赤鬼くんへ
丹鶴あやか
プロローグ
「おとぎ話」を知っているだろうか?
「不思議の国のアリス」「ピーターパン」「シンデレラ」あと————「泣いた赤鬼」
おとぎ話とは、子供に聞かせる「昔話」「伝説」「童話」などを意味する言葉で、「むかしむかし」なんて言ってるけど実際は昔にあった話じゃない。
『どれも子供騙しの真っ赤な嘘の物語』
そんな子供騙しの馬鹿馬鹿しい物語を信じるやつは、大馬鹿者だと俺は思っている。
時計を持った時計うさぎなんて存在しないし
子供だけのネバーランドだって存在しない
もちろんカボチャの馬車やガラスの靴を作ってくれる魔法使いも。
鬼だって、存在しない
全部子供を喜ばせるための嘘の物語
俺は、そう思っていた。
いた、のに…!
ザッッ…
ガサッ
「………は?」
しかし、今、俺の目の前には青いツノの生えた小年…「青鬼」がいた。
青鬼はゆっくり…ゆっくり…俺のいる方へ近づいてくる
「ハッ……!(は、ははは早く、早く、に、に、にに逃げないと…)」
恐怖のあまり体が固まって、身動きが取れない。
そんな俺に構わず青鬼は、どんどん、どんどん、近づいてくる。
(こ、殺される!!!!!!)
青鬼は夕立の肩を「ガッ!」と強く掴んできた。
俺はどうすることもできず目をギュッと瞑むりながらただただ叫んだ。
「う、うわああああああああああああ!?!!」
さよなら、母さん。
さよならばあちゃん。
ミルクも…さよなら。
もうニャーニャー鳴くお前にささみをあげてやれなくて、ごめんな。
そうして、家族の走馬灯のみたあと、俺の視界は真っ暗になった。
『これはとある昔話、夢見ぬ少年の物語』
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