第104話 綾香の提案
その後も綾香は何着か水着を手に取って、一輝にその水着を見せて来たのだが、
「うーん、出来ればもっと地味な格好にして下さい」
その度に一輝はそう言って、なるべく派手な水着を選ばせない様にしていたので、綾香は中々水着を決める事が出来ず、暫く店内を見て周っていた。
しかし、その後も綾香が選んだ水着を見た一輝は派手過ぎるからもっと地味なモノにして欲しいと何度か言っていたのだが……
「もう、一輝くん、このままじゃあ何時まで経っても私の水着は決まりませんよ」
流石の綾香も何度もこのやり取りを繰り返して少し参ったのか、そんな風な事を言ったので。
「すみません、綾香さん、でも、綾香さんはとても綺麗で可愛いのにそんな綾香さんが素敵な水着を着てしまったら、本当に目立ってしまって軽い男からナンパされてしまうと思うと僕はとても心配なんです」
一輝は改めてそう言った。すると、
「一輝くんのその気持ちはよく分かりましたし、私の事を心配してくれるのはとても嬉しいのですが、それだと何時まで経っても私の水着は決まりそうにありませんね……あっ、そうです」
綾香はそう言うと、一輝の顔を見上げると。
「それなら一輝くん、夏休みのプールデートは私と一輝くんが二人きりになれる場所でしませんか?」
綾香は唐突にそんな提案をして来た。 そして、そんな綾香の提案を聞いた一輝は、
「えっ、そんな事が可能なんですか?」
綾香に向けてそう質問をすると。
「ええ、普通は難しいと思いますが、私のお父さんに頼めば何とかなると思います!!」
綾香はそんな事を言った。なので、一輝は少しだけ考えてから。
「えっと、本当にそんな事が可能ならお願いしても良いですか?」
一輝はそう言うと。
「ええ、勿論です!!」
綾香は嬉しそうな笑顔を浮かべてそう言った。
そして、その笑顔を見た一輝は本当にそんな事が可能なのかは分からないが、彼女が嬉しそうだから別に良いなと、そう思っていたのだが。
「それなら一輝くん、私はもっと派手な水着を選んでも良いですよね!!」
「……えっ」
綾香にそう言われ、一輝が驚いた様子でそう言った。すると、
「だってそうですよね、一輝くんは他の男の人に私の水着姿を観られるのが嫌だから、派手な水着を着るのが嫌だと思ったんですよね?」
綾香がそう言ったので。
「まあ、そうですね」
一輝がそう答えると。
「それなら、私と一輝くんが二人きりでプールに行くのなら他の人に私の水着姿を観られる事はないので、私が派手な水着を着ても何の問題もないですよね?」
綾香は一輝の目を見てそう言ったので。
「……ええ、そうですね」
一輝が苦しそうにそう答えると。
「そうですよね、それなら一輝くん、今からは他の人の存在は気にせず、一輝くんが好きな水着を選んで下さいね!!」
綾香は嬉しそうにそう言うと、一輝の手を引っ張って嬉しそうに水着を探し始めた。
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