第10話 『プロポーズされてません♡』

10.


杏 side:


 犬の散歩で来ている人たちをちらほら見かけた。


 やっぱり坂口さんと話していると楽しくて、あっという間に

時間が経ってしまう。話上手だし、聞き上手で。


 恋人同士なら手を繋いで歩くのにぴったりなデートコース 

だよねぇ~。(いつか私も誰かと手繋ぎデートできますか? (グスン)


 ちょうど会話が一段落して肌寒くなってきたこともあって

私達は公園を出て、最寄りのカフェに入った。


 ちょっと夕飯には早いけれど、いっぱい話をしてたくさん

歩いたのでふたりともお腹ペコペコで、食事をして帰る

ことになった。



 同じものを私たちは注文した。

 

 セットもので、イタリアンパスタ、仔牛とキノコのテリーヌ

ほうれん草とベーコンのキッシュ、焼いた鶏肉、添えられたレタス

二十日大根、千切り人参等のサラダ。


 スイーツがすごい。


 ミニのパイナップルケーキにテラミスだぁ~。

 そしてお店の自家焙煎珈琲。


  セットを前に、もう話尽くした感満載で、私たちは食事だけに

没頭した。


  ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


坂口 side:


 歩きながら、いつものようにたくさん彼女と話して・・

なんだか途中から手を繋ごうか、どうしようか、そんなことを

考えたものの、できなかった。


 ・・・ヘタレな自分を呪いたい。


 お腹減ったよね、ってことで食事して帰ることになった。


――――――――――



 「美味しかったですね」


 「う~ん、上手かったぁ~」


 「「(笑)」」


 「まだ一年経ってないけど(笑)・・これっ。

 手作りのお菓子クッキーなんですけど、どうぞ。

 チョコレートじゃないけども作ってみました。

 チョコクッキーも入ってますよ」


 「ええーっ、ほんと?  わざわざ?

 うれしいなぁー。帰ったらいただきます♪」


 「甘さ抑えめですけど、虫歯に気をつけてね」

 

 「子供扱いですね~ヒィ~」(泣:)


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る