黒い留袖とめそで姿の女性。

 帝劇近辺で目撃された為、ちまたでは『帝劇の怪人』と呼ばれている。


 その正体は、邪霊〈イドラ〉に定着された寅井 ふじ が生み出した幻魔である〈イ婦人〉。

 イサナ捕食後は、女王白蟻しろありの如き胴体の上に女形めぎょうが乗っている異形となった。


 護謨ゴムのような黒い長髪で獲物を捕縛ほばくしたり、鋭利な鉤爪かぎづめを伸ばす殺線キリングラインが主な攻撃方法。

 イサナ捕食後は大量の血管を突き刺す血管針けっかんしん、生成した骨杭ほねくい射掛いかける触手弓しょくしゅきゅうなどの攻撃方法が追加された。

 

 復元、と称される程の強力な再生能力を持ち、精度の高い精査スキャン能力も備えている。



◇ 寅井とらい ふじ ◇


 静岡の実家を出て帝都劇場付属技芸ぎげい学校に入学。

 同校卒業後、劇場売店の売り子をし乍ら女優を目指していた。


 大昇たいしょう期を代表する舞台女優にまで成長するが、その地位は上級国民相手にまくら営業してもぎ取ったもの。


 ひょんな事から知り合った宮森に好意を抱く。


 既に亡くなっていた比星 すみの息子をよみがえらせる為、波邇夜須壺はにやすのつぼと呼ばれる祭器を瑠璃家宮るりやのみやに埋め込まれた。


 邪霊〈イドラ〉に定着されている所を瀬戸せと 宗磨そうまに見いだされ、幻魔〈イ婦人〉となり果てる。

 その後は外法衆の万媚として活動。

 主に平民出身女優を食い物にしていた上級国民達を殺害し、えさとして〈イサナ〉に与えていた。


 激闘の末 宮森にたおされる。

 その際 宮森から寿命を受け取っており、僅かな時間ではあったが舞台に立った。


 その猟奇的な最期から、『非業ひごうの最期を遂げた不遇の女優』として後世に語り継がれる事となった。



◇ 大川おおかわ 幹事長 ◇


 神日本帝国の二大政党である、立法政友会りっぽうせいゆうかいの幹事長を務める政治家。

 幹事長とは名ばかりで、その実は大昇帝たいしょうてい 派の傀儡かいらいに過ぎない。


 呑む打つ買うの三拍子そろったどうしようもない人物。

 寅井 ふじ を愛人として囲い、権力を使って彼女を帝劇のスタアにまで押し上げた。


 先の罪がたたり、ドッキリでカメラな最期を遂げる。



◇ 下宿の女将おかみ ◇


 本名は名礼緒なれお ふく


 宮森が以前寝起きしていた下宿の大家で、宮森の部屋は現在 伊藤が居住している。


 九頭竜会傘下の宗教団体会員で常に宮森を監視していたが、その対象を伊藤へと移す。


 普通に気のいいおばちゃんだが、七年前に夫を亡くしている事もあり欲求不満らしい……。



◇ 若場じゃくば 譲治じょうじ ◇


 魔術結社とは何の関係も無いただの郵便配達人の筈だが、いつか拳銃を心行くまでブッぱなしたいと妄想にふけるアブナイ男。


 数字の『24』にとことんこだわり、当時の人間にしては珍しく『テロリスト』などの横文字も知っている。


 この狭い日本で郵便配達するよりは、自由の国で特別捜査した方が活躍できるタイプだろう……。


 帝劇の怪人事件の後、意を決して『照美てるみちゃん』にプロポーズ。

 めでたく婚約にまでぎ着けたらしい。



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