第126話 彼女の家へ
そして、そんな綾香の言葉を聞いた一輝は少し考えてから、
「えっと、それなら僕は綾香さんの手料理を食べたいです、店の料理よりも綾香さんの手料理の方が美味しいですから」
一輝が笑顔を浮かべてそう答えると。
「もう、さすがにそれは言い過ぎですよ、でも一輝くん本当にいいのですか? 料理をするのなら今から私の家に行くことになるので昼ご飯を食べるのは大分遅くなってしまいますよ」
綾香は照れ臭そうな笑みを浮かべた後、少しだけ心配した様子でそう言ったので。
「別に良いですよ、確かにさっきまでプールで遊んでいたのでお腹は減っていますが、空腹な分、綾香さんの美味しい手料理をいつも以上に美味しく食べられると思うので僕は今からとても楽しみです」
一輝は笑顔を浮かべてそう言った。すると、その言葉を聞いた綾香は、
「もう、そんな嬉しそうな表情で言われたら断れないじゃないですか……分かりました、一輝くんがそこまで楽しみにしてくれるのなら私の家でお昼ご飯を作って上げます」
根負けした様子で一輝に向けてそう言ったので。
「ありがとうございます、綾香さん!! 今から凄く楽しみです!!」
一輝は嬉しそうな笑顔を浮かべてそう言ったので。
「もう、大袈裟ですよ、一輝くん、でもそんなに楽しみにしてくれるのなら早く私の家に行きましょう!! 一輝くんもお腹が空いているでしょうし、私の家で早くお昼ご飯を作って上げます!!」
綾香も笑顔を浮かべてそう言うと、綾香は一輝の手を握って駆け足で切符売り場へと向かって行った。
その後、二人は電車に十数分間揺られて最寄りの駅まで戻って来ると。
自分たちの自転車に乗ってから数十分掛けて二人は綾香の家に辿り着いた。
そして、二人は綾香の家の車庫に自分たちの自転車を泊めたのだが。
「……あれ?」
車庫に自転車を置いた後、一輝がそう言ったので。
「一輝くん、どうかしましたか?」
綾香がそう声を掛けると。
「いえ、前に綾香さんの家に来た時にはあった高そうな車が無かったので、それがちょっと気になったんです」
車庫の中を見て一輝がそう言うと、綾香は一瞬黙った後。
「多分ですが私のお父さんがお母さんと一緒に買い物にでも行ってるんだと思います、前も話した気がしますが私の両親は今でも時々デートをするくらい仲が良いので」
綾香がそんな事を言ったので、その言葉を聞いた一輝は一瞬黙った後。
「えっ、それはつまり今日この家では僕と綾香さんの二人きりになるという事ですか?」
一輝は少しだけ緊張した様子でそう言ったのだが、そんな一輝の様子を見た綾香はどこか可笑しそうに微笑むと。
「もう一輝くん緊張しすぎですよ、今までだって私と二人きりになった事は何度かありましたし、それにお父さんたちも直ぐに帰って来ると思います」
綾香はそんな事を言ったので。
「まあ、それもそうですね、それに多分コタロウも居るでしょうから、料理を待っている間、僕は彼の面倒を見ておく事にします」
一輝がそう答えると、綾香は嬉しそうに微笑んで。
「ええ、もしコタロウが一輝くんに甘えてきたらその時はお願いします」
綾香はそう言うと車庫を出て自宅の玄関へと向かって広い庭の中を歩き始めたので、数歩遅れて一輝は綾香の背中を追いかけた。
そして、綾香は自宅の玄関に辿り着くとスポーツバッグの中から自宅の鍵を取り出して、家のドアの鍵を開けて玄関の扉を開くと。
「さあ一輝くん家の中へどうぞ」
綾香は一輝に向けてそう言ったので。
「ええ、失礼します」
一輝はそう答えると、彼女の家の中に入った。
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