2 馬鹿げた噂
「じゃあ2人とも、また明日〜」
「「おつかれさまでした」」
先輩と別れた後、俺と太一も帰る道が別々なので俺は太一にさよならを言って別れようとする。
しかし太一は別れ際にこんなことを言い出した。
「そうだ夕立、最近耳にする「噂」知ってるか?」
「噂…?」
「青いツノの生えたお化けが夕立の家の近くで出るって噂!」
「はぁー…(またその話か…)」
その噂は俺もよく知っていた
だが太一は、夕立のため息を気にせず話を続けた。
最近よく耳にする噂…。
草むらにツノの生えた化け物が現れる…だとか
そいつに会うと食われて死んでしまうだとか
地獄に連れいかれて二度と帰ってこれないだとか
「馬鹿馬鹿しい噂だな。」
噂が噂を読んでデタラメを言う奴がいるに違いない。
ツノ?
コスプレでもしている奴がいるんだろう
食われて死んでしまう?
近所でそんな物騒な事件なんて起こってない
地獄に連れていかれる?
そもそも行方不明になった人なんて近所にいない
どれも真実味にかけるタチの悪い噂だった。
「本当にいたらしいんだって!!ツノの生えたお化けが!!しかも、証言は1人じゃない、複数人いるんだぜ」
「はいはい」
「夕立お前信じてないだろ!後でおばけ襲われてもも助けに来てやらないからな!」
「分かった分かった、信じるよ」
俺がそう言うと太一は満足そうな顔をして「そんな訳だから気をつけて帰れよ!んじゃなー!」と言いながら元気よく帰っていった。
「おー…じゃあな」
対して俺は元気なく、とぼとぼと家に帰る。
何を隠そう…俺はお化けが大の苦手で…つまり、大嫌いだったからだ…。
もちろん信じてる訳じゃない、信じてる訳じゃないけど…、「もしかしたら存在するかも知れない」と思うと怖くて怖くて仕方なかった。
俺は帰り際に太一の言葉を思い出す。
『本当にいたらしいんだって!!ツノの生えたお化けが!!しかも、証言は1人じゃない、複数人いるんだぜ』
…そう、そうなのだ
クラスの十数人が俺に向かってこう言った。
「私昨日、青いツノの生えたおばけ見たよ!!すっごく怖かった…」
「あれって鬼って奴なのかな…こ、怖いなぁ」
「急いで逃げたんだよね…夕立くんの家の近くで見かけたから気をつけてね…」
きっとお化けが嫌いな俺をクラスメイトがビビらせようとしているに違いない。
だから全部、真っ赤な嘘だと思った。
だってこんな話、おとぎ話でしか聞いたことがなかったから。
そう、そうだ…おとぎ話と同じだ。
「むかし、むかし」なんて言ってるけど所詮は子供騙しの物語。
懐中時計を持った時計うさぎなんて存在しないし、子供だけのネバーランドに妖精なんて存在しない。昔話も伝説も童話も存在しない。
子供を楽しませるために作られた馬鹿らしい嘘の物語。
そう、思っていた。
思っ……ていた。
ザッッ…
ガサッ
「………は?」
目の前にいる
「青いツノの生えた鬼」に会うまでは。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます