第106話 一輝は決して彼女に勝てない

 そして、そんな綾香の問いかけに対して一輝は、


「そんなの言えるはずないじゃないですか!!」


 かなり慌てた様子でそう言った。すると、


「むー、そんな事を言わずに正直に答えて下さい!!」


 今回は簡単には譲らず綾香は改めてそう言ったのだが。


「すみません綾香さん、その質問にはどうしても答える訳にはいきません!!」


 一輝も譲らずきっぱりとそう言い返した。すると、


「何故ですか? いつもは私のどんな質問にも正直に答えてくれるのに」


 綾香はそんな事を聞いて来たので。


「何故と言われても困りますが……すみません綾香さん、他の質問になら答えるつもりはありますが、その質問にだけはどうしても答える訳にはいきません」


 一輝は改めてそう言った。すると、


「……そうですか」


 綾香は少しだけ残念そうな口調でそう言った。


 そして、一輝はその言葉を聞いて綾香には申し訳ない事をしてしまったと思いつつも、これで自分の下心が知られなくて済んだと心の中で一息ついていると。


「それなら一輝くん、私から一つ提案があるのですが」


 綾香がそんな事を言ったので。


「提案ですか?」


 一輝がそう聞き返すと。


「ええ、そうです、もし一輝くんが私の質問に正直に答えてくれたら、私の水着写真を一輝くんに送って上げますがそれならどうですか?」


 綾香がそんな案を口にすると。


「すみません綾香さん、今二人きりになったら僕は間違いなく綾香さんを襲ってしまうと思います!!」


 一輝は一瞬でそう自白した。すると、


「……もう、一輝くんは相変わらずエッチなんですね」


 綾香は少し呆れた様な、しかしその中にほんの少しだけ嬉しさを混ぜたような照れくさそうな笑みを浮かべながらそう言ったので。


「仕方が無いじゃないですか、付き合い始めたばかりの時も同じような事を言われた気がしましたが、綾香さんにそんな嬉しい案を言われたら断れないんです」


 一輝は正直にそう答えた。すると、


「そうですか、それは良い事を聞きました」


 綾香はそう答えた。そして、


「でも、一輝くんに襲われるのなら、この水着を着てプールデートに行く訳にはいきませんね、直ぐに着替えてまた別の水着を探します」


 綾香はそう言うと静かにカーテンを閉めた。






 その後も綾香は何着か水着を試着していたのだが、あまり派手な水着だと一輝の理性が持たないから辞めてくれと言って。


 肌の露出の少ない地味な水着だと綾香が嫌がったので中々綾香の水着は決まらなかったのだが。


 最終的に何とか二人が納得できる水着を見つけて、今日の水着選びのデートは終わりを迎えた。

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