第5話
「え…?もう一回言って?」
私はため息をつく。まあ人間にとったら理解しにくい話かもだけど……
「私は
「うんそれで?」
『そこはわかってきたんだけど…。その事情が難し過ぎて………。』
優ったら口に出さな過ぎ。ほんとコミュ症なんだから。
フフッと笑う私に優は不審がる。そ、そんなに変ですか…?あ、う……ま、まあ優は人間だし。私達の普通も知るはずがない。だ、だから、私が変なわけでは……。
「
「うん。」
ほら、やっぱり優は優しい。普通こんなわざわざ
「これは私が生まれるよりずっと前の、
『誤用ってなんだ…?』
「あ、五妖っていうのは五人ってことね。私達は「
「ふぅ〜ん…。」
『そういうことか…。確かに妖怪なのに人っておかしいもんな…。』
ほんと頭の中ではお喋りだなぁ〜。
「
『……ここがややこしいんだよ……「こ」しかねぇ……。』
「「こ」が多いのはね、妖怪は自分の種族を名前の始めに付けてるからだよ。ほら、私の名前、「
『………わかったけどわからんわ……。これ耳で理解するのは無理かもしれない…。』
私はクスッと笑う。そうならそうと言ってくれればいいのに。……やっぱり
「……何かいらない紙とかくれたら書くよ。」
「ほ、ほんとか?……これお願いします。」
すごく嬉しそうにするじゃん。それなら最初からこうしてあげればよかったなぁ…。
私は紙に種族とこの話に出てくる名前、そして私の名前を書く。
「これが私の名前。こう隠せば……
「ほんとだ…。」
「だから例えば……この
「へえ………。」
言われてみれば不思議だよね、種族を名前にって言っても
「で、この
私は紙に書いた名前を丸で囲む。……私が水色が嫌いな理由。
「それぞれ太陽と月を司っている
これが始まり。……私一妖で済むような簡単な話だったらよかったのになぁ…。
「性格もやんちゃな
『純潔……は必要…?』
「純血って、他の種族が混ざっていない血ね。
別に純血が偉いわけでも強いわけでもない。なんなら混血の方が平等に強くなる可能性が高いかも。ただ純血も必要なのは確かなの。突出した、その種族特有の能力を持つからね。ほら、例えば雪女とか。他の妖と混ざった子だと、吹雪だったり、凍らせたりっていうのはできる可能性がすごく低くなる。人間にとってはいらない能力かもだけど…。
「だから
『………これ、便利だな…。』
唐突な優に私は笑う。確かにこの能力は便利だと人間を見ていると私も思う。
「二妖の思惑通り同じように惹かれ合う者は現れた。今度は男女なのもあってきっと許してくれる。そう思って神に聞きに行った。……神は、二妖のことを許さなかった。それどころか
………神も意地悪だ。私でさえ、
「でも二種族は互いに互いを知りたくなってしまうのか、どうにかして抜け道を見つけ出そうとして……見つけた。見つけてしまったの。それが
『おうまがどき……?』
「昼と夜の移り変わる時刻のことだよ。それなら昼も夜も起きていられるでしょ?」
簡単に言えば夕方だね。
「そして出会って、惹かれあって………禁忌を犯したのが私の父と母。禁忌の末にできたのが私ってことね。」
「禁忌ってそれ、お、お前………。」
優が目を見開いて驚きを見せる。似たようなことずっと話してたんだけどやっと理解できたの?かわいいなぁ…。優と会う時、いつも優より背、低いからこうやって見下ろすの不思議な感じだし。フフッ。
あ、いいこと思いついた。もっと意地悪し〜ちゃおっと。
「大丈夫。神は私のことは許してくれたから。それに禁忌って言ったて神が怒るだけでそれほど大事じゃないんだよ。ただ……私はお父さんにはもう二度と会えないだろうけどねぇ〜。」
「え?そ、それって……『殺されたってこと…?』
その優の顔が面白い〜。いいですねぇ〜。ニマッと笑う私に優は私を白い目で見る。
「違う違う。お母さんもお父さんも種族の監視下に置かれてもう会うことできないってこと。私は幸いにも金狐だったから
…………今でも怖い。もし……私が
「でもほら、私の目って水色でしょ?個人差はあるんだけど、
「あ、そうだよ。雨。どうして倒れてたのさ。変なこと聞かされて忘れてた。」
「さっき
生きられないって言っても死ぬわけではない。ただ苦しいの。
一時期光が嫌になって真っ暗な部屋に閉じこもったことがある。でも苦しくてたまらなくて一時間ともたなかった。
私、わからないよ…。神は私の存在を許してくれた。でも、それでも。私が二妖の間から生まれたってことに変わりはなくて。お父さんなんて知らないのに、私は鏡を見るたびにお父さんの面影を見る。他にも
どうして………どうして、私の髪の毛は金髪なのかな?どうして私の目は水色なのかな?どうして銀髪じゃなかったのかな?どうして黄色じゃなかったのかな?どうして……どうしてっ……。
私の目に映る自分の手にそっと乗せられた温かいそれは、私の手を優しく包み込む。顔をあげて飛び込んでくる貴方の優しい顔に、何かが溢れてきてもうどうしようもなかった。涙が溢れてどうしようもなかった。
どうにかその涙を誤魔化したくて私は口を開く。
「神が許さないのは
誤魔化そうとしただけなのに。出てきたのは普段言わない泣き言。ただ、相手に迷惑かけるだけだから。私を快く思ってくれる妖はいないから。だから私は強く有ろうとした。誰の手も煩わせないように。誰の目にも止まらないように。それなのに………。
「優ぅ………っ。」
とっくに忘れてしまったと思っていた自分以外の温もりは、とても暖かくて…。私はまた貴方に救われてしまった。
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