第45話 心配性の父は奔放な乳に気が気ではない
急に大掃除が始まってしまった。
あるよね、こういう事。私はガスレンジ磨いてる。
「
ってお風呂場の方から優が言ってくるから、
「うん、刑事さんがいる間、ずっと出たよ、梁の上からずっと見てた。
って私は答える。
今、優はお風呂を洗ってくれてる。
あ、一応、うちのお風呂、ユニットバスだから。まあまあ広めの。
こんな家だから、竈門でフーフーというお風呂を想像しそうだけど、何年か前、ユニットバスを取り付けたのね、これも国の補助金からできてる。
だから最高級品ってわけにいかなくて、中の中くらいのグレード。
それでも、最近のユニットバスってよくできていて、かなり快適に使ってる。
そして、たまに優も入る。翔がシャワーを勝手に使ってることもあるし、たまに美子ちゃんも入ってる。
「なあ、それって結構ヤバかったんじゃないのか?」
って優が聞いてくるけど、
私は流しで、ボウルを洗いながら、
「ううん、木助さんは、そうでもない時だよ、やばい時って、魚の家さんだよ、匂いがある人」
と叫ぶ、距離があるから、優の声みたいに通るかどうかわからないけど、答えてみる。
で、この話って、多分、気のせいだと思うけど、きっとこの家に取り憑いてる幽霊の話ね、本当に気のせいだと思うけど。
この家って古い家屋で、特に玄関とか今いる台所、二階の物置、今、優がいるユニットバスが置いてある、大浴室って、天井がないから、木組の梁が普通に見えるのよね。
で、そこに、きっと光の加減だんだけど、たまに、武者な人影が現れる時があるのよ。おおむね気のせいだとは思うのだけれども。
こういうの一度気になってしまうと、けっこうしつこく目撃できちゃって、その中でも
最近、分類されてきてるのが、どうでもいい大したことのない事件や事故にあらわれるのが、槍を持った木助さんなのね。他にも数人いて、本当にヤバいって状況では、
だから、あの刑事さんが来た時もそんなに警戒はしていなかった。人もよさそうだったし。
すると、優が、
「落ち込んでいる時は誰だっけ?」
って聞いてくるから、
「
って答えてあげた。
あくまで天井の木組、梁や柱にできる影の話なのよね。
「じゃあさ、鼻の長い天狗みたいな影はなんだ?」
って聞いてくるから、
「ああ、エロ天狗ね…‥」
って答えてから、
「今、優ってどんなカッコしてるの?」
って聞いたら、
「水かぶっちまったから、上を脱いだよ」
「ブラも?」
「うん、外して掛けてある」
ちょっと想像してみた。
そして、
「じゃあ、オッパオ丸出し?」
「ああ、丸出しだ」
ああ、天狗喜んでるわ。
「覗かれてるよ、早くブラつけたほうが良いって」
って忠告してあげると、
「どうせ幽霊みたいなもんだろ? 害はなさそうじゃん」
なんて、女子ともありえないことを言い出すので、
「一樹帰ってくるよ」
って言ったら、急にバタバタと動き回り始める優。
「うわ、だめだ、まだ濡れてる、家に電話して、ブラ持ってきてもらうわ」
って言って、「あ、ちょっと待って」って私が言う間もなく、電話をかけてしまう優。
そして、
「あ、親父か? 誰でもいいからさ、ブラジャーを一花の家まで持ってきてくれ、覗いてくるやつがいるんだ」
って言って、おそらく一方的に電話を切ってしまう優。
あちゃー
って思ってると、僅かな時間後、すごい勢いで家の前に車が止まる。急停止する。
そして、いつもは運転手がいるから後部座席から、のんびり降りてくる優のパパななけど、運転席から飛び出て、家に突入してくる。
まあ、あんな電話もらったらそうだろうね。娘のおっぱいを守る為に必死だよね。
ドタバタと、それでにしっかり靴を脱いで、勝手に上がって、
「優ちゃん!!! 優ちゃんはどこだ???」
って探し回ってる。いや、なんで二階の寝室に上がってる?
で、
「なんだ、親父が直接持ってきてくれたのか?」
ってのんびりした声で、肉親といえど父は男なので、放り出てる乳を見せるわけにもいかず、って、普通に出してるよ、優。すごい奴だ。隠さないんだ。
娘の顔と声を聴いて、迷走する父は娘のもとへ降りてきて、一瞬、愛娘の乳をガン見したのちに、ちょっと照れた顔になって、目を背ける。
「ゆ、優ちゃん!、人様の家でなんて恰好してるんだ」
優父は、乳を放り出してる娘に注意を促してる。
「え? いいじゃん、風呂洗ってたんだよ、誰もがびしょ濡れになるだろ?」
え? ならないよ、そんなにダイナミックに風呂を洗って自ら水をかぶるのって家では優だけだよ。
もちろん声には出さない。優ってそういうところで傷つくから、言葉にはしないから否定もしない。
優は廊下まで乳を放りだしたまま廊下に出って来る。
いやあ、綺麗な乳だわ。アンダーからのスッと引き締まったお腹回りも美しい。
本当に綺麗な優ね。
って、まあ、同性である私、肉親である父に見られて、羞恥心なんて微塵もない優なんだけどさ、
「ただいま」
って一樹と、それに遅れて美子ちゃんが玄関から入ってきた瞬間に、
「きゃあああ!」
って女の子みたいな……………、優は女の子だったわ。
「一樹! 急に帰ってくんなよ!」
とか理不尽な事を言われてた。
でも、今のタイミングなら、優の背中しか見えてない筈、さすが優良ボクサー、反射神経が違う。
「ゴメン、わるかったよ」
って一樹はあやまるんだよね。うちの旦那は女子が怒ってると対象が自分であると謝ってしまうんだよね。
悪くないのにね。
こんな一樹の行動には私にも原因の一端はあるって自覚はしてる。
「見たか?!」
ってユニットバスに隠れて優が聞くと、
「大丈夫、優の背中しか見えてないよ」
「そっか……」
ああ、優、ちょっと複雑だ。
結局最後は、乳を放りだしてる娘に、乳はなんとかブラをするように説得してた。
やっぱり、嫁入り前の娘の乳は、父としては心配するんだね。
一樹、優父ににらまれてるし。
ちょっとかわいそう。
今夜は私の乳でも見せてやるか? なんて、フォローにもならないフォローを考えちゃった。
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