第九章 注釈集



☆ここでは【第九章】の注釈を一覧できるようにしました。

 用語を調べたい時などにご利用下さい。


※本項は作中の注釈を紹介しています。

 若干のネタバレを含む場合がありますので了承下さい。


 本項の情報の中で『(作中での設定)』とされている注釈は、作中での一九二〇年四月時点のものとなります。

 それ以外の注釈はその限りではありません。



◆ 第九章 ◆



◇[註*メトヘモグロビン血症けっしょう=赤血球中のヘモグロビンの一パーセント以上が、異常なメトヘモグロビンに変化してしまう病。

 原因は、薬物使用や毒物による中毒と遺伝性のものとに大別される。

 急性薬物中毒での症状は、頭痛、眩暈めまい、呼吸困難、意識障害。

 死に至る場合もある。

 特徴的なのは遺伝性の場合で、血液が濃い茶色や青紫に変色する。

 その色が肌にまで表れ、皮膚や粘膜までもが青紫色に変色する。

 遺伝性メトヘモグロビン血症を蒼顔病そうがんびょうと呼称している箇所があるが、この語句は作中での設定]


◇[註*メチレンブルー=青色の染料として開発されたが、日光に弱いため染料としての価値は低い。

 現代ではメトヘモグロビン血症治療薬の他、酸化還元指示薬、機能検査薬、生体染色剤、魚病ぎょびょうに対する殺菌薬などにも利用される。

 経口投与すると記憶力や集中力が増すとの研究もあるが、飲むと舌や尿が真っ青になってしまうため、『今日一郎くんみたいに頭を良くしたいから、思い切ってメチレンブルー飲んじゃうぞ!』といった頭の悪い行為はよしたほうがいいだろう」


◇[註*バルビツール酸系睡眠薬=非常に強い効果がある睡眠薬。

 脳全体の機能を落とす事で倒れ込むように眠りに落ちるため、エンターテインメント作品でよく見られる。

 即効果が出るものの、耐性が早く出来る、依存性が高い、大量に服用すると死亡するなど、副作用も強烈]


◇[註*脱魂だっこん=作中では、魂魄こんぱくのうち魂のみが肉体を離れ霊的活動をする事。

 はくに定着している邪霊の力を使用しやすくする為の措置]


◇[註*ジャマダハル=握りが刀身に対して垂直に付けられており、そこから幅広い両刃が生える奇異な形状が特徴。

 別名『カタール』とも呼ばれるが、誤用が定着してしまったものである]


◇[註*無頭児むとうじ=遺伝的奇形症の一つ。

 大脳半球が縮小、または欠損した症状。

 頭蓋骨が欠損している場合もあり、無頭蓋症むとうがいしょうとも呼ばれる]


◇[註*大悪尉面おおあくじょうめん=能楽では異国の神を表現する面。

『悪』とは強く猛々たけだけしい、存在の大きな、などの意味。

 彫りが深くゲルマン系の顔立ちが特徴]


◇[註*痩男面やせおとこめん=怨霊を表す面の一種。

 頬骨が高く眼は落ちくぼみ、憔悴しょうすいした表情をしている]


◇[註*朝鮮朝顔ちょうせんあさがお=和名に朝鮮とあるが、原産地は中東、南アジア、南北アメリカなど。

 朝顔とあるが、ヒルガオ科に属するアサガオとは別種で本種はナス科。

 トランペットフラワー、エンゼルトランペット、ダツラ、ダチュラ、ロコ草、曼陀羅華まんだらげ気違きちが茄子なすびなど、多くの別名がある。

 強烈な幻覚作用を持つ植物として知られ、古くから麻酔薬や自白剤、麻薬原料として栽培されてきた。

 花言葉は、『愛嬌』、『素敵な恋人』、『偽りの魅力』、『夢の中』、『あなたを酔わせる』、『恐怖』、『変装』]


◇[註*葦登よしのぼり=ハゼ科ヨシノボリ属に分類される魚の総称。

 最大の特徴は吸盤状に発達した腹鰭はらびれで、川底の石や護岸に貼り付く事が出来る]


◇[註*救命胴衣メイ・ウエスト=この場面で使用されているのは、第二次世界大戦中に連合国側で使用された救命胴衣『Type B-4』。

『メイ・ウエスト』とは、豊満な肢体で有名なアメリカ人女優から付けられた愛称]


◇[註*助走開始フライングスタート=自転車競技で発走員に押してもらい出発する事や、跳躍競技で助走路を走りながら切るスタートの事。

『助走開始』の語句は作者の造語]


◇[註*なみ=ここでは、船が勢い良く走った後に残る波の事]


◇[註*外鰯そといわし真鰯まいわし潤目鰯うるめいわし片口鰯かたくちいわしとは別種。

 小骨が非常に多く食用には向かない]


◇[註*魳鰆かますさわらおきサワラなどとも呼ばれ、一七〇センチメートル程まで成長する大型魚。

 食用魚としても広く消費される。

 遊泳速度も時速七八キロメートル程と速い]


◇[註*芭蕉梶木ばしょうかじき=他のカジキ類同様に上顎うわあごが伸びたふんを持つ。

 他のカジキ類との相違点は長大な背鰭せびれを備えている事。

 魚類最高の時速一二五キロメートルを誇る]


◇[註*千手蛯せんじゅえび=センジュエビ下目に属する。

 最大の特徴は、五対ある歩脚のうち前四対が鋏脚きょうきゃく(はさみ)である事。

 千手観音が名前の由来]


◇[註*即刻帰郷そっこくききょう=最初のレースで重大な過失を犯したなどの理由で以降のレースに参加できなくなり、帰宅を命じられる事を指す公営競技ギャンブル用語。

 過失ではなく自身の怪我や疾病などの場合は〖途中帰郷〗と呼び、最初のレースより後で重大な過失を犯し帰郷を命ぜられた場合は〖即日帰郷そくじつききょう〗と呼ぶ]


◇[註*駄津だつ=ダツ目ダツ科に分類される魚の総称で、英名はニードルフィッシュ。

 両顎が細長く尖るのが特徴的で、食用魚でもある。

 光に向かい突進する性質を持つ事から、死亡事故も発生している。

 沖縄の漁師間では鮫より恐れられているとか。

 もし駄津にぶっ刺されたら抜かずに病院へ行くべし!]


◇[註*大西洋伊勢鯉アトランティックターポン=カライワシ目イセゴイ科に属する魚で古代魚の一種。

 シルバーキングの愛称でも知られ、スポーツフィッシングの対象魚として人気がある。

 体長二五〇センチメートル、体重一六一キログラムの個体が確認されているが、体重二〇〇キログラム越えの超巨大個体の噂も]


◇[註*馬尾藻ほんだわら=海藻の一種で、同じホンダワラ科には鹿尾菜ひじき赤藻屑あかもくがある。

 有名なサルガッソー海に繁茂しているのはこの仲間]


◇[註*波布海月はぶくらげ=沖縄や奄美に生息するクラゲで、毒蛇の波布はぶが語源。

 語源通りの強力な毒を持ち、症状が重い場合は細胞壊死の他、意識障害、呼吸困難、心停止などを引き起こす]


◇[註*鯖折さばおり=相撲の決まり手の一つ。

 まわしを取って強く引き付け、上からのしかかるようにして相手の膝を付かせる技。

 語源は、技をかけられた力士の姿が、首を折って血抜きした鯖に似ていた事から]


◇[註*鉄砲蛯てっぽうえび=十脚目テッポウエビ科に分類されるエビの一種で、『かちえび』などの異名もある。

 最大の特徴は片側だけ巨大な鉗脚かんきゃくで、それを噛み合わせて衝撃波を生成し威嚇や狩りに用いる。

 海岸性のハゼ類と共生関係にあり、仲良くしている所がよく目撃されている]


◇[註*石板色せきばんいろ=暗い灰色、スレートグレイ]


◇[註*鞘翅しょうし=昆虫類の前翅ぜんしがキチン質化し硬くなった物]


◇[註*矮小雄わいしょうゆう体躯たいくが雌より極端に小さな雄の事。

 深海魚に例が多く、昆虫ののみや甲殻類のうおなども有名]



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