僕と女性と犬たち

@hairo

犬の散歩の合間に、

 犬の散歩に出かける。それが最近出来るようになった。


 今うちで飼育している犬は2匹いる。そのうちの最初に来た一匹は全然散歩をしようとしなかった。リードを付けた瞬間に地面にへばり付く。無理に歩かせようとすると反対方向に体を動かして絶対に歩こうとしなかった。散歩をしない理由は分からない。例えば、単純に歩きたくないのか、それとも僕という人間に慣れていないので、散歩をしたくないのかもしれないと考えていた。

 それが、犬が2匹になってから、散歩に行くようになった。新しく来た子は元気いっぱいで散歩が好きらしい。その子は素直について来た。その子に触発されてからか、元々いた子も、渋々ながら散歩に行くようになった。そして、今では楽しそうに散歩に行く。もしかしたら、一緒に散歩にいく友達が欲しかったのかもしれない。と思いながら今日も散歩に行く。

 そして、僕も散歩に行くのが最近は楽しくなった。それは、散歩をしていると意中の人と会えるからだ。


 散歩の途中でその女性と会う。この人は以前犬の散歩中に、


 「可愛らしい子たちですね」


と話しかけられて知り合いになった。それから時々、会ってから立ち話をするようなった。話すことはもっぱら犬についてである。例えば、最近、この子が手を舐めてくる。とか、その時の舌がザラザラしていて驚いたことなどであった。

 そんな話をしていたら、いつの間にか好きになっていた。


 しかし、今日その女性と会ってみたらとこどなく違和感を覚えた。目を合わせたと思ったら、直ぐにそらすしどこか悲しそうな表情をしていた。今まで、このような顔を見なかったので、素直に聞いてみることにした。


「どうしましたか?悲しいことでもありましたか?」

「実は、引っ越すことになりました。ですので、もう会えないかもしれません」


 このとき、僕は自分が立っている地面が崩れていくような感覚に襲われた。なぜなら、この先も犬の散歩の途中で会い、会話を続けることが出来ると考えていたからだ。それが突然、会えなくなると言われたのだ。

 そこから、会話の内容は聞いていない。いや、聞いてはいたが脳の防衛反応だろう耳で女性が話している音は分かるがそれを言葉として理解できないでいた。そのような状態から、考える気力を何とか取り戻すと会話が終わっており、女性は返事待ちの状態であった。ここで、何も聞いていませんでした。とは言えず取り合えず明日また会えますか?と言った。


「はい、もちろん大丈夫ですよ」

「じゃ、またこの時間、この場所に会いましょうか」

「では、また明日」

「はい、では

バイバイ」


 その日、帰ってから。夕食も食べずに明日何を言うのかを考えた。どんな言葉で

僕の気持ちを伝えるべきが考えたが、考えが考えるほどまともらない。そんなことをしていたら、寝落ちをしていた。


 起きると、約束の時間ギリギリであった。急いで、身支度を整えてから家を出る。約束の場所に行くとその女性は、まだ時間にもなっていないのに待っていた。僕は、謝罪の言葉を発する。


「すみません、遅れていしまいました」

「大丈夫ですよ、まだ時間になっていません。それに、私も今来たばかりですから」


 いざ、僕の気持ちを伝えようとしたら緊張で声が出てこない。それでも、声を絞るようにして喋る。


「僕は、あなたのことが好きなんです。

 こんなことを突然言うと混乱するかもしれませんが、僕はあなたのことが大好きです。

 あなたが好きなことを喋るときの声音が好きです。あなたが笑ったときの仕草が好きです。あなたの話を聞くとき相槌が大きくなりすぎるところが好きです。...」


それからも、好きなところを挙げながら喋る。

すると段々と、言葉の震えがなくなり、素直に喋ることができた。


「あなたのことが大好きだ

 あなたのことが好きだから、ずっと一緒にいたいし、あなたの好きなことも知りたい、例えば食べ物とか季節とか色々なことを知りたいんだ

そして、一緒に好きなものを共有して一緒に色々な経験したい

 だから、付き合ってください

お願いします」


女性は顔を照れながら答えた。


「はい、喜んで」


僕は、嬉しさのあまり涙が出てきた。その涙を腕で拭った。そんな僕をみながら彼女は微笑みながらハンカチを取り出して涙を拭う。そして言った。


「何泣いてるんですか」

「いや、嬉しさのあまりつい」

「あ、それと引越しの件なんですか...

父親が単身赴任をするんです」

「え?」

「いや、ですから父親が単身赴任する件を勘違いして引っ越すって言ったの!」

「え、じゃや引越しはしないの?」

「まあ、はい」

「よ、よかった~」

「お、怒らないですか?」

「このくらいで怒ったりしませんよ」

「そういえば、昨日の話の件どうなりました?」

「昨日の件?ごめんなさい、昨日は引越しをすると聞き混乱してその他の件は覚えていないんだ」

「では、引越しの件以外を言います

明日、私の家に来ないかと言いました」

「え?、なぜ?」

「私もあなたとお話をしていたら好きになりまして

でも、全然告白してくれないから家に連れ込んでお父さんに私の彼氏です

と紹介するつもりでした。」

「え?え!?そんなのきみが告白してくれればいいじゃないですか」

「普通に告白したら、断れるかもしれませんでしょ

だから、断れないようにお父さんに彼氏と紹介して逃げられないようにしたんです」


 僕は、とんでもない人を彼女にしたのかもしれないと思いながら、彼女に引っ張れながら彼女の家に行く。

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