0 手紙

赤鬼くんへ


 赤鬼くん!僕だよ、青鬼だよ!


 今日はミミィのお店に行く約束をしているんだ!

 ミミィがこの前、「新作の可愛い洋服たくさん揃えてるから今度遊びにきてねぇ〜〜〜〜☆」って誘ってくれたんだ!

 ミミィのデザインした服はどれもかわいくって面白くって素敵だから楽しみだなー!


 あとあとその後に、バグくんのお店の夢夢屋にも遊びに行こうと思ってるんだ。

 バグくんは滅多に外に出ようとしないから、お店に行かないと一緒に遊べないんだよね〜

 それで今日は、前にミミィのお店で買った面白いトランプを持っていこうと思ってるんだ!

 えへへ、すっごく面白いトランプだからバグくんがびっくりしてくれるといいな〜


 赤鬼くん!おとぎの国は本当にどこもかしこも楽しくって面白いものばかりなんだよ!!


 青鬼は今日の予定をつらつらと手紙に書いていく。とても楽しそうに赤鬼くんへの手紙を書いている青鬼だったかが、途中ペンが止まってしまい、青鬼は暗い顔立ちになる


「……。」


 そしてまた止めていたペンを走らせる手紙を書いた————暗い顔立ちのまま。


 青鬼は最後に「青鬼より」と手紙を書き終えるとポタポタと涙を流した。

 そして青鬼は、丁寧に書いた手紙をグシャリと握りしめ、居てもたってもいられず外の世界へ走り出す。



 バグくんにもらった時計を首にかけ、赤鬼くんのいる、人間の世界へと足を運んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る