第6話
「おはようっ!」
蝉の声をかき消すように。君は変わりのない笑顔でそこに立っていた。
「え?
「そ。見た目はこんなんにしてるけどロリじゃありませぇ〜んっ!残念だったねロ・リ・コ・ンっ!」
ピョンと塀から降りると持っていたペットボトルを綺麗にゴミ箱に投げ入れる。……コントロール力えぐ…。
「こんな見た目なのは小さい方が妖力消費量が少なくていいんだよねぇ。私別に妖力多くないしっ。多かったら年並みの身長にしてもいいんだけど。………って言ったってどうせ優的にはこっちのがいいでしょ?」
悪戯に笑う
「別に私のこと好きになってもいいんだよぉ?こんな異端な私は誰とも結婚できないだろうし。てかさせてくれないだろうし。人間なら許してくれるかも。あ…………でも、子供にも嫌な思いさせるのは、嫌だなぁ……。」
寂しそうに笑う
「てことでご馳走様ぁ〜。ジュース美味しかったぁ。」
………子供舌……。
「は?なんだと、ぉ?」
僕はコーヒーのペットボトルを振ってみせる。地団駄踏む彼女を横目に僕はペットボトルを捨てに行く。十七って流石に嘘だろ。
「フフフ……舐めてもらっちゃ困るねぇ……。」
「っ!?」
「だぁれだっ!」
急にしないでもらっていいですか…。心臓飛び出すかと思った……。。
「
「馬鹿にしたのはそっちでしょっ!妖力消費量を少なくするためだって言ったのに。」
僕はゆっくり後ずさりをする。僕より少しだけ小さい彼女が上目遣いで立っていたから。…………完全に人外…。
「あ、幼女の方が好きだった?年上は好みじゃないのかい?」
袖なしの真っ白のワンピース。降ろした黒の長髪。空のような目に、映える白い肌。……男子が好きそぉ…。僕も男だけど別にな……。
「つまんなぁい。せっかく優のために妖力使ったのにさぁ。ひどいよぉ…。」
蹲る
「ごめんね、そんなつもりはn」
「自分が泣かせたみたいで嫌って正直に言えばいいのに…。」
………ごめん。この感じすっごい楽でいいと思ってたわ。やっぱりうざい。無理。
「………じゃ、じゃあさ?泣き止むから、
わがままな…。
「………狐天さん。これでいいですか?」
「狐天じゃいや…。天って呼んで?優以外に呼んでくれる人、いないの。。」
………まあそりゃああなたは妖怪らしいですからね?呼んでくれる人なんているわけないのよ。
「優のバカァ!昨日はあんなに、あんなに…!」
「あぁわかったわかった…。天さん。これでいいでしょ。」
「天さんじゃ尼さんみたいで嫌ぁ!」
………何言ってんのかわかんないはずなのにわかる自分が怖い…。
「…………ほら、天。遊びに行くんでしょ。どこだっけ……えっと……」
「水族館っ!」
「あぁはいはい。ほら、ロリに戻って。行くよってえ?水族館?」
「そうっ!」
キラキラの目で見る腰ほどしかない彼女。………え?
「僕お金ないけど……。」
「えやだぁ。水族館っ!行こぉ!」
…………絶対十七歳は嘘だ……。
「水族館!水族館っ!水族館っ!」
「………せめて海にして…。」
折れる僕に君はニヤリと笑った。
「うわぁ〜海だぁ!」
「………なあ早く帰らない…?」
「今来たばっか!わざわざこんなところまで来たのにもう帰るの…?」
…………だって……。こんな人がいるなんて思わないじゃん…?確かに夏だけどさ…夏休みだけどさ…。。
「優はほんと人ごみ嫌いだねぇ。」
クスクス笑う
人って色々な人がいるじゃない。でもその人たちは何か一つでもその人たちなりのいいところがある。そんな気がする。だから何もない自分が嫌になって………。ってなんか最もらしい理由並べてみたけどただ人多いの無理…。集団恐怖症とか全くないけど……知らない人は特に怖い…。
「たく優はこれだから…。」
「一人見てればいいよっ!私は
「待っ……。」
人混みの中にさっさと消えていく背中。………一人の方が嫌……。僕は覚悟を決めて
「楽しいねっ!」
勝ち誇ったように笑う
「これだから陰キャはぁ。そんなんじゃ人生損ばっかだよ?」
楽しそうに笑う彼女に、僕も思わず笑顔が溢れてしまう。なんでなんだろう。………
でもそうかもな。気兼ねなくいれる。……気はする。
「……そういえばまた金髪だな。」
「優ったら大胆っ。」
「ばっ…!ち、ちが……。」
僕は両手を上げて下がる。
「別にいいよぉ。私は優のものだしぃ。………黒髪になるのはね、帽子が特殊だからだよ。別に妖力使っても黒髪にできるんだけど、私妖力多くないって言ったでしょ?だからっておばさんが作ってくれたの。人間界、日本に行くのなら黒髪の方がいいでしょって。金髪で日本顔だとチャラチャラしてる感じするじゃん。しかも六歳くらいって…。」
自分で言ったよ。自分で。
「なんていうか……魔道具みたいな感じだよね。あの帽子。黒髪にするだけだけど。」
「………便利なものもあるんだな…。」
そんな帽子現実にあったら髪染めた馬鹿が直すの面倒だって使ってそ…。
「そんなことよりほらっ!遊ぼ遊ぼっ!せっかく海に来たのに遊ばないなんて損じゃんっ!」
笑う
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます