第79話 二人で昼寝
そして、そんな綾香の提案を聞いた一輝は、
「えっと、綾香さん、一緒に昼寝をするという事はもしかして、僕のベッドで僕と綾香さんの二人で昼寝をしようという事ですか?」
恐る恐るといった様子で、一輝がそう質問をすると。
「ええ、そうです」
綾香は笑顔を浮かべてそう言ったので。
「えっと、綾香さん、さすがにそれは不味くないですか?」
一輝がそう答えると。
「えっ、何がですか?」
綾香は何の事か分からないといった様子でそう言ったので。
「えっと、だって、僕たちは恋人同士でお互いにいい年齢なのですから、同じベッドで昼寝をしようとしたら、もしかしたら間違いが起こるかもしれないじゃないですか」
一輝が遠慮がちにそう言うと。
「間違いですか? よく分かりませんが、一体なんのことでしょうか?」
綾香はそんな事を言ったので。
「えっと、それは……」
一輝がそんな風に言い淀んでいると。
「……もう、一輝くん、そんなに慌てないで下さい、一輝くんが何を思っているのかは、何となく想像は付いていますよ」
綾香はそんな事を言ったので。
「そうですか、でもそれなら、僕が何を心配しているのか綾香さんも分かってくれるのではないですか?」
一輝がそう言った。すると、
「そうですね、確かに一輝くんがそんな風に心配をする理由もよく分かります、今この家には私と一輝くんしかいないので、間違いが起こる可能性もないとは言えません、でも、私は一輝くんの事を信頼しているので、一緒にベッドで昼寝をしても一輝くんから大丈夫だと思っているのですが、私の考えは間違っていますか?」
綾香はそう言った。そして、その言葉を聞いた一輝は少しだけ考えてから。
「いえ、間違っていません、確かに今は二人きりだし綾香さんはとても可愛いので、僕としては色々と我慢することになりそうですが、それでも僕は大丈夫です、綾香さんは今の僕にとって世界で一番大切な存在なので、綾香さんが望まないのなら、僕は決してそういう事はしません!!」
綾香の目を見てしっかりと、一輝はそう答えた。すると、
「一輝くん、ありがとうございます、それとすみません、一輝くんと何時かはそういう事をすることになると分かってはいるのですが、今日はそういったつもりは全くなかったので、そういう事は、またの機会にして欲しいです」
綾香は頬を赤く染めながらそう言ったので。
「……ええ、勿論です、僕も今日は家に両親が居ると思って綾香さんを呼んだので、そんなつもりはありませんでした。だから、そんなに心配しなくても大丈夫ですよ」
一輝がそう言うと。
「一輝くん、ありがとうございます、えっと、それなら一輝くん、今から一緒にお昼寝をしましょう」
綾香はそう言ったので。
「……ええ、分かりました」
一呼吸置いて一輝は決意を固めてそう言った。すると、
「ありがとうございます、一輝くん、それでは早速お昼寝をしましょう!!」
一輝は嬉しそうな表情を浮かべて再度そう言った。
そして、そんな彼女の自分のことを無邪気に信じてくれている彼女の笑顔を観た一輝は、絶対に彼女を裏切らないために、今日は何があっても綾香に手を出さないと心の中で誓ったのだった。そして……
「えっと……それじゃあ一輝くん、失礼しますね」
綾香は遠慮がちにそう言うと、何時も一輝が寝ているベッドにゆっくりと横になった。そして、
「えっと、一輝くんも来てください」
一輝のベッドに寝ころんだまま、綾香は少しだけ頬を赤くしながらそう言ったので。
「……ええ、分かりました」
そんな綾香の姿を観て一輝は、一瞬邪な気持ちを抱きそうになるも、それを何とか抑えてゆっくりと自分のベッドに横になった。しかし、
「えっと、一輝くん、どうして上を向いているのですか? 私の方を観て下さい」
綾香がそんな風に不満を言ったので。
「……ええ、分かりました」
一輝はそう言うと、ゆっくりと自分の隣に寝ころんでいる綾香の姿を観た。すると、
「……」
「一輝くん、どうかしましたか?」
綾香の顔を観た一輝が数秒間黙っていたので、綾香がそう聞きて来た。なので、
「あっ、いえ、そのすみません、ただ、寝転んでいる綾香さんが可愛すぎて、少しの間言葉を失っていましました。
一輝は正直にそう答えた。すると、
「もう、何を言っているのですか、私はただ寝転んでいるだけなのに、そんなに見た目が変わる訳がないじゃないですか」
綾香はそう言ったので。
「いえ、そんなことはありません!! 何と言いますか、今の綾香さんは普段よりもとても無防備と言いますか、いつも以上に自然体な気がして、今の綾香さんは本当に今まで観た中でも一番可愛いです!!」
一輝は正直に自分の思いを口にした。すると、
「……そうですか、えっと、ありがとうございます、一輝くん」
その言葉を聞いた綾香は、一輝の熱烈な言葉に少しだけ戸惑いつつも、頬を赤らめて嬉しそうな笑みを浮かべてそう言った。そして、
「今から綾香さんにキスをしてもいいです?」
その姿を観た一輝は、無意識にそんな言葉を口にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます