ゴミ袋

蒼野 翠莉

「ゴミ袋」

短編ホラー 〈ゴミ袋〉


俺は殺人強盗を何度も繰り返して生活している人間だ。悪いとは思うが、生きる為には仕方ないよな。女も子供も関係ない。これまで4、5人くらいを殺して身体をばらばらにした上で金品を奪い、痕跡を残さず処分した。完璧だろう?

そんな俺でも困ることがあって、ある日から突然うちの前には毎朝ゴミ袋が捨てられる。

誰が捨てているのかは分からないが、黒いゴミ袋に白いマジックで中身が書かれている。

イタズラなんだろうが、流石にイラつきが止まらない、なんでわざわざ毎朝うちの前に。どこのどいつなんだよ。

はぁ、今日はどんなゴミなのだろうか。

あれ、俺の名前が書いてある…?

不意に数人から強く首が締められる感覚を覚えたまま意識を失うと、次に俺が目を覚ました時は真っ暗だった。それどころか、手足の感覚がない。いや、正確には視線以外を動かすことが出来ないのだ。

ふいに、外から聞き覚えのある数人の若い女や子供達の声が聞こえてきた。

「この燃えるゴミも焼却処分でお願いします」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ゴミ袋 蒼野 翠莉 @aigyokusui

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ