炸裂、◯◯チ! その六
一九二〇年六月二三日 帝都中久保町 夢幻座公演会場
◇
〈巨大
蝉丸が闘いの感想を
「あー、矢張り宮森さんは巨大生物の弱点を見逃しませんか」
「
正直いって、あの機転はやべーな。
……って、おっと!」
「おちるー!」
でんぐり返しの衝撃で、危うく屋根上から転げ落ちそうになった橋姫を助ける気狐。
「あぶねーから大人しくしてろ。
このお子ちゃまめ」
「ハシヒメおこちゃまじゃないもん!
れでぃーだもん、ぷりんせすだもん!」
「分かった分かった。
でもよ、レディーやプリンセスは屋根上から転げ落ちたりはしねーと思うぜ」
「キコのばかー!」
気狐に痛い所を突かれた橋姫だったが、続けての衝撃に更なる嬌声を上げた。
「ウララのでんぐりがえしれんぱつー。
ろーりんぐあたーーーっく♪」
〈巨大
『バスーーーーン!』
背後から宮森が狙い撃つも、〈巨大
余りに高温な為、細胞融解素が熱で壊れてしまうのだ。
このまま射撃を続けても
宮森は〈巨大
その巨体で見世物小屋を半壊させ乍ら突き進む〈巨大
蒸気を噴き出し
そして、その目的も。
〈巨大
川のせせらぎが僅かに聞こえる中、そんな〈巨大
澄である。
但し、
左右肩部の装甲が上下に
中心へと向かうに従って深みを増すその擂鉢状器官は、
[註*
『カゲロウ』と付くが
幼虫は『
澄が霊力を集中すると、
〈巨大
彼女はその巨体を一刻も早く冷却したいのだろう。
眼前の澄を無視し、
川に到着したので給水しているのだろう。
只、〈巨大
どこへ行ったのだろうか。
給水による冷却を実感したらしい〈巨大
全長一〇メートルを超える〈巨大
しかしその眼差しには、殺意とは違う強い意志が揺れている。
そんな澄が気に
熱痰をその身に浴びる寸前、澄はそのか弱い身に相応しくない怒号を発する。
「わたしの歌を……聞けえぇぇーーーーーーーーーーーーっ!」
『ラ~~~~~~~~~~~~~~~~~』
『ラ~~~~~~~~~~~~~~~~~』
澄から突如
正確には、澄本人ではなく両肩部に展開している擂鉢状器官からだ。
余りの音圧に、澄に命中する筈の熱痰が瞬時に消し飛ぶ。
そしてその音圧は〈巨大
『A~~~~~~~~~~~~~~~~~』
『A~~~~~~~~~~~~~~~~~』
澄の肩部装甲から放たれている大音声は、空気を伝わり〈巨大
その音量は膨大で、猫背の〈巨大
そう、展開した澄の肩部装甲は
『6~~~~~~~~~~~~~~~~~』
『6~~~~~~~~~~~~~~~~~』
然も
蟻地獄……もとい、
『ラa六らA6ラa六らA6ラa六らA6』
『A6ラa六らA6ラa六らA6ラa六ら』
澄の
贅沢な
「うぎゃあぁ⁈
耳が、みみが……ミミがあぁーーーーーーーーーーーーっ!」
鼓膜を破壊された〈巨大
そして直ぐさま
だが、〈巨大
鼻や口からも血を噴き出し、しかもその血は蒸気を上げている。
両膝蓋骨を破壊され動く事もままならず、音響攻撃を受け続けるしかない巨大
口を結び頭を振り乱すその仕草は、幼児のイヤイヤを思わせる。
とてもではないが、熱痰で攻撃する余裕など無いだろう。
⦅良かった。
音波兵装は効いてるみたいね……⦆
〈巨大
◆
大
内部には観客も演者もおらず、
伊藤は四苦八苦し乍らも
「あー、明日二郎シショーがいねーから術式使うのめんどいぜー。
んで、団員さんや動物さん達はいませんねー。
良かった良かった」
大
伊藤はそれらも気に留めて探索し、程なくして御目当ての物を見付けた。
「なんだ、ここにあるじゃねーか」
舞台袖に設置されていた人間大砲を
「うへー、こりゃ運ぶのめんどいぜ……」
愚痴を言っても力が増す訳ではない。
伊藤は「よっこらしょ!」と砲台を押し、大
伊藤が大
外では〈巨大
いつしかその振動は強まり、
◆
炸裂、◯◯チ! その六 了
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