第22話 『プロポーズされてません♡』

22.☑


杏 side:


 週末、来ました・来まし~た、件のお店に。


 私と坂口さんはメニューを決めかねていた。

 

 ラクレットチーズを乗せる食材で頭を悩ませていたのだ。

 ウインナーにするべきか、ベーコンにするべきか。


 温野菜のブロッコリーにアスパラガス、ミニトマトにじゃがいも

フランスパン。


 「坂口さん、お互い別々のを注文して、ウインナーとベーコンは

半分こにしましょう」


 「あっ、その手があったか。そうしよう」


 美味しいものいただいて、会話も弾んだ。


 食事の後のコーヒーも時間をかけて飲み、そろそろと

腰を上げた頃には日没の時間になっていた。


 今日も自宅近くまで送ってくれるという彼の車に乗り込んだ。

 楽しい時間を過ごした後だったのですごく名残り惜しい気持ちで

彼の動作を見ていた。


   ン?


 あれ? って思った。

 いつまで経っても車のエンジンがかからなかったから。

 


 「あ、の・・この間のクッキーありがとう。

 美味しかった」


 「そう言ってもらえたら、うれしいです。

 調子に乗ってまた作りますよー」

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