第565話 トランペット

 吹奏楽部で一緒にトランペットを吹いていた彼女。


 僕は彼女に密かに恋心を抱いていた。


 しかし、想いは伝えられずに卒業。


 これからもう、会うことはないと思っていた。


 しかし、それから10年くらいたった頃。


 ふいに彼女から連絡が来る。


 ——結婚式で、トランペットを吹いてほしい。


 そんなことが書いてあった。


 何でも、あれからも吹奏楽を続けていて、結婚式でもそれにちなんだ演出がしたいそうだ。


 そこで、トランペットが僕よりうまい人に会ったことがないそうで、白羽の矢がたった……と言うことらしい。


 彼女が結婚してしまうのは、少し残念だけど。


 僕のことをそんなに認めてくれていて、そして10年たった今でも、連絡してくれるなんて、嬉しい。


 昔惚れた彼女のために、トランペットで送らなければ。

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