第105話 彼女の水着姿
その後、綾香は一着の水着を手に取ると、その水着を持って一輝の手を引きながら試着室へと向かって行った。
そして、綾香が試着室の中に入りカーテンを閉めて着替えている間、一輝は試着室の前で静かに待っていると。
「一輝くん、お待たせしました」
綾香はそう言うと、静かにカーテンを開けた。そして、
「……あの、一輝くん、どうですか?」
綾香は恥ずかしいのか、自分の胸元に手を当てながら一輝に向けてそう質問をして来た。
しかし、そんな綾香の姿を観て一輝は直ぐに返事をする事は出来なかった。
今の綾香はシンプルな黒色のビキニを着ているのだが、そのせいで普段は服に包まれているかなりスタイルのいい彼女の肌が露出していて。
一輝は少しの間、そんな綾香の姿に見惚れていた。すると、
「……あの、一輝くん」
「えっ、あっ、はい!! 何ですか!?」
綾香にそう声を掛けられて、一輝がそう返事をすると。
「その、出来ればこの水着の感想を教えてもらえると私としては嬉しいのですが……」
綾香は遠慮がちにそう言うと。
「えっ、あっ、はい!! その、とてもエロくて良いと思います!!」
一輝は慌てていた事もあって、特に何も考えず思った事をそのまま口にした。すると、
「え……エロいって、一輝くん、いきなり何を言っているんですか!!」
その言葉を聞いた綾香は、恥ずかしいのかそれとも少しだけ怒っているのか、頬を真っ赤に染めながらそう言ったので。
「あっ!? その……すみません綾香さん、綾香さんに見惚れていたのでつい本音が漏れてしまいました!!」
一輝は慌ててそう言ったのだが。
「本音って……一輝くんはいつも私をそういう目で見ていたんですか?」
綾香にそう質問をされ、一輝は更に自分を追い込むことになってしまった。なので、
「あっ、いえ、僕はいつもそういう目で綾香さんの事を見ている訳ではありません、ただ」
「ただ、何ですか?」
「……その、綾香さんはただでさえ魅力的なのに、その上水着なんて着たらそういう目で見るなっていう方が無理です!!」
一輝が少し早口でそう言うと。
「……それはつまり、一輝くんがそんな感情を持ってしまうのは私のせいだという事ですか?」
綾香はそう質問をして来たので、一輝は一瞬言葉を詰まらせたが。
「ええ、そうです、僕の理性が弱いのも原因の一つですが、それ以上に綾香さんの水着姿が魅力的すぎるのが一番の原因です!!」
結局上手い言い訳が見つからず、最終的に一輝はそう言って綾香の言葉を受け入れた。すると、
「……そうですか」
そう言って、綾香は数秒間その場で黙ってしまった。なので、一輝はさすがに不味い事を言ってしまったのかと、その場で頭を悩ませていると。
「一輝くん、一つ質問をしても良いですか?」
綾香はそんな事を聞いて来たので。
「質問ですか? ええ、良いですよ、何ですか?」
一輝がそう答えると。
「今は店内なので他の人も大勢いますが、もし今この場に居るのが私と一輝くんの二人だけだったら、一輝くんは私の事を襲ったりするのですか?」
綾香はそんなとんでもない質問を一輝に投げかけて来た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます