第十章 注釈集



☆ここでは【第十章】の注釈を一覧できるようにしました。

 用語を調べたい時などに御利用下さい。


※本項は作中の注釈を紹介しています。

 若干のネタバレを含む場合がありますのでご了承下さい。


 本項の情報の中で『(作中での設定)』とされている注釈は、作中での一九二〇年八月時点のものとなります。

 それ以外の注釈はその限りではありません。



◆ 第十章 ◆



◇[註*衆道しゅうどう=身分差がある者同士での男色行為。

 身分差や年齢差といった明確な上下関係の下で形成され、それらがない真性同性愛とは異なる]


◇[註*銘仙めいせん=平織りの絹織物の一種。

 売り物にならない絹糸を使っている事から、糸をじかに染色する先染さきぞめの手法が取り入れられた。

 その為、派手な色使いの品物が大半を占める]


◇[註*チンドン太鼓だいこ=チンドン屋が好んで使っている事から名付けられた。

 当たりがね締太鼓しめだいこを身体に垂直となる向きで組み合わせた楽器。

 歩行しながら演奏するため、どのパーツも小型化されている]


◇[註*ゴロス太鼓だいこ=チンドン屋用にカスタマイズされた大太鼓。

 通常の大太鼓よりかなり軽量だが、皮の部分が薄く製作難度は高い]


◇[註*どんどん焼き=もんじゃ焼きから派生した軽食。

 水で溶いた小麦粉に刻みねぎや肉片などを乗せて焼き、ウスターソースを塗ったもの]


◇[註*プロテウス症候群=体組織が過成長を起こす遺伝性疾患。

 変身能力を持つギリシャ神話の海神プローテウスに由来する。

〖エレファントマン〗と呼ばれた〖ジョゼフ・メリック〗が有名]


◇[註*佝僂病くるびょう=骨格の形成異常や骨組織の石灰化障害の事。

 ビタミンD、カルシウム、リン等の欠乏や、遺伝的要因により発症する。

 背中が異常に盛り上がり曲がる様子から、作中当時は傴僂せむしとも呼ばれた。

 現在『傴僂せむし』との呼び名は差別用語となっているので、使用には注意されたし]


◇[註*増女面ぞうおんなめん増阿弥ぞうあみの創作とされる面で、女神、天女、仙女などの役に用いられる。

 小面こおもてのような若々しさや明るさは見られず、上品な雰囲気を漂わせる面]


◇[註*残飯屋ざんぱんや=主に軍隊から出る残飯を安く買い、都市部の貧民に販売する業者。

 供給元は軍隊宿舎の他に、料理屋や汽船などもあった]


◇[註*長春色ちょうしゅんいろ長春花ちょうしゅんか(オールドローズ)と呼ばれる花が語源。

 灰色がかったピンク色]


◇[註*モガ・モボ=モダンガール・モダンボーイの略で、欧米の影響を受けた髪型や服装を特徴とする男女の事]


◇[註*万媚面まんびめん=若い女性を表す面だが、口端が上がり小面こおもてより瞳が大きい。

 妖艶な印象を与えるが、百のにも勝る心を表現したとの説もある]


◇[註*琺瑯ほうろうさびどめや装飾のため、金属器表面にガラス質の釉薬うわぐすりを焼き付けた物。

 装飾品の場合は七宝焼しっぽうやきと呼ばれる]


◇[註*薄紅色うすべにいろ=くすんだピンク]


◇[註*甕覗色かめのぞきいろ=淡い青で『覗き色』とも呼ばれる。

 藍甕あいがめに少し布を浸した程度の色、という意味]


◇[註*電子銃゠電子を空間に放出し、加速と収束の工程を経て照射する装置。

 ブラウン管や電子顕微鏡などで用いられる]


◇[註*金如苑きんにょえん゠盟治初期に設立された新興宗教団体。

 九頭竜会陸軍派がその後ろ盾である(作中での設定)]


◇[註*薄翅蜉蝣うすばかげろう=アミメカゲロウ目(脈翅みゃくし目)ウスバカゲロウ科の昆虫。

『カゲロウ』と付くが蜉蝣かげろう目ではなく、『極楽トンボ』・『神様トンボ』などの俗称を持つが蜻蛉せいれい(トンボ)目でもない。

 幼虫は『蟻地獄ありじごく』の名で有名]


◇[註*鉗子匙かんしかい=鉗子の先端部。

 産科鉗子の場合はスプーン状に広がっている]


◇[註*共栓瓶ともせんびん=栓と瓶を共通の材質で製造した実験器具。

 多くはガラス製。

 気密性を高めるため、栓と瓶の接触部分にり合わせ加工が施されている]


◇[註*吹上ふきあげパイプ=パイプに息を吹き入れ、紙やプラスチック製の玉を浮かべて遊ぶ玩具。

吹玉ふきだま』や『フーフーボール』等の名称で呼ばれる事も]


◇[註*訶利帝母かりていも覚者教かくしゃきょう一尊いっそん

 訶利帝母との呼び方は、元々の名である『ハーリーティー』又は『ハリティー』を音写したもの。

 日本では『鬼子母神きしもじん』との呼び方が有名。

 顕教けんきょう(一般信徒向けの教義)では子供の守護者とされるが、本来は子供を喰らう悪鬼である(作中での設定)]


◇[註*盃洗はいせん=酒の席で、互いにやり取りするさかずきを洗いすすぐための器。

 または、他人に盃を渡す際に水で洗う風習]


◇[註*予科生よかせい本科生ほんかせい=盟治から第二次世界大戦直後までの学校制度で使われた呼称。

 予科よかは現代でいう所の高校に当たり、本科ほんかは大学に当たる(作中での設定)]


◇[註*ドミノ仮面マスク=顔面の上半分や目元を隠す仮面で、〘ベネツィアマスク〙や〘バタフライマスク〙等の別名がある。

 SMの女王様が着けているアレ]


◇[註*ルネサンス様式=十五世紀から十七世紀初頭まで、ヨーロッパで広く普及した建築様式。

 古代ギリシャや古代ローマの建築を下敷きにしている。

 左右対称・水平線を重視する造形が特徴]


◇[註*スミス&ウェッソンNo.2アーミーリボルバー=スミス&ウェッソン社が一八六一年に発売開始した回転式(リボルバー)拳銃。

 かの坂本 龍馬が愛用していた事でも有名]


◇[註*昇天しょうてん幽界ゆうかい(五次元)に送られた邪霊がそこで更生し、その存在を浄化する事。

 覚者教かくしゃきょうでいう成仏じょうぶつと同義(作中での設定)]


◇[註*密接抱擁クローズ・ホールド=社交ダンス用語。

 男女が密着に近い状態で正対する基本的な組み方。

〘クローズド・ポジション〙とも呼ばれる。

 密接抱擁みっせつほうようとの漢字表記は作者の造語]


◇[註*淡藤色あわふじいろ=淡い青紫色。

 似た色に薄藤色うすふじいろがあるが、淡藤色よりも若干濃い]


◇[註*端唄はうた小唄こうた=端唄は江戸時代の歌謡曲で、平坦な節回ふしまわしの曲が大半。

 小唄は盟治めいじ時代からの歌謡曲で、端唄に比べ技巧的な節回しが特徴。

 なお、〘盟治〙という元号は作中での設定]


◇[註*阿羅漢あらかん=覚者教における聖者の事。

 もう学ぶべき事が無いほど悟っている、という意味もあり〘無学むがく〙とも呼ばれる(作中での設定)]



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