第23話 『プロポーズされてません♡』

23.



 「ほぼ毎日のようにメールで話したり、一緒に出掛けてもらって

そういうのが毎日の生きるエネルギーになってたんだなって。

 しんどい仕事も乗り越えられたんだなー、って。

 高橋さんには感謝してます」



 えっ、何言い出すの?

 これからはもうそういうのなしで? とか?

 さっ、、寂しい話になっちゃうの? 悲しいー。


 「まだ、周りには内緒なんですけど、俺4月になったら転勤

するみたいです」


 えっ、うそっ!

 急すぎるぅ~。(泣)

 心が付いていかない。


 「昇級とか? 」


 「うん、それも」


 「おめでとうございます。

 ・・・でも・・・

 寂しぃ、、くなります。会えなくなっちゃうんですね」


 「寂しいってほんとですか? ほんとにそう・・」


 彼女のほうを向くと涙ぐんでいて、目はウルウル、鼻の頭は

少し赤く染まっていた。


 「俺、高橋さんが前から好きだった」


 「かっ、過去形ですか? 」


 焦った私は意味不(明)いみふなことを

口走っていた。声もひっくり返っちゃって。


 「今もです。だから結婚してくれませんか? 」


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 


 彼女はポロポロ涙を流して、号泣した。


 確かに彼女は年上の大人の女性なんだけど、目の前の彼女は

頼りなげで、儚げで、俺はこの人をずっと守ってあげたいって

強く思った。


 俺は彼女の頭をそっと撫でて、謝った。


  「ごめんね、いきなりプロポーズしたりして驚かせたよね」


 そして・・・

そう言いながら彼女を抱き締めた。


 「ぅぅぅぅ゛~っ、うっ、うれしくて・・。

 私でよければ、よろしくお願いします」

 

 

 俺の胸の中で彼女が涙声で、でもしっかりとプロポーズに

答えてくれた。


 喜びをかみしめ、心の中で俺はガッツポーズした。


 いやぁ、だってもったいなくてぇ~、彼女を抱いてる腕

上げられないじゃん。



    

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