攻略後の後始末
「出来たよ」
焼き上がったステーキを見せる。
隅に良い色合いの焦げ目が出来ており、口に広がる旨味を想像させ食欲をそそる。
マチェットで切り分けると、中のピンク色の赤身が血を滴らせながら出てくる。
個人装備のプレートを出させ、その上にステーキ肉を振る舞う。
「いただきます」
とりわけ終わるとダイナは、いただきます、を言ってかぶりついた。
「旨い」
自分の焼き具合の良さに満足した。
外側をこんがり焼いて旨味を閉じ込め、中をじっくり温めて旨味を凝縮する。
色々とタレを作りはしたが、塩胡椒で食べるのが一番旨い。
噛んだ瞬間、口の中に広がる肉の旨味を純粋に楽しめる。
牛よりも旨く柔らかい。少し固いが、かみ応えが良く味を更に良くしてくれる。
美味そうに食べるダイナを見て、フォースリーコンの連中も喉を鳴らし、食べ始める。
「My God!」
「Great!」
「It tastes good!」
隊員達も一口食べると歓喜の声を上げて、かぶりつく。
緊張で空腹だったこともありより美味しく感じているようだ。
次々とかぶりつき、お代わりまで要求してくる。
自分達でも焼いてみていたが、ダイナほど上手くは焼けなかった。
「おい、どうやって作ったんだ」
「何回もやっていたら上手になるよ」
「ドラゴンを何匹も相手にしたのか」
「二、三匹ね」
戦争時代にドラゴンとやり合った事を思い出しながら言う。
「流石ドラゴンスレイヤーだな。肉の焼き方まで知っている」
上機嫌になったフォースリーコン達に言われるとこそばゆい
「なに、上手い焼き方くらいならいくらでも練習できる。肉は大量にあるんだ。何度でもチャレンジしてみなよ」
腹が満たされたことで落ち着きを取り戻し、和やかに話は進んだ。
すじ肉を細かく刻んでジップロックに入れて背嚢の奥へ入れた後、ダイナはフォースリーコンの隊長と今後の事を話した。
彼らはドラゴンの所有を主張しフォースリーコンが残ることにして、ダイナとアイリが隊員二名を連れてダンジョンの外へ増援を要請することになった。
ダンジョンコアを破壊してもモンスターの残りが巡回しているかもしれない。
ドラゴンほどのモンスターはいないだろうが竜牙兵相手だと大人数の方が守りやすい。
だからフォースリーコンが残ることにした。
多分ダンジョンコアを大成達が持つのだから、せめてドラゴンは自分達の手で確保したいのだろう。
コアの方が割が良いのでダイナは彼らの要望を認めた。
他にモンスターはいるだろうがコアを抜いたはスケルトンや竜牙兵程度でドラゴンなどはいないだろう。
今の彼らでも、十分対処出来ると判断し、ダイナとアイリは連絡役の隊員二人と共に。
幸い帰り道はスケルトンに出会っただけで簡単に排除し、外に出る事が出来た。
手早くスケルトンや竜牙兵を片付けるダイナとアイリに、付いてきた二人は驚きの表情で見ていた。
外に出ると、彼らは無線で簡単に状況を説明し迎えを要請。既に待機していたらしく自衛隊のヘリがやってきた。
ダンジョン内の処理を行う為の部隊を乗せたヘリもやってきてそばに降りて行き、隊員達がダンジョン内へ向かっていく。
ほぼ同時に海兵隊のヘリもやってきて、同数の兵隊を降ろしていく。
アメリカはこのダンジョンを確保するつもりのようだ。
自衛隊と海兵隊の指揮官らしい制服も降りてきて今回の事態について互いに何か話している。
だが、依頼を終えたダイナには最早関係の無いことだ。
迎えのヘリに早々に乗り込み、現場を後にした。
「やれやれ、終わった」
ヘリの中で椅子に座った直後、ダイナは安堵の一息を吐く。
だが、心は安まらなかった。
アイリが行きと同じようにカーテンで仕切ると着替えを始めたからだ。
ただ行きと違って、立てている音が荒立たしい。
嫌な雰囲気が流れたダイナも、そそくさと着替えを始める。
降りたらすぐに、帰れるように。
「待って」
だがヘリが新門市に着いた直後、呼び止められてしまった。
逃げ出すタイミングを逸したダイナはアイリに手を引かれ基地の外の人気の無い場所に連れて行かれた。
そして睨み付けるように向き合うとアイリはダイナに言った。
「何であんな無茶をしたの」
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