体重もブラもタンポンも大事

「……だから自分の体重の7%から8%の重さの銃を選ぶのがいいんだよ」


「そういうことなら先に言ってくださいよ」


 いきなり体重の話をされ、胸の事を話されたカリナンは口を尖らせてダイナに文句を言う。


「一番重要なことだからね。基準になる数値を教えて貰わないと話を進められない」


「他にもあるんですか?」


「あるよ。例えば背負うバックパックに詰め込める装備の重量だね。適正は体重の1/4 ぐらい。それを超えると運動能力が低下、歩くのが遅くなったり疲れやすくなる」


 特にバックパックの総重量が 1/3を超えると急激に身体能力は低下する。

 訓練すれば体重の1/3程度は 丸一日担げるようになるがそれでも身体能力は低下する。モンスターと戦う前に 装備の重量で潰されてしまったり、疲れ切っているところを攻撃されたりしたらとんでもないことになる。


「だから自分の体重と体力を把握しといてね。背負っている途中でもキツかったら早めに言って。優先度の低い装備から捨てる事も視野に入れておいて」


「は、はい分かりました」


 戸惑いながらもカリナンは返事をする。

 ダイナは納得してくれたことに安堵して話を続ける。


「ありがとう。それでもう一つ質問なんだけれど」


「何でしょう」


「カリナンはブラをしているの?}


「していますよっ!」


 顔を赤らめ、同級生よりはるかに大きい自分の胸を抱きしめてカリナンは叫ぶように言った。


「そのブラジャーどんなの? ワイヤー入ってる?」


「入っていますよ!」


 同級生より大きいため ワイヤーが入っていないと補正できないのだ。

 男子から性的な目で見られるため出来るだけ小さく見せかけたいのでブラは必須だ。


「そんなこと聞く必要があるんですか!」


 カリナンは顔を真っ赤にして抗議する。

 だがダイナは冷静に答える。


「安全のために 防弾チョッキを着てもらう」


「それと ブラジャーにどんな関係があるんですか」


「防弾チョッキは弾やナイフとかを止めることはできる。けど、その衝撃までは吸収することができない。チョッキの下に硬いものがあったら、そこに衝撃が集中して怪我することがあるんだ。ブラのワイヤーでもね」


「そんな事あるんですか?」


「実際受傷したのがいるよ」


 新門戦争の時アイリが負傷したことを思い出しながらダイナはしみじみと言う。

 モンスターにチョッキの上から殴られた。幸い、怪我はなかったが、衝撃が伝わりワイヤーに沿って打撲の跡が出来たときは驚いた。

 実際にあったことを思い出しながら言ったため説得力があり、ダイナの説明を聞いてカリナンは、身震いした。


「基本的に 防弾チョッキの下は硬いものを装備しないように。女性用の防弾チョッキもあるから探してね。ブラジャーは ワイヤーの入っていないスポブラタイプのものを頼むね」


「は 、はい」


 真剣な表情で香里奈は答えた。


「あれ? ってことはダイナさんは受傷した部分を見たことが……」


「他にも重要な装備を持っているか確認する」


 不味い展開になりそうなのでダイナは話題を変えるべく話を先へ進める。


「タンポンは持ってる?」


「そんなの持っていませんよっ!」


 カリナンはナプキン派だ。

 大事なところに入れる感覚が好みでないのでタンポンは敬遠している。


「それが重要な装備なんですか!」


「えぐれた傷口を素早く止血するのにタンポンがちょうどいいんだ」


 タンポンには止血剤も含まれているので出血があっという間に止まってくれる。


「それに深く入れることができるからね。深い傷には傷口に突っ込み傷口を押さえてくれるタンポンが一番良いんだ」


「……怪我するのが前提ですか」


「怪我で済むのと、死ぬの、どっちがいい? 怪我しても対処できるように準備しておいた方が良いよ」


「は、はい……」


 怪我したことを想像して、モンスターが撃ち抜かれた時の事をカリナンは思い出し自分もそうなったらと思うと怖くなる。


「タンポンが好みでないかもしれないけど購入しておいてね」


「はい」


「それとコンドームも忘れずに購入を」


 今度は叫ぶ前にカリナンはダイナに右ストレートを放った。




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