訓練された者の動き
「ローディング! 時間を稼いでくれ!」
「分かった!」
ダイナを援護してアイリが銃を構える。
「伏せて!」
襲われている人物――村上だがダイナ達は知らないに指示すると銃撃を始めた。
先ほどダイナの銃撃で後ろに倒されたゴブリンだが、起き上がってくる。
だが、その個体にアイリは銃撃を加えて起き上がれないようにする。
その間、ダイナはマガジンを交換する。
マガジン用のポケットを開き、マガジンの口に異常が無いかチラリと確認。念のため、息を吹きかけ逆さにして叩いてゴミを落とすと再び回転させ小銃に装填した。
「コンプリート!」
「ローディング!」
交換が終わり、ダイナはアイリと交代し前進する。
ダイナはヘルメットを付けていない。確かに安全だが、長時間付けていると重く疲労が蓄積する。
それにフリッツヘルメットはツバが付いていて耳を保護してくれるが、耳が覆われるため音が、モンスターの足音や息づかいが聞こえにくい。
だからダイナなど熟練兵の一部はヘルメットを被らない。
その代わりヘルメットなしでも行動出来る術を身につけている。
発砲の一瞬で通路が照らされ突起物の位置と足下を把握。
頭をぶつけないコースを思い浮かべスムーズに足を進ませ、ぶつかることなく前進する。
素早く駆け抜けたダイナは村上の元に近づくと吹き飛ばされたゴブリンに銃剣を突き立てる。
「おらっ!」
喉元を突き刺されたゴブリンは絶命した。
素早く銃剣を引き抜き、次のゴブリンを刺突する。
その間に一体が迫る。引き抜いたが突き刺す余裕はない。
「らあっ」
小銃を回転させ銃床でゴブリンを払いのけた。
だが動きが大きく、その隙に一体のゴブリンが駆け寄ってくる。
「たあっ」
だがマガジン交換を終えたアイリが甲高い声を上げて突撃してきて、銃剣で刺し殺す。
「サンキュ」
「なんの」
ダイナは礼をいうと、銃床で吹き飛ばしたゴブリンの前に立ち、ゴブリンの後ろが壁である事を確認すると引き金を引いて、ゴブリンを射殺した。
周辺を確認して、ゴブリンが動かないか確かめる。
「クリア!」
「クリア!」
ダブルチェックで確認したアイリも叫ぶ。
「横穴か」
更に、ゴブリンが通ってきた穴を見つけた。
「ピートで塞ぐ」
ダイナは宣言するとグレネード用のポーチから、白燐手榴弾を取り出し、横穴に放り投げた。
爆発し、内容物の白燐が勢いよく燃える。
激しい炎の壁ができあがり、これで暫くはゴブリンは通れない。
後方から奇襲される可能性を排除した。
「彼らはあそこね」
襲われる心配が無くなり、前方の様子を確認する。
「たっ助けてくれ!」
騎士のような集団が迫り山本達は悲鳴を上げている。
「リビングアーマーか」
生きている鎧に襲われている彼らを見つけてダイナは呟いた。
盾の隙間からクロスボウがダイナを狙い放たれる。
だが、ダイナは自ら矢に向かって動き防弾ベストに上手く当てて、怪我を防いだ。
「伏せていろ! グレネードを使う!」
一か八かだが、ダイナはグレネードの引き金に指をかけ、放った。
発射された40ミリ擲弾はリビングアーマーの集団の間をすり抜け、最後尾に命中。爆発した。
爆風でリビングアーマーの集団はよろめき、隙が出来た。
「ビンゴ!」
リビングアーマーの陣形が崩れた。
盾で隠されていた関節部が見えてダイナはそこへ銃撃を浴びせる。
足の付け根、腰部分を狙い、リビングアーマーを仕留める、出来なくても歩行不能にする。
だが、リビングアーマーもやられっぱなしではない。
「立て直しが早い」
グレネードによる、よろめきから回復し、仲間が欠けた部分を残りのリビングアーマーが埋めて陣形を再編し、再び防御を取り戻した。
「手榴弾を使う! 援護して」
「分かった!」
代わってアイリが前に出てリビングアーマーを銃撃する。
ダイナはポーチから手榴弾を取り出すとピンを外してバーを開放する。
ハンマーが点火薬を叩き導火線に引火。シューッと音を出す。
「一っ」
だがダイナは、すぐには投げなかった。
「二っ」
二つ数えたところでようやく後ろに振りかぶり。
「三っ」
と言ってリビングアーマーに投げつける。
盾の間を手榴弾はすり抜けた。
リビングアーマーの一体が手を上げて投げつけられた手榴弾を受け止め投げ返そうとした。
「四っ」
ダイナが数えた直後、手榴弾が爆発した。
安全の為に投擲用の手榴弾信管は点火してから四秒後に爆発するよう設定されている。遠投では十分な長さだが、接近戦だと投げ返される恐れがある。
なので、投げ返されないよう距離に応じて点火してから数え、目標に到達したとき丁度爆発するように投げることをダイナ達は行っていた。
「ビンゴ!」
陣形が崩れたのを見てダイナは銃撃する。
今度は陣形の真ん中が崩れたため、リビングアーマーも立て直せず、交互に銃撃を浴びせるダイナとアイリの前に床に崩れていった。
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