泡沫の記憶 その四
※ 警告 ※
この節には本作で最大級の猟奇的、生理的嫌悪を促す描写があります。
お食事前後の閲読は特にご注意下さい。
◇
一九一九年一一月 上鳥居 維婁馬の幻夢界
◇
六景目――。
蒼い赤子である維婁馬に母乳を与える琳。
四つん這いで歩き始めた維婁馬を褒める琳。
初めて立った維婁馬を心配そうに見詰める琳。
初めて喋った維婁馬に驚く琳。
琳と維婁馬の安らかな生活は続かなかったようだ。
後の光景全てに、猶がいたからである。
維婁馬が言葉を覚えると、直ぐに魔導書を読ませ始めた猶。
邪神が定着しているからか、維婁馬の知能は
初歩的な魔術を一年足らずで習得した維婁馬を、猶は更なる高みへと導こうとする。
その結果、取り返しの付かない程の歪みを維婁馬に与えてしまった。
映像内では、両手足を縛られ
着物をはだけさせた猶が維婁馬へとにじり寄り、四つん這いの格好にさせて着物を剥ぎ取った。
「なにをするのおじいちゃん⁈
こわい、おかあさんこわいよ!
たすけてぇ……」
「ゔぃぶばぁ、ゔぃぐばぁ!」
猿轡を噛まされている所為で満足に声を出せない琳を尻目に、邪悪そのものを体現した猶が一線を越える。
「いっ、いたいっ⁈
おじいちゃんいたいよぉ⁈
いたい、いたいよぉ……。
やめて……お、じいっ⁉
いたいいたいいたいいたいっ……ぁっぁっぁっぁっぁっ……。
ぅっ!
ぅあぁぁぁぁぁぁあああああああああぁぁぁぁあっ……がっ!
がっ……ああぁっ‼
……ぅぁぁぅ……」
「ゔぃぶばぁぁあっ!
ゔぃぐばぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
常軌を逸した猶の
維婁馬の泣き顔をさも愛おしそうに
暫く欲望のままに維婁馬を
もよおしたのか、維婁馬へと放尿した。
「ゔっぷぅっ⁉
おじいちゃん、なんでおしっこかけるのぉ⁈」
あからさまに維婁馬の顔を狙い
「ほれ、じじの小便はうまかろう?」
維婁馬は必死で目と口を閉じるが、猶から鼻を
強制的に飲尿させられた維婁馬の顔から尿が流れ落ちても、彼の目が乾く事はない。
用足しの
「まだ終わらんぞっ……っっ!
ぼあああああぁぁぁ……」
急に息みだし、なんとその場で脱糞した。
猶は排泄した自らの糞を頬張り
「
苦しさと辛さの余り、猶に止めるよう懇願する維婁馬。
「おじいぢゃ⁈
……うゔぅえぇえぇぇぇっ‼
くさいよぉっ……ぐさぅうえぇえぇぇぇっ……」
猶は、自身で咀嚼していた糞を口移しで維婁馬に流し込み止どめを刺す。
「あああああがあああぁぁ……ゔぃゔばぁぁぁ……」
琳の力ない
恥、外聞、倫理。
この場でこれほど無価値な言葉もないだろう。
悪徳の権化は自らの孫であり息子を、もはや這い上がれぬほど深い
◇
猶が維婁馬を強姦すると云う、酸鼻極まる場面を観せられた宮森。
涙を流す澄に掛ける言葉も見付からず、ただ突っ立っている事しか出来なかった。
暫くすると悪趣味なブラウン管が弾けて空間が歪み、ふたりを七つ目の舞台へと誘う。
場所は同じ比星 家の屋敷だが、今度は多数の人物が居た。
七景目――。
座敷には喪服を着た人々が詰めかけ、呼ばれた僧侶が経を読んでいる。
比星 家に仏壇が無い事が原因なのか、いまいち興が乗らない僧侶。
木魚を叩く音で、自身が
上座に敷いてある布団には猶が横たわり、枕元には
毒にも薬にもならぬ説教を終えた僧侶が立ち上がると、数人の男性が猶の遺体を
早桶は屋敷玄関を出て外吮山中腹に向かい、比星 家の墓地へと辿り着く。
比星 家の墓地は
集落の男性達が埋葬する様子を見て、見知った人物を探し出した宮森。
「あれは久蔵さんだ……」
「そうです。
だいぶお歳でしたのに埋葬を手伝って下さって、わたし共にも良くして下さいました……」
高々三年前の光景だが、比星 家に分け隔てなく接してくれた久蔵 翁を懐かしむ澄。
よほど感謝の念に
埋葬場面が済むと、映像は早送りされ夜となる。
静まり返った墓地に、突如怪しい影が立ち入った。
夜間なので顔は判然としないが、旅装束を纏っている男性だと判る。
播衛門が埋葬されている場所まで来ると、旅装の男はなんと
仰天した宮森は映像を見守る。
⦅薬売りが次元孔だって⁈
なるほど、上鳥居 本家の者だな。
あの男はいったい何をする積もりなのか……⦆
男の展開した
男は
その様を観て肝を潰した宮森は澄に説明を
「澄さん、これはいったい……」
「あの方が、仮死状態にする薬を父に飲ませていたのです」
「比星 家は医者の家系なのだから、本家も医術に明るいのは自明ですね。
しかし薬で死を装ってまで猶さんが成し遂げたい事とは……」
宮森の問いに応えるかの如く場面が切り替わった。
外吮山頂上が舞台なのは同じだが、薬売りの男は消えている。
御多分に漏れず虹色の球体が湧き、八つ目の泡が膨らんで映像が映し出された。
◇
泡沫の記憶 その四 了
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